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289日目 アフター女の子

289日目


 息苦しさも感じぬ爽やかな目覚め。あとなんか俺から女の子の匂いがする。不思議。

 

 ギルを起こして食堂へ。今日もやっぱりちゃっぴぃが『きゅーっ♪』って俺に頭突きしてきたんだけど、昨日はあったはずの胸が無かったからか、『……きゅ?』って不思議そうに見上げてきた。とりあえず抱きしめておいてやるも、『………………』ってあいつ、無言で露骨にしかめっ面。パパが元に戻ったのにあの野郎、何て顔しやがる。


 そんなわけで、朝飯のウィンナーを『あーん♪』してあげてもちゃっぴぃは不機嫌なままだった。不満を吐き出すように俺の胸に後頭部をグリグリしてきたんだけど、まぁ柔らかいはずもない。すぐ脱走してロザリィちゃんのお膝に行きやがった。ちくしょう。


 ポポルもまた、残念そうに『今日も揉むの楽しみにしてたんだけど』って文句を言ってきた。フィルラドとジオルドも『俺も一度は揉んでおきたかった』、『得難き体験を逃した』ってグチグチ。クーラスに至っては『女ってだけで、いつもの行動でも割と許せる……むしろ魅力的に見えてたのにな』とか言い出す始末。あいつらマジなんなの?


 でも、ロザリィちゃんが『やっぱり男の子の──くんがいいね!』ってにっこり笑ってキスしてくれてちょう幸せ。『妹ができたみたいで楽しかったけど……やっぱりいつも通りが安心しますなあ』って俺の胸に顔をうずめてすーはーすーはーくんかくんかもしてきた。まったく、ロザリィちゃんはこれだから最高だ。


 一応書いておく。ギルは今日も『うめえうめえ!』ってジャガイモ食ってた。それだけ。


 午前中はなんとなくクラスルームでぼーっとする。なんかよくわからんけどやる気が全くでなかったためである。冬休み明け最初の一週間が終わって、なんだかんだで俺も疲れがたまっていたのかもしれない。何気に忙しい時とそうでないときの差が激しいというか……最近それが妙に堪えるようになってきた。これが歳か。


 あと、一応自分の胸をもんで色々確認しておいた。やっぱり揉めるほどの量はないし、俺の股座にはきちんとある。のどぼとけもしっかりあって、今日もいつものイケメンボイス。やっぱり俺はこうでなくっちゃならない。


 『やっぱ揉めねーなぁ……』ってポポルが俺の胸を触ってきたのだけは本当に意味が解らん。しかもあの野郎、無理に揉もうと俺の乳を思いっきり引っ張ってきやがったからね。仕返しにあいつのぷにぷにおこちゃまおなかを引っ張ったらガチギレするし。マジなんなの。


 また、ポポルを見て羨ましくなったのか、ちゃっぴぃまでもが『きゅーっ!』って俺の胸を引っ張ってきやがった。それどころか、ヒナたちも俺に飛び掛かってきてやたらと乳首を突いてきやがった。さらにさらに、「これは間違いなく遊んでもらっているのでは?」と勘違いしたグッドビールが俺に突進。顔……ではなく胸を盛大に舐め回されたっていうね。


 そんなことをしても俺から乳が出るはずがない。あいつらマジで俺の事なんだと思ってるんだろ?


 唯一、アリア姐さんだけは静観。「男は胸板で語りなさい!」……とでも言わんばかりに自身の胸をポンと叩いていた。どうやらアリア姐さん、胸板の厚い男が好みらしい。そういった意味ではギル、グレイベル先生、ジオルドは好みの範疇に入るのだろう。


 ちなみにアリア姐さん、今日は普通に日向ぼっこをしていた。なぜか周りに無造作に鏡が置かれている。『日照不足気味だから、苦肉の策だ』ってジオルドは言っていた。ちゃっぴぃの面倒をよく見てもらってるし、今度何かちゃんとした……なんだ? 鏡魔法の儀式魔法陣を応用した日光集積魔道具でも作るか?


 午後の時間、『遊びに来たよー!』ってステラ先生がやってきた。うっひょう。


 ステラ先生、俺を一目見るなり『あ……戻ったんだね?』ってなんかちょっぴり残念そう。『せっかくだしいろんな可愛い服を着せて見たかったなって、ちょっぴり思ってたの。この前だってギルくんが二日間も大人だったし、もしかしたらって思ってたんだあ』とのこと。


 どうやらステラ先生の中でも、女になった俺は妹扱いの対象であったらしい。ステラ先生はまず間違いなく一人っ子だし、そういうのに憧れていたんだろう。そのうえで、元が男と言うある意味では非常に扱いやすい俺はいろいろと便利な相手だったのかもしれない。


 『別に女でなくとも、ステラ先生が望むのなら可愛い服の百や二百、着て見せますよ?』ってぱっちりウィンク。『そそそ、そんなのダメっ!』ってステラ先生はいきなりちょう真っ赤っかに。『は、はは、はだかを見せるのは……その、先生もダメだと思うよぅ』とのこと。


 次の瞬間、パレッタちゃんが『轟けヴィヴィディナぁッ!』ってヴィヴィディナに命令。ヴィヴィディナが「ギィィィィ!」って聞いた人間を発狂させるほどの金切り声で騒ぎまくる。その隙にアルテアちゃん、ミーシャちゃん、そして有志の女子数名がステラ先生を俺から遠ざけた。


 で、なんか女子だけでごにょごにょ相談。ステラ先生の顔が赤くなったり青くなったり。そんな姿もマジプリティ。


 ややあってから、ロザリィちゃんが俺のところにやってきた。『……もし万が一、ステラ先生から着せ替え人形のお願いをされても、それだけは絶対に断ってね?』とのこと。


 以下に、ロザリィちゃんから『……ぜったいに内緒だよ』ってこっそり言われたことをそのまま記す。この形式を取らせてもらったのは、ロザリィちゃんの本心を汲んでの物であることをここに改めて宣言しておく。



・ステラ先生と女子は、実は男子の見えないところで互いに着せ替え人形ごっこをしている。


・さっきのお誘いもその一環として誘ったもので、女子からしてみればいつも通りの事である。


・着せ替え人形ごっこで用いるのは可愛い衣服や、もう着られない衣服である。互いに合意があれば、普通に譲渡したりもしている(もちろんお古)。


・ステラ先生はロザリィちゃんと同じ悩みを抱えている。


・だからこそステラ先生は、着せ替え人形ごっこで自分のできなかったそれを見るのを楽しみにしている。



 『……そういうことだからっ!』ってロザリィちゃんにキスされて、もう後は何もかもがどうでもよくなってしまった。……マジな話、割と女子たちの間でもデリケートで男子に触れられたくないアレだろう。ステラ先生が何をどこまで想像したかはわからないけれど、心も体も男の子な俺が関わっていいことではないのだろうね。


 その後は普通にカードゲームなんかをして過ごした。相も変わらずステラ先生が剛運かつテクニックがすごすぎてみんなケツの毛まで毟られたっけ。


 今ふと思ったけど、金銭的な意味でケツの毛まで毟られるけど、服装的な意味で毟られたことは一回も無い。冒険者の中ではむしろ、そっちこそがメインだというのに。


 たぶんステラ先生、男の上裸であっても真っ赤になっちゃうし、パンイチにでもなったらまともに目を合わせてくれないだろう。それこそ全裸なんか見せつけたら、気絶しちゃうに違いない。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんだかんだで今日は一日ずっとクラスルームでだらだらしていたので、案外書くことが少ない。せいぜいが、風呂の時ラフォイドルに『……お前みたいな性格ひねくれている奴でも、女で見てくれが良いとけっこうアリっぽく思えたんだけどな』って言われたくらい。『性格も行動ももう矯正しようがないから、せめて女でいてくれよ。その方が俺のストレスが多少マシになる』とか大変失礼なことも。いつかロベリアちゃんにバラしてやろうと思う。


 ギルは今日もぐっすりと大きなイビキをかいている。こいつ、日中姿を見ないと思ったら、『外で筋トレしてたら、一年生たちがヒィヒィ言いながら薪割りしているのを見つけちゃってな! 見てられなかったんで手伝ってたんたぜ!』って言ってた。


 なんか、薪割りがセルフであることを知らずに準備が遅れたことと、そして暖炉の使用頻度の目測を誤って薪が足りなくなってしまっていたらしい。『良い筋トレになったし、お礼にジャガイモと、さらにおまけでお小遣いまでいっぱいもらっちゃったぜ!』ってギルは大変嬉しそう。


 一年生の癖に妙にギルの扱いに手馴れていやがる……この前のキノコのときのあいつらか?


 まぁいいや。俺もそろそろ寝るとしよう。ギルの鼻には……桃の種でも詰めておこう。夕飯のデザートの桃に奇跡的に紛れ込んでた奴ね。おやすみなさい。



※燃えるごみは地獄の底へ。魔法廃棄物は天国。 

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり昨日書き手女体化だったんですね……変化球頼らなければよかった 本命:もものかほり、ギル味が足りない 対抗:ももの苗木、ギルコーンなどと同様の異常成長 大穴:一も文も字も書もくもごも…
[一言] フルーツはマンゴーが好き けど高い。高い 本命:大きな桃出現 対抗:桃の枝が出てくる 大穴:桃太郎出現
[良い点] 桃の種の周りが一番美味い。 自分の器に入ってたときに小さな幸せを感じる。 [一言] 桃の苗木が生えるに一票
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