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77日目 魔法回路実験:実験5の解説

77日目


 ギルの鼻から漆黒のシャボン玉が噴き出しまくっている。わーお。


 ギルを起こして食堂へ。やつがジャガイモを『うめえうめえ!』って貪る度に漆黒のシャボン玉が勢いよく噴き出し、食堂に幻想的(?)な光景をもたらしていた。黒く七色に光るシャボンがそこらに浮かぶ様はあまりにも異様であり、自分が幻覚に囚われたとでも思ったのか、アエルノの男子が自分の顔面を容赦なくぶん殴っていたっけ。


 そのアエルノは自らの鼻血で大変なことになっていた。加減すらわからないとか、あいつらちょっと頭おかしいと思う。


 そうそう、ヒナたちがシャボン玉を壊して遊んでいたよ。たぶん、物珍しくてついつい気になっちゃったのだろう。アルテアちゃんは律儀にもヒナたちがそれぞれいくつのシャボン玉を壊したのかをカウントしており、見事一位を取ったローストに『そら、ご褒美だ』ってデザートのイチゴを与えていた。


 ヒナたちに対抗してシャボン玉を壊しまくっていたフィルラドがたいそう哀れであった。鳥相手に本気になるって、あいつマジで何考えてるんだろ?


 今日の授業は魔法回路実験。今回はこの前の実験の解説&次回の実験の予習。ティキータのゼクトたちと共に教室に赴き、今日は誰が解説役をするのかな……なんて話していたら、『みんな、揃ってるー?』ってステラ先生がやってきた。ひゃっほう。


 『こうも暑くてじめじめしているとやんなっちゃうよねー』……って杖をコンコンしながら出欠を取るステラ先生が女神すぎる。今日もおっきなお胸とロリロリしいボディがまぶしい。暑くなったのか、途中で『んーっ……』って髪をアップにして後ろでまとめるところとかもう最高。みわくのうなじが神がかりすぎていた。これにはうなじマニアのクーラスもにっこり。


 それにしても、どうしてこうもステラ先生は可愛いのだろう? どんなに分析しても、『それはステラ先生だからだ』という結論にしかならないのが逆に怖い。すっきりしたうなじあたりにぴょこっと飛び出た髪とか、もはや可愛すぎて犯罪になるレベル。


 『今日もステキですね』ってありのままの本心を伝えたら、『お、大人をからかっちゃいけませんっ!』って軽くぺしって頭を叩かれた。もっと叩いてほしかった。


 さて、出欠を取った後に解説に入る。やっぱりオペアンプ周りの解説がメインで、特にイマジナリショートなる現象についての説明が多かった。


 『えっとね、マジックオペアンプはそれぞれの入力に入った魔力の差を基準にして、それを増幅するという形で出力魔力を決定しているんだけど……。授業で触れたとおり、センサがびびっ! って捉えてくれたそれは本当に小さなものだから、魔力の差そのものも実はすっごく小さいの。だから、それぞれの入力魔圧……というよりも魔位も仮想的に同じであるとみなせて、マジックショートが起きてるって考えられるの』……とはステラ先生の談。


 俺の頭がゴブリン以下のクソのミジンコレベルだったからよくわかんなかったけど、この【仮想的にマジックショートしているとみなせる】ってのがかなり重要らしい。これがあるからこそ、反転増幅になったり非反転増幅になったりすることの説明ができるのだとか。


 ……マジックオペアンプが入力魔力の差を基準に増幅しているって話、初めて聞いたんだけど。やっぱりこの辺の概要をきちんと聞いてから実験に臨んだほうが理解も深まるんじゃなかろうか。


 ともあれ、『ここはすっごくややこしいところだけど、先生もみんなにわかってもらえるようにがんばるからねっ! 遠慮せず何でも聞いてっ!』ってにっこりと笑うステラ先生が最高にステキだったことだけ伝わればいいだろう。正直もう、ステラ先生が素晴らしすぎて解説なんてほとんど頭に入ってこなかった。


 ステラ先生は俺が知る中で最高の先生だけれど、あまりに女神で聖母過ぎるところが唯一の欠点だと思う。あれじゃあ全然授業に集中できないっていう。


 そうそう、次回の予習だけど、『とうとう次で最後の実験だよっ! 新しい制御や部品は何もない……けど、今までの回路を全部つなぎ合わせたようなやつになるから!』とのこと。最後の最後で今までのボスが全部襲い掛かってくるこのクライマックス感、実はきらいじゃなかったりする。


 『総仕上げとして、次回に組む魔法回路で実際の魔道具の制御をやってもらうことになるからねー……。湯沸しの魔道具だから、卵を持って来れば美味しい茹で卵が食べられちゃうよっ!』ってステラ先生はステキな情報も付け加えてくれた。俺たちの美味しいおやつのためにも、エッグ婦人には頑張ってもらわねばなるまい。


 解説の後はみんなと一緒に実験室へと向かい、キイラム先輩からレポートを受け取ろうとする……も、黄緑色のレポートが返ってこない。


 『さすがにここまで来たら慣れたもんだよな……おめでとう』って合格を言い渡された。うっひょう。


 オレンジ色のレポートは普通に再レポだったけれど、修正は思っていた以上に少ない。ルマルマの他のメンツも大体そんな感じで、クーラスは無言でガッツポーズを決めていた。ミーシャちゃんとパレッタちゃんは二人でハイタッチしていたっけ。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日は日記も(最近にしては)短めだけど、こんなもんにしてさっさと寝ることにする。


 明日は絶対にヘマできない。最高の一日にしなくっちゃあならない。そのために、ネグリジェ風呂上がり姿で遊びに来たステラ先生のお誘いを断ってまでさっさと部屋に戻ったのだ。今日ばかりはお金を無駄に使うわけにはいかないからね。


 先程部屋に戻ってきたギルは健やかにクソうるさいイビキをかいている。こいつの寝付きの良さって本当に称賛に値すると思う。赤ん坊のころのリアはなかなか寝付かなくって、何度も子守唄を歌ったり抱っこしてお散歩してやらなきゃいけなかったっけ。


 まぁいい。ギルの鼻にはちょっとガチめに絶硬石を詰めておく。さっさと寝て明日に備えなくては。


 ……何も約束してないけど、俺たちは通じ合っているから大丈夫。俺はただ、信じてそれに報いればいい。それだけだ。

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