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357日目 ロザリィちゃんとおひるねデート!

357日目


 ギルの鼻の穴の中に空が広がっている。すげえなあ。


 ギルを起こし、ちゃっぴぃを起こさないように抜け出してから食堂へ。今日も全員揃ったところでマデラさんの朝の連絡を聞いたところ、『今日からは定例の仕事はしなくてよろしい』とのお達しが。『五日後に学校まで送るから、それまで最後の春休みを満喫するように』とのこと。


 言われて初めて、もう春休みも残り少ないのだと思い知ることとなった。なんか今年は去年に比べてずいぶんと短く感じる……実際一週間ほど短いし、そしてロザリィちゃんのお家にもお邪魔していた。余計にそう感じるのだろう。


 ともあれそういうわけでお仕事はお休み。『とりあえず二度寝しておくの』、『異議なし』ってミーシャちゃんとパレッタちゃんはリアを引き込んだ。『あ、せっかくだしちゃっぴぃちゃんも呼んでくるね!』ってリアはちゃっぴぃを連れに俺の部屋に。なんか普通にミーシャちゃんとパレッタちゃんにも侵入された気がする。


 『……なんか照れるな!』ってギルの方が恥ずかしがってたんだけど、それは俺のセリフじゃなかろうか?


 アルテアちゃんは普通に朝のカフェオレを飲んでいた。老害らしく早起きなミニリカと談笑していた気がする。あと、『寒かろう……ほれ、こっちゃこい』ってアリア姐さんの胸の下に入りそびれたポワレ、マルヤキ、ソテーを懐に入れてあげていたっけ。エッグ婦人は何をやっているのだろうか?


 クソどうでもいいけど、ルフ老がグッドビールに押し倒されてルフ老ヘッドを嘗め回されていた。どうもグッドビールの奴、ルフ老のことを新手のおもちゃか何かと勘違いしている節がある。『すっごい、ちょうツルツルテカテカになった』ってルフ老ヘッドを撫でまわしたチットゥがコメントしていたのを覚えている。


 朝食の時にみんなにも改めてマデラさんからの知らせを通告する。『掃除とウェイターをしなくていい感じか』、『とはいえ緊急案件は対応しないと拙いしな』……などなど、ジオルドとクーラスはすっかり宿屋思考。『アティの足が見られなくなるのか……』ってフィルラドはすっかり意気消沈。あいつほど残念なヒモクズはそうはいない。


 あえて書くまでも無いけど、ギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモ食っていた。たぶんこいつはジャガイモさえ食べられればそれで幸せなのだろうと思う。


 さて、仕事をしないでいいとなるとどうしよう、ここは一つロザリィちゃんとデートでもさせてもらおうか……と気合を入れていたところで、そのロザリィちゃんから『……今日の午後、──くんのお部屋で待ってるから絶対来てね?』ってお誘いがあった。『ぜったい、ぜったい来るんだからねっ!』ってなんかもうすんげえまっかっか。俺の心臓もバクバク。可愛い。


 『今すぐじゃダメなの?』って意地悪して聞いてみる。『いまはちょーっと難しいと思うな……』とはロザリィちゃん。なんだか楽しそうな気配が凄まじい。


 そんなわけで午前中はドキドキワクワクしながら過ごす。万が一にもマデラさんからの呼び出しが無いよう、宿帳のチェックはもちろん掃除もすべて完璧にさせていただいた。ヒナたちを使って見回りもしたし、ヴィヴィディナに頼んでそこらの怨念とかも食らいつくしてもらった。まさに完璧な仕上がりと言えよう。


 そして、待望の午後。ワクワクしながら俺の部屋に向かってみれば。


 『……待ってたぞっ!』ってロザリィちゃん(と、ちゃっぴぃ)が俺のベッドにいた。うっひょおおおおお!


 もうね、ヤバかったよね。ロザリィちゃんが俺の毛布をぎゅっと愛おしそうに抱いて、チラチラこっちを見てるんだもの。なんか枕をぱふぱふ叩いてうっとりしているんだもの。それだけでもうだいぶ俺の理性は崩壊しそうだったのに、『……パパはおねむじゃないのかなぁ?』って甘えられたらもう、俺に成す術なんてあるはずもない。


 そんなわけでさっそくお昼寝。『やっぱり本人は格別ですなぁ……♪』ってロザリィちゃんはちょうご機嫌で俺をぎゅっと抱きしめた。俺のベッド、俺の毛布、俺のぬいぐるみ、そして俺本人……と、いろんな俺に囲まれてちょうご満悦。めっちゃ嬉しそうにすーはーすーはーくんかくんかしまくっていた。


 『こっちのぬいぐるみも良いんだけど……その、去年ほどではなくって』ってロザリィちゃんは真っ赤になりながら遠慮がちに告げる。俺の夢魔のぬいぐるみはちゃっぴぃに拉致られ、そしてちゃっぴぃの昼寝のお供になってしまった故に、俺自身の匂いがほとんどしなかったっぽい。最近俺のベッドに無いと思ったら、ちゃっぴぃがロザリィちゃんのベッドに持ち込んでいたようだ。


 『やっぱり枕がいいよねぇ……♪』とはロザリィちゃん。まさに吐息のかかる距離で、にこーって笑ってそんなこと言うんだぜ? この超至近距離で一緒にお昼寝しているってだけでもヤバいし、なんかもうロザリィちゃんのあったかさとか柔らかさとかがそっくりそのまま伝わってくるし、それ以上にロザリィちゃんの良い匂いがして……ああもう、あの至福の時をなんて表現すればいいのやら。


 『……がおーっ!』って、思いっきり抱き着かれたときは本当にヤバかった。こう、ロザリィちゃんが毛布をがばっと広げて、俺を引き込みつつぎゅーっ! って抱き着いてきたんだよ。こんなかわいい生き物に食べられるのなら、むしろ本望だと思った次第。


 しかもその後、『……寒いんですけど?』ってさらに強く抱きしめてくるし。『しょうがないのです。この毛布は普通の大きさだから、私とちゃっぴぃが風邪をひかないようにするためにはしょうがないのです』ってめっちゃ真っ赤だったし。


 さりげなく、ホントにさりげなく足まで絡められてもう、俺は正直気が気じゃなかった。『……うひひ!』って恥ずかしそうに笑うロザリィちゃんが本当に可愛い。『……あ、暑くなったでしょ!』って照れるところが本当に最高。マジで心臓がバクバクしていて、嬉しいやら恥ずかしいやらで体全身が本当に熱かった。


 『すっごいドキドキしてるじゃん……!』って、ロザリィちゃんが俺の胸をぺたぺた。というか普通に耳を当ててきて、さらにドキドキが加速する。『そういうキミこそ、さっきからすごく暖かいね?』ってちょっと反撃(?)してみれば、『……ドキドキしてるの、伝わってるくせに。日和ったなぁ?』って耳を甘噛みされた。きゃあ。


 いやもうマジで、言葉が出なかったよね。お昼寝のはずなのに熱いしドキドキするしで全然寝られない。あんなに可愛い子が俺のすぐ隣……同じ毛布で寝ているというその事実が俺を寝かせてくれない。嬉しくって恥ずかしくって、なんかもうまともに頭が働かない……と言ったほうが正しいか。


 『いつになく甘えん坊だね?』って聞いてみる。ロザリィちゃん、ちょっぴり照れたように『その……ちゃんとマデラさんの言いつけを守っていたから? その反動と言いますか……ねぇ?』ってにっこり。


 そしてここは人目についていない、常識を弁えた場所でもある。つまりはそういうこと。最強かよ。


 『……埋め合わせ、してもらうんだからね?』ってロザリィちゃんは俺の腕を取る。そのままくるくるっと巻き取る様にローリング。気づけば俺がロザリィちゃんに腕枕。なんたる早業か。


 『……あったかいでしょ?』って目の前でロザリィちゃんがにっこり。思わず抱きしめた。というか気づいたら普通にキスしていた。むしろそれ以外に正解なんてあったのだろうか?


 なんとなく、そこから互いに無言。ロザリィちゃんは俺の腕枕を堪能しつつ、俺の首元とか胸元をすーはーすーはーくんかくんかしまくってうっとり。俺はそんなロザリィちゃんの柔らかさと温かさと愛おしさでうっとり。


 で、寝てしまったっぽい。次に気づいた時には、ちゃっぴぃが俺とロザリィちゃんの真ん中に無理やり割り込んで気持ちよさそうにスヤスヤしているのを発見。今日もあいつの口の締まりは悪く、およだが全部俺の腹に。しかも今日に限ってキリキリキリキリと歯ぎしりしていやがったし。


 でもでも! 『……おはよ?』ってロザリィちゃんが俺とちゃっぴぃをまとめてぎゅ! って抱きしめてくれた上に、そのままおはようのキスまでしてくれたの! なんかそれだけでもう、腕のしびれとか全部吹っ飛んだよね。


 宴会して風呂入って雑談して今に至る。宴会中、アルテアちゃんがロザリィちゃんに『お前ホントに大丈夫なんだろうなッ!? いくら友達でもかばえることとそうでないことがあるのを忘れるなよッ!!』って割と強めに言っていた。ロザリィちゃん、『えー……ちゃんと、人目につかない常識的な場所なのに……』って不満そう。自室でイチャつけないなら、いったいどこでイチャつけと言うのだろうか?


 ……そう言われてみれば、ナターシャとおっさんがはっきりとわかる形でイチャついているのを見たのって、昔一回だけっきりのような気がしなく



 なんか思い出したらすげえ腹が立ってきた。柄にもなくブチ切れそう。なんでこんなに俺イライラするんだ? しかもなんか……なんだこれ?


 寝よう。寝て忘れてしまおう。ギルはやっぱり今日も腹筋モロ出しでクソうるさいイビキをかいている。精神を落ち着けるために、鎮魂香でも詰めておく。おやすみにりかちゃんまじかわいい。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] おやすみにりかちゃんまじかわいい       ↓ おやすミニリカちゃんマジかわいい おいおい、老害とか書きながら書き手の彼はまた捻くれてんなぁ
[一言] > なんか思い出したらすげえ腹が立ってきた そういうことだぞ 本命:書き手の感情が消失 対抗:ギルの声が消失 大穴:ギルが動く音が消失
[一言] 鎮魂香って、どんな匂いがするんでしょう。日本のお線香とは違うと思うので、淡い花の香りと予想します。
2021/03/19 20:35 退会済み
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