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261日目 クリスマスの準備

261日目


 温泉が跡形もなく消えている。雪の中で全裸で寝ている上級生がいるんだけど、さすがに助けたほうがいいのかな?



 続報。いつもの風呂から温泉が出ていた。やったね!


 ギルを起こし、一応上級生を魔材研に放り込んでから食堂へ。休日にしては珍しく人が多く、『朝から温泉の贅沢ができるかなって……』、『ゆっくり眠れて疲れが取れたからか、速く目が覚めちゃったんだよね』って声がチラホラ聞こえた。前者については残念ながら温泉が消失していたため、二度寝する気分にもなれず食堂へ来ることとなったらしい。


 朝食は無難にホットサンドをチョイス。早い話がこんがり焼いたサンドイッチなんだけど、ウチのは焼き目に模様をつけてくれるというサービスっぷり。星形やドラゴンさんといった無難なものから、なんだか見覚えのありすぎるベースパターンの魔法陣の焼き目も完備していたりと無駄にバリエーション豊か。さすがにアロン-カボナ系の魔平衡状態図まであるのは正気を疑ったけれども。


 俺的にはここはいっちょ男らしくドラゴンさんにしようと思ったのに、『きゅ! きゅ!』ってちゃっぴぃがどうしてもハートマークにしてくれと譲らなかったので、そういうことに。『なんだよ、ハートマークだってかわいいじゃん?』って煽ってきたフィルラドは軽く呪っておいた。


 味は普通にデリシャス。ただ、中身がやっぱり夕餉の残り物だったのはご愛敬。まぁ、これだったら野菜を『あーん♪』してもちゃっぴぃが普通に食ってくれるから、別にいいんだけどさ。


 ギルはやっぱり『うめえうめえ!』ってジャガイモ食ってた。今日はエッグ婦人もジャガイモの大皿に頭を突っ込んで食いまくっていた。卵産んで腹が減ってたのかな?


 朝食後はクラスルームでぼーっとする。誰が言い出したのかは忘れたけど、『そろそろクリスマスじゃね?』ってことでみんな盛り上がっていた。


 とりあえず、ジオルドはようやっとアリア姐さん用の衣装を完成させたらしい。クリスマスエディションのストールと、ふわふわモコモコのパレオ的なものをプレゼントしてあげていた。「あら、すてき……!」とでも言わんばかりにアリア姐さんもにっこり。


 実際、アリア姐さんの魅惑のダイナマイトボディだけあって、すごいグラマラスなサンタのおねーさんっぽい感じではあった。冬の存在なのにヘソ出しで、しかもその実サンタじゃなくてクリスマスツリーなのだけれども。


 ともあれ、クリスマスツリー(アリア姐さん)の準備ができたので、女子たちがさらにデコって盛っていく。『お星さまは鉄板でしょ……』、『ベルは必須だけど、鈴的なものもいいよね』、『キラキラのモールは最低四色必要。これ常識ね』……と、あっという間にアリア姐さんがクリスマスツリー然とした姿に。


 赤と金を基調として、随所にカラフルなそれらが散りばめられた姿はまさにクリスマスの化身。きらびやかなオーナメントをこれでもかと纏いつつ、あちこちにリボンやスノーも。定番のポインセチアだけはアリア姐さんの心情を考慮して飾り付けられていなかったけれども、「松ぼっくりは許さないことも無いわ」……と言わんばかりに、アリア姐さんは体をもじもじさせていた。


 それにしてもまぁ、女子のはしゃぎっぷりがすごかったよ。去年のクリスマスツリーのときはここまではしゃいでいなかったと思うんだけど。やっぱただ樹を飾り付けるより、飾っていて楽しい人を飾ったほうが色々諸々弾むのかもしれない。


 その後は普通にクラスルームをクリスマス仕様に仕上げていく。去年のクリスマスリースを引っ張り出したら、『きゅーっ!』ってちゃっぴぃが率先してロフト付近の天井の一番高いところに飾り付けてくれた。他にも梯子が無いと手が届かないところにぱたぱた飛んで行ってモールを飾り付ける等、いつになくおりこうさんだったと言えよう。


 そうこうしている間にはステラ先生がやってきた。『わぁ……っ!』ってすっごく目をキラキラ。『ね、ね……先生も、手伝ってもいいかなあ?』ってワクワクした様子で聞いてきたので、ルマルマ一同快くそれを了承する……というか、むしろなんでわざわざ俺たちの許可を取ったのか。ステラ先生だってルマルマだし、ステラ先生がいなくては俺たちのクリスマスは始まらないというのに。


 あとステラ先生、クリスマスツリーになったアリア姐さんを見て『すっごく似合ってるよ!』って誉めてあげていた。そんなところも本当にステキだった。


 その後はポポル秘蔵の松ぼっくりを使ってクリスマスオーナメントの作成にかかる。とはいえ、適当に色を塗って適当にパウダー振って適当にビーズとかの飾りをくっつけるだけの簡単な代物。子供でもできる作業なのに、松ぼっくりの形が良く、それでいて【やりすぎない】ってのを意識しておけば、小物としてびっくりするほどのクオリティになるって言うから侮れない。窓枠の所とか、ちょっとしたところに添えておくのに最適。クリスマス力がマジすごい。


 『きゅーっ!』ってちゃっぴぃは調子に乗って三つも作っていた。俺が作ったやつはロザリィちゃんの元へ。ロザリィちゃんが作ったのは俺の元へ。『へへへー……!』ってそれをもってにこにこ笑うロザリィちゃんが最高に可愛かったです。


 そうそう、クリスマスパーティについても少しみんなと話したっけ。『今年も授業と被って大変なんだろな』……なんて話をみんなとしていたところ、『えっ? 今年はちょうど冬休み一日目の日がクリスマスイブだから、大丈夫だよ……?』ってステラ先生にきょとんとした顔で言われちゃったんだよね。


 慌ててスケジュールを確認してみれば、恐ろしいことになんと次の週……あと五回授業を受ければ冬休みに突入だという事実が発覚。あとちょっぴりだけ頑張ればまた二週間ほどのお休み。


 『ぜ、全然気づかなかった……』、『時が過ぎるのは早いの……』ってアルテアちゃんもミーシャちゃんも驚いていた。かくいう俺もその一人。ここのところイベントが多かったし、そして授業もだいぶ鬼畜だったから、それ以外のことを考える余裕も無かったってことだろう。


 ともあれ、次の魔法生物学のあといつも通りに二日の休みがあり、その翌々日がクリスマス……時間は十二分にある。去年ほど慌ただしくはならないだろう。もちろん、準備はしっかりしておかないとだけど。


 お菓子類の手配が何気に面倒だけど、ステラ先生が『そ、そういえば! 先生ね、今年もサンタさんに頼むプレゼントまだ決まってなくて……! 良かったらみんなが頼んだの、参考に教えてくれない?』って聞いてくれたから俺は最強。


 『去年に引き続き、僕はステラ先生があの舞踊衣装を着て踊っている姿をナマで見たいです。それとできれば先生がサンタさんの格好をしているところもみたいです。サンタさんにお願いしておいてください』って伝えておく。ステラ先生、『つ、伝えるだけだからね! 必ずしも叶うわけじゃないから、そこは勘違いしないでよね!』って真っ赤になってたっけ。


 俺、今年もちゃんと良い子にしてたよね? 悪いこと全然してなかったし、去年より頑張ってたよね? 今年こそサンタのおねーさんたちとお話しできると良いなあ。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんだかんだで今日は楽しくクリスマスの準備をしていただけ。クリスマスディナーはある程度おばちゃんが作ってくれるし、こっちは数品適当にこしらえるだけでいいはず。


 ……改めて思ったけど、今日ちゃっぴぃがおりこうさんだったのはサンタを召喚するためか。クリスマスが近づいていることを子供の本能で悟ったのだろう。いつもこれくらいおりこうさんだといいんだけど。


 あと、風呂が普通に昨日の温泉になっていた。『よくわからんけどよくやった』、『どうせ一日で終わるだろうけど、これは立派なことだ』って珍しくラフォイドルがギルを褒めていたっけ。ほめられるのは本来俺のはずなのに。ちくしょう。


 ギルは今日もぐっすりと大きなイビキをかいている。こいつ、アリア姐さんの横で『俺だって負けないもんね!』って張り合って(?)ポージングしていたっけ。余ったスターを乳首に飾ってやったけど、あまりに絵面が酷かったからパレッタちゃんがひっぺがしていたのを覚えている。やはりあそこはスターではなくベルにするのが正解だったか?


 ギルの鼻にはスノウモールを詰めておく。これ、誰かがアリア姐さん用に奮発して買ってきた飾りなんだけど、マジで雪でできている故に『ぽんぽん壊すと拙いから、気持ちだけ受け取っておくな』ってジオルドの検閲が入っちゃった奴ね。


 その後ヒナたちとグッドビールのおもちゃになった成れ果て(残骸)を譲り受けたという曰く付きの一品。おやすみなさい。


※燃えるごみを捨てる。魔法廃棄物はクリスマスの彼方に送る。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公がギルの鼻に詰めることから起きる 影響の規則性に気付くのはいつになるのか気になった 気付かれないのも含めて邪神のせいなんかな?
[一言] クリスマス?鳥とケーキ食べるだけの日でしょ?() 何でこれから忙しくなるのに飾り付けなんてやるの?(修士2年脳 本命:大雪 対抗:超大雪 大穴:学校埋まるほどの雪
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