日記総評
日記の継続、よく頑張りました。今回はあくまで私の「お願い」であったのに、真面目にしっかり書き続けてくれたことは素直に称賛に値する行為だと思います。あなたのこういう律儀で忍耐力のある……一度決めたことはやり通すその姿勢は誇るべき美点です。
二年次も楽しいことや苦しかったこと、いろいろあったようですね。去年と比べて明らかに頁数が増えているものですから、手渡されたときは一瞬びっくりしました。流石に去年の倍とまでは言いませんが、なんだかんだで五割り増しくらいにはなっているのではないでしょうか?
これだけの量を毎日書いた……ついつい書いてしまったということは、それだけ毎日が充実して楽しかったということでしょう。こういう育て方をしてしまったのは私なので、あまり偉そうなことは言えないのですが、普通の人ならば毎日これだけの量の文章を書くのはかなり難しいです。それも、仕事ではなくあくまで趣味だというのならなおさら。
今回はあなたもあまり「らしい」ことを書いていないので、私もそういうのは止めにしておくことにします。そういう言葉が欲しいのであれば、あとでこの日記をもって私の所に来てください。
さて、ここからはいくらかの所見です。
授業内容について、やはりまだいくらかの理解が足りていないようです。特に魔導工学についてはかなりあやふやなのではないか、と思います。あなたのノートと実際の授業風景を見ていないので何とも言えませんが、テストはあくまであなたの実力を測るための物であり、点数を取れればいいというものではない、ということをよく覚えておいてください。
最悪、きっちり理解さえしているのならば、テストの点数なんてゼロ点でも構わないのです。あなたが何のために勉強をしているのか、その意味をはき違えないように。
お友達との付き合いについても……今更いろいろ言うべきではないと思いますが、尊敬と感謝の念を常に抱くようにしましょう。この年になって初めての同年代との友達と言うことで、おそらくあなたのその感覚は一般的なそれとは異なっていると思います。特にギルに対するそれは、普通の人には絶対にやってはいけない行為です。そこのところを強く自覚するようにしましょう。
ただまあ、この日記を見る限りでは、去年に比べていくらかマシになったようにも思います。冗談を言い合える、互いにふざけあえる友達と言うのはとても大事で尊いものです。いつか、この何気ない日常でのやり取りが、どれだけ得難いものなのかを理解する日が訪れることでしょう。その日までも彼らと笑って語り合える……生涯の友人であることをあなたの親として願っています。
あちらの家での件については、またあとで。スープの味の組み立てについてもここに書くにはあまりにも余白がなさすぎます。あ、遅れてしまいましたが、料理やお酒の情報等ありがとうございます。レシピやメニューの改善の参考となり、非常にありがたいです。地方の物についてはこちらでもさすがに情報が入りませんからね。
最後に。
──種々のセクハラ、およびそれに類する行為について話がある。去年あれだけ躾けたのにまだ凝りていないとは、私も耄碌したとつくづく思わされた。今度ばかりは一切の容赦をしない。明日の朝の仕込みが終わったらすぐに顔を出せ。
逃げても構わない。だが、それをしたらどうなるかはお前が一番わかっているはずだ。その程度の脳ミソはあると信じてる。




