295日目 子供な一日!(記:ステラ)
一つ前の日記を変則的に投稿しています。ご注意ください。
295日目
意外としっかり書いているんだね? ──くんならそうかもって思ってたけど、先生ちょっとびっくりしちゃった。
こんなにしっかり書いているなら、わざわざ先生が日記を書く必要はないかもだけど……もうすっかりその気になっちゃったし、せっかくのいい機会だから、補足説明もかねて先生も書いちゃうことにします。こんなに続いている日記だもん、どうせならちゃんと続けたいもんね。
えっと今日は朝起きて……いけない、この日記に先生のことを書いてもしょうがないか。中途半端だけど、──くんが出てくるところから書かないと。……もしかして、日記初心者が途中から書くのってけっこう難しくない!?
さて、気を取り直して。
これを読んでいる──くんはもう察しているだろうけど、今日の──くんは子供になっちゃっていました。リアちゃんがたしか七歳とかそれくらいだったよね? リアちゃんよりも幼いように見えたから、たぶん五歳かそれくらいだったと思う。
先生に連絡が来たのがお昼ごろで、残務を片付けて見に行けたのが……そう、大体おやつの時間頃だったかな。クラスルームに帰ったら、いつにもましてみんなが集まっていて、そしてその真ん中に子供になった──くんがいて……うん、嬉しそうにおやつを食べていたっけ。
すっごく可愛かったなあ! お口を汚しながらケーキをほおばってもぐもぐ食べてるの! 無邪気と言うか、あどけないというか……小さい子供って、どうしてみんなあんなに可愛いんだろうね?
──くんの子供時代の姿を見られて、先生もちょっとうれしかったよ。お貴族様でもない限り、子供の時の姿なんて見ることできないわけだし……改めて、すごい体験をしたんだなって思う。
……ちょっと色々あったみたいだけど、先生は
先生は──くんのことが好きだし、──くんの力になりたいと思う。辛いことや悲しいことを思い出したりしてしまったら、遠慮なく頼りにしてください。こんなおばさんでよければ、いくらでもぎゅってしてあげるからね。
あと、やっぱり──くんは小さい頃から宿屋のお手伝いをしていたのかな? 夕ご飯の時も、気づいたら普通にウェイターとして動いていて……空いたお皿を片付けたり、コップにジュースを注いだり、落ちた食器の代わりを持ってきたりと、小さな体で一生懸命働いていたっけ。頑張ってお手伝いをしているって感じがして、やっぱりすごく可愛かったよ。
ただ、今更ここに書いてもしょうがないけど、ご飯はみんなで食べるほうが美味しいし、──くんだけ我慢する必要はないからね? そりゃあ、お店の人がお客さんと同じ席で食べるってのは聞かない話だけど……ここはお店じゃないし、賄いじゃなくてみんなと同じものを、みんなと同じ席で食べていいんだから。
あのとき、──くんから目を離さずにちゃんとご飯に誘っておけばよかったなって反省しています。こういうの、ホントは大人である先生がちゃんと考えてなきゃいけないことだよね。やっぱり、先生はまだまだ半人前なのかな……。
夕ご飯の後は、いつも通り少しゆっくりして、そのあとお風呂の時間になったっけ。……うふふ、ロザリィちゃんってば大胆に、──くんをお風呂に誘っていたよ。ホントか冗談なのか、先生にはよくわからなかったけれど……五歳くらいの男の子なら、まだお母さんと一緒にお風呂に入っていても全然普通だもんね。
でも、──くんは一人でお風呂に入れる良い子だったから、ロザリィちゃんの野望(?)は達成できなかったよ。ロザリィちゃん、実は弟も欲しかったみたいで、『弟と一緒にお風呂で洗いっこするの、実はちょっと憧れてたんだ』ってお風呂で言ってたよ。ロザリィちゃん、末っ子だから弟や妹との戯れに結構な憧れがあるみたいだね。
……今更だけど、明日になって──くんが元に戻ったら、記憶ってどうなるんだろう? たしか、去年もギルくんが子供になったり赤ちゃんになったりしたことがあったけど、あの時はぼんやりと覚えてる、くらいだったっけ? ほかの女の子たちが、もしも記憶が残ってたら困る……って一緒のお風呂に抵抗があったみたいだけど、それを考えれば問題なかったのかな?
ふふ、でも懐かしいなあ。ギルくんが赤ちゃんになったの、もうそんなに前か。ついこの前の事のようにも思えるけど、あれも確かこのくらいの時期だったから、もう一年も経っているのか。みんなと過ごす時間が楽しすぎて、一年間がホントにあっという間で……今まで、こんなに一年が短く感じたことってなかったかも。
おっといけない、話が逸れちゃった。
お風呂の後はいつもならみんなで雑談するんだけど、子供だからかな、──くんはすっごく眠そうにしていたっけ。ロザリィちゃんがぽかぽかな──くんに構いたがって、そこから何か二人でこっそり話して盛り上がってたみたいだけど……。
なるほど、お嫁さんになってほしいってプロポーズしてたんだね。小さくても男の子ってことなのかな。愛に年齢は関係ないとはよく言うけれど、──くんだと本当の本当に本気だからすごいよね。「弟」にプロポーズされて、ロザリィちゃんもすっごくうれしかったんじゃないかな?
そのあとは、見栄を張った(?)──くんが一人でお部屋に戻っていったよ。先生たちにはまだまだ早い時間だから、みんなそのまま雑談していたけど……。
聞いておどろか……ううん、読んで驚かないでね?
なんと──ちゃっぴぃちゃんが、ロザリィちゃんの手を引っ張って──くんのお部屋に行こうって教えてくれたの!
なんかね、──くん、やっぱり寂しかったのかな。普通に寝ているように見えたんだけど、よく見ると枕が涙で濡れてたの。泣き疲れて寝ちゃったみたいで、結構目元にも涙の跡があったよ。
ちゃっぴぃちゃん、それを見て──くんのベッドにもぐりこんで、ぎゅーっ! って抱きしめてあげていた。ちゃんと手を握って、絶対に──くんを守るぞーっ! って感じで寄り添っていたの! 本能か何かわからないけど、抱きしめてもらった──くんはすごく幸せそうに笑って、ちゃっぴぃちゃんもすごく愛おしそうに──くんのことを見つめていたよ。
ロザリィちゃん、それを見て『よろしくね、ちゃっぴぃ?』って言って名残惜しそうに自分の部屋に戻っていったっけ。ホントはロザリィちゃんが一緒に添い寝したかっただろうけれど、やっぱり病気でも何でもないのに男の子の部屋に女の子が泊まるのはちょっとよろしくないからね。
だいたいこんな感じかな? 結局そのあと、ちゃっぴぃちゃんはそのまま──くんと一緒に寝ていて、ギルくんも少し遅れて部屋に戻って……それで、先生は日記のことを思い出してこっそり侵入したってわけ。
この日記のことはまだ誰にもバレていないから、そこは心配しなくていいからね! 先生、ツけられるようなヘマも、誰かに見られるようなヘマもしていないから!
それにしても……まだ子供なのに、すっごくたくさん書いてるよね。先生と同じくらいは書いているかも? やっぱり小さい頃から真面目でしっかりしていたんだね。
なんだか妙に目が冴えちゃってるし、ちょっとこのまま日記を読ませてもらおうかな? ちょうど前の日記も確認したかったし……──くんなら、これくらいは許してくれるよね? 先生、──くんのこと信じてるからね?
うふふ、すっごく楽しみだなあ! 実は、一度でいいからじっくり読んでみたかったんだよねえ? いったい何が、どんなことが書いてるのか……──くんの秘密を暴いてやるんだから!
さて、ええと……うん、夕ご飯を食べてお風呂に入っておしゃべりして今に至ります。ギルくんは……まぁ、やっぱりちょっとイビキは大きめだけど、これくらいなら普通と思えなくもないような? ウチのパパはたまにイビキがピタッと止まるから、それはそれで怖いんだよね……。
……ギルくん、ホントにすごい不思議だよね。先生はもう、考えるのを止めた方がいいんじゃないかなって思うの。──くんも、あまり過激なことはしないで、もうちょっと優しいものを鼻に詰めるようにしようね。
それじゃ……ギルくんのお鼻には解除薬でも詰めておこうかな。たぶん、これじゃなくても──くんは元に戻ると思うけど、一応念のためね? 直接飲ませるよりも、こっちの方が効くと思うし。
……ちょっと残念だなあ。先生も小さい子供は好きだから、可愛い──くんともうちょっと遊んだりしたかったんだけどね。ロザリィちゃんに怒られちゃうし、明日の朝を考えるととても無理だけど、ホントは一緒に寝たかったんだよね……ウソじゃないよ?
長くなりすぎちゃったので、そろそろホントに筆をおくことにします……あっ、これもちょっと──くんっぽい言い回しだよね? もしかして、先生もだんだん日記が上手くなってきたのかも!? これで日記の達人の──くんに一歩近づいちゃったね!
じゃ、ホントにおやすみなさい。最後に、寂しがりで甘えん坊な──くんにおやすみなさいのキスをしてあげましょう。みすやお♪
※明日でいいので、借りたポポルくんの腹巻を返しておいてくださいね。