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34日目 発展触媒反応学:練習問題による演習(膝枕&ヘヴン)

34日目


 ギルの口からいいかほり。リフレシュ・サンドがみっしり詰まっていた。なんであいつあれで起きないんだろ?


 ギルを起こして食堂へ。今日は何にしようかな……なんて思っていたら、『おはよう、──くん』って朝からロザリィちゃんが俺の隣に座ってくれた。ひゃっほう。


 しかもしかも、『ちゃんと、氷はおほしさまにしておいたよ?』って愛情たっぷりのカフォオレまで作ってくれた。その上さらに、『何が食べたい? 私が取ってきてあげる!』と、いつになくサービスしてくれる。気づかいできるロザリィちゃんも本当にステキだと思います。


 もちろん、クールな俺は朝餉を取りに行こうとするロザリィちゃんの腕をしっかりとつかみ、そのままぎゅっと抱き締める。で、いきなりのことにぽかんとしているロザリィちゃんの耳元で『変に気を使わなくても、本当に大丈夫だから』って優しく囁いておいた。


 こう言っちゃなんだけど、いつものロザリィちゃんはこんなあからさまにアレな感じじゃない。もっとこう、ナチュラルにスウィートなラブラブオーラを発している。間違いなく、昨日の件を未だに引きずっていたのだろう。


 『でも……!』って俺の腕の中で泣き出しそうになったので、『君がいつも通りに笑っているほうが、俺は嬉しいな』って優しくくちびるにキスして黙らせる。俺ってばマジクールなナイスガイ。今日もロザリィちゃんのくちびるはぷるぷるでハートフルピーチの香りがした。


 これでようやく俺の本心が伝わってくれたのか、ロザリィちゃんは真っ赤になりながらこくんと頷いてくれた。以心伝心のこの感じ、なんかちょっとクセになりそう。おまけにロザリィちゃんの方からも『──本当に、だいすき』ってちゅっ! ってしてくれたし。


 その後は普通に二人でイチャイチャしながら朝食を取る。互いに『あーん♪』とやることのなんと素晴らしいことか。ロザリィちゃんと出会えて本当に良かったと改めて思った瞬間だ。


 ちなみに、ギルはいつも通り『うめえうめえ!』って蒸かしたてジャガイモの大皿を平らげていた。俺たちがすぐ隣で蒸かしたてジャガイモ以上にアツアツにイチャイチャしていても一切動じない。『あいつのメンタル、化け物か』って通りすがりのバルトの連中が言っていた。


 さて、今日の授業はキート先生の発展触媒反応学。『なんだかんだで結構いろんなことを学んできましたし、今日は今までのまとめということで練習問題を解くことにします』とのこと。別に次に進んでも先生的には問題ないらしいけれど、テスト範囲の関係や学生の理解度を考えるとこうしたほうがいいそうな。


 そんなわけで今日はひたすら教科書の練習問題を解きまくる。割と自由なスタイルで、うるさく騒がなければ友達と相談しても大丈夫な感じだった。もちろん、普通にキート先生に聞きに行ってもいいんだけれど。


 久しぶりにガチで演算魔法触媒を使ったから微妙に操作に手間取った。計算式がだいぶ複雑になってきただけに一回ミスするとそれだけで大幅な時間ロスになってしまう。キート先生も『魔系なら絶対に逃れられない宿命です。潔く諦めましょう。テスト中にぶっ壊れるよりかはマシです』って言っていた。


 なんか昔、教員採用試験の最中に演算魔法触媒が壊れたことがあったらしい。『大丈夫だったんですか?』って聞いたら、『今ここに私がいることが、その答えです』って言われた。クソ面倒な計算を全部手計算で乗り切ったとのこと。すげえ。


 授業に関してはこのくらいにしておこう。今日はマジで普通に問題を解いただけだからあまり書くことが無い。


 夕飯食って風呂入った後の雑談中、湯上りロザリィちゃんがちょいちょいと俺のパジャマの裾を引っ張ってきた。どうしたのかしらん、と思って見つめてみれば、ロザリィちゃんってば座り込み『……ん』って自分の膝をポンポンと叩きだす。


 『きゅーっ♪』ってちゃっぴぃがそこに飛びつこうとしたけど、気高きアルテアちゃんが『今だけは空気を読んでやってくれ、な?』って脇を抱えてさっと回収する。『……甘えられたい、気分なの』って真っ赤になったロザリィちゃんに言われてしまえばもう、俺に選択の余地なんてない。


 そんなわけでロザリィちゃんの膝枕を楽しむ。今日もやっぱりぬくやわこくてふっかふか。ロザリィちゃんの匂いもするし、なんていうかこう、頭に柔らかいものがあるだけだってのにすごく懐かしくて、暖かな気持ちになった。あれが女の子の持つ母性というものなのだろうか。


 『えへへー……♪』ってロザリィちゃんはずっと上機嫌に俺のおでこを撫でていた。『そんなに面白い?』って聞いたら、『一生撫でていたいかも!』ってステキな回答が。俺も一生ロザリィちゃんの膝の上で過ごしたい。


 『──くん、繰り返しになるけど、あの時助けてくれて本当にありがとうね』ってロザリィちゃんの甘い声が耳に届く。愛魔法が活性化しているのがなんとなく感じられたのと同時に、頭部の微妙な圧迫感も。


 近くで見ていたパレッタちゃんの話では、『発情したママが──の唇を貪ろうと、体をかがめておった』とのこと。


 うん、結果から言うと無理だったんだよね。だって俺の目の前には、夢の詰まった大きな双丘があったんだもの。


 『ひゃあんっ!?』って可愛らしい悲鳴が上がるのと、俺の目の前が暗くなり、そして柔らかなものが顔を包んだのはほぼ同時。とてつもなく幸福な気分。膝枕からのキス……と思わせて、まさかこんな幸せが待っているとは。


 結局、ロザリィちゃんは顔から火が噴き出そうなほど真っ赤になり、目をぐるぐると回しながら『えええ、えっちなのはよくないと思いますっ!』って言って自分の部屋へと逃げるように行ってしまった。そんな姿も本当にプリティだった。


 『今日は我慢してたけど……新手の嫌味とかいい度胸してるの……!』ってミーシャちゃんが今までに見たことのない表情で歯をぎりぎりしていた。誰もフォローを入れる人はいなかった。


 ギルは今日も大きなイビキをかいてスヤスヤとしている。俺もさっさと寝る……前に、少しでも例の課題を進めておこうと思う。実はこの日記もいつもに比べてだいぶはしょって適当に書いているけれど、大事なのは俺とロザリィちゃんの愛のメモリーだからこれで問題ないだろう。


 明日は実験。無事に終わることを願って、ギルの鼻にはみんな大好きオステル魔鉱石を詰めておく。おやすみ。

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