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27日目 発展触媒反応学:中空・中実魔法陣のパラメータ計算について

27日目


 俺から血涙(?)が。なぜ。


 ギルを起こして食堂へ。食堂へ入った瞬間、『ぎゃああああ!?』って悲鳴が響き渡る。ティキータの男子はこっちに杖を向けていたし、バルトの女子は腰を抜かして尻もちをついていた。


 『なにやったんだ、ギル?』って聞いてみるも、ギルは『さあ? ……あっ、もしかして俺の筋肉に惚れ直しちゃったのかな!?』っていつも通り。こいつの頭の中って本当に平和だと思う。


 で、いつもの席に座ろう……としたところで『きゅうううう!』ってちゃっぴぃが俺の腹に頭突きをしてきた。なぜか目を真っ赤にしてわんわん泣いている。『きゅ! きゅ!』って指ぺろぺろまでしてきた。どういうこっちゃ?


 しかもしかも、どんっ! って背中に衝撃も。このぬくくて柔らかい感じは紛れもなくロザリィちゃん。『どうしたの?』って優しく微笑みかけて抱き締めたところ、『ばかぁ……っ!』っておもっくそ泣かれた。


 いや、正直ビビったね。俺が何かやらかしちゃったかって思ったよ。『……平気なの? 痛くないの?』って聞かれたから『むしろ痛いくらいに抱きしめてほしいかも』って返しておく。ロザリィちゃん、泣き顔のままにっこり笑って思いっきり抱きしめてくれた。朝から最高に幸せである。


 なお、そんな俺たちを見てアルテアちゃんが『自覚症状が無いのは恐ろしい。それ以上に、アレをみて何とも思わなくなってきている自分が怖い』ってコメントしていた。クーラスも『どうせアレもギル関係だろ? 心配するだけ時間の無駄だ』ってオリジナルブレンドのハーブティーを楽しんでいた。


 さて、今日の授業はキート先生の発展触媒反応学。キート先生、なぜか俺の顔を見るなり『残り少ないですが、この目薬をあげましょう。夕方の目がかすんでくるころに使うと世界が輝きます』って高級っぽい目薬をくれた。何でくれたのかは知らないけれど、貰えるものは貰っておくことにする。


 内容は中空、中実魔法陣のパラメータ計算について。前回までに断面二次極サークリアなんかを取り扱い、ある程度の設計パラメータの計算方法について学んだわけだけれど、今回はより具体的な例を持ってその計算をしていきましょうって話。


 『具体的には中空魔法陣と中実魔法陣についてです。今更確認するまでもありませんが、中空魔法陣は魔法陣中心に何も記述が無い……いわば円環状の魔法陣であり、中実魔法陣は真ん中までびっしりかきこまれているやつですね』ってキート先生は続ける。この二つは形状としてオーソドックスというか、大抵の魔法陣はこのどちらかに分類されるから、この二つの計算方法を知っていれば大抵の魔法陣の計算が出来るらしい。そうでなくとも近似計算として十分な効果があるのだとか。


 さて、いつも通り板書したことをここに記す……と言いたいところだけど、ここで重大発表がある。


 うん、板書が複雑すぎてまるで日記に写す気力がわかないんだよね。


 いやさ、マジで複雑な計算式ばかりなんだもの。文章でビシッて説明されているんじゃなくて、ひたすら式で説明しているんだもの。中実魔法陣の場合のなんとかパラメータはこう、中空魔法陣の場合のなんとかパラメータは式でこう表されますよって言われてもなにがなんだかさっぱりわかんないっていう。


 とりあえず、『以上の式より、魔力分布から外側に強く魔力が作用し、内側にあまり魔力が作用しないとわかる場合は、中空魔法陣を用いてコスト削減を狙うことが出来ます。……よくわかんない人は、真ん中がスカスカでも問題ないって式でわかったら中空にしとくって覚えておいてください』ってキート先生が言っていたのでそういうことにする。


 いいか、あくまで書き写すのが面倒だから書かないだけだ。俺の華麗なるノートには今日もしっかり綺麗な板書が施され、そしてキュート&プリティなドリアードの落書きが描かれていることをここに記しておく。ほっぺの丸みのラインとお花の部分が実にうまく決まったからぜひ確認してほしい。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ポポルとミーシャちゃんが相変わらず授業が分からず涙目になっていた。ちょっとノートを見せてもらうも、途中でぶっつりと記述が途切れている。たぶんこの辺で諦めたのだろう。


 『何言ってるのか……さっぱりわからなかったの……』、『キート先生、途中から外国語話してなかった?』って二人は言っていた。とりあえずポポルにはケツビンタをしておいた。


 ちなみにだけど、ぴすぴす鼻を鳴らす二人を見て、『……これやるから元気出せ。ちゃんとはんぶんこするんだぞ』ってジオルドが非常に葛藤した様子で楽しみにしていた秘蔵のハゲプリンをあげていた。あいつのそういう優しさは見習うべきだと思う。


 もちろん、『おいしーっ!』、『うめえうめえ!』ってミーシャちゃんもポポルも嬉しそうにハゲプリンを食べていた。ホント二人ともお子様らしいと思う。


 だいたいこんなものだろう。あ、微妙にしょんぼりしていたジオルドにはちょっと作りすぎて困っていたチョコレートを渡しておいたよ。食べきれずに処理に困っていたものを捌けて超ラッキー。ホントはちゃっぴぃに処分させる予定だったんだけど、あんまり甘やかすと躾にならないからね。


 ギルは今日もクソうるさいイビキをかいている。都合のいいものが見当たらなかったので、いつぞやどこかで見つけたクズ品質のライトニング・パールを鼻に詰めてみた。意外なことにジャストフィット。みすやお。

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