251日目 魔導工学:自習(キノコ☆クライシス)
251日目
なーんか異様な雰囲気がするような気がしなくもない。
ギルを起こして食堂へ。今日も今日とて授業が無いため、なんか気の抜けている奴らが多数。休みよろしく寝こけている奴はもちろん、パジャマとほぼ変わらない恰好で食堂に来ている猛者も。ウチの女子でさえ、そんな恰好は一応クラスルームまでにとどめているというのに。
朝飯にてあったかいミルクを頂く。なんとなく飲みたくなっちゃったためである。ちょっぴり砂糖を入れると甘みが増してとても飲みやすく、美味しくなるのが大変すばらしい。人によってはその乳臭さからそもそもミルクが飲めないってパターンもあるけれど、なんだかんだでホットミルクが嫌いって人は見ないような気がする。
俺のお膝の上のちゃっぴぃも『きゅーっ♪』って美味そうに飲んでいた。いつになく豪快な飲みっぷり。これだけしっかり飲んでくれるのだから、きっとこいつは大きくなるだろう。
ちなみにロザリィちゃんもホットミルクは結構好き。『お代わりしちゃおうかな!』ってちゃっぴぃと一緒に三杯くらい飲んでいた気がする。そしてちゃっぴぃのお口周りにできた白いおひげを優しくすっと拭いてあげる姿が本当に可愛い。どうしてロザリィちゃんはあんなに可愛いんだろう?
ギルは普通に『うめえうめえ!』ってジャガイモ食っていた。ついでとばかりにホットミルクも冷たいミルクも『飲まないなら俺全部飲んじゃうよ!』って宣言したうえで『うめえうめえ!』って飲み干していた。いつも通りの光景だ。
昨日と一昨日に引き続き、今日もクラスルームでぼーっとする。正直いってマジでやることが無い。クーラスは女子に編み物を教えていて、ジオルドはルマルマ壱號の整備をして、そしてフィルラドはエッグ婦人のケツを追いかけ、ポポルはヒナたちを腹巻の中に入れて暖炉のあったかいところを占拠……と、好き勝手過ごしてやがる。誰も俺にかまってくれない。ひどい。
こうなったら俺もちゃっぴぃを抱き枕にしてふて寝でもしてやろうか……と思ったところで事件発生。
『なんか変な匂いしない?』ってパレッタちゃん。『言われてみれば……妙にかび臭いような?』ってアルテアちゃん。試しに鼻をすんすんさせてみれば、なるほどたしかにいつものルマルマの匂いがしない。かび臭いというか、ジメジメしている森の中と言うか……そんな感じの匂いが充満している。
おまけにおまけに、『なんか外黄色くね?』ってポポルが窓を指さした。さっきまでは曇りがちながらも普通に晴れていたのに、なんか外が黄色い靄のようなものに覆われている。土煙っぽくも見えたし、霧のようにも見えたし……『いつのまにかルマルマ寮ごと異界に流されたのかな?』ってクーラスもなんか舌打ち。せっかく女子と良い感じになれていたのに、はっきりわかるほどの異常事態に邪魔されてキレたんだろう。あいつはそういうやつだ。
ともかく、とりあえず実害はなさそうなので放っておく。『……なんか、遠くの方から悲鳴が聞こえなかった?』、『微妙に外でドンパチやってそうな魔力の動きがあるな……』ってみんながなんかただ事じゃない雰囲気を感じ取っていたんだけど、それにしてはこっちの方にはまるで被害が無い。
なにより、ギル・クリーチャー特有の異常魔力の雰囲気がほぼ感じられず。「ほぼ」って言うのは、ヴィヴィディナやヒナたちから発せられているそれがルマルマでは常に感じられるから。少なくとも俺たちなら、こいつらの気配とマジもんの化け物の気配を間違えるわけがない。
とりあえず、ヤバいことが起きているのは確か。でも、それはここじゃなくてもっと遠いところ。二年生の寮の話じゃないんだから、きっと上級生がまたバカなことやってんだろうな……ってみんなで話していた。
が、ここにきて事態が動く。『ちょ、ちょっと助けてぇ……!』って涙目ピアナ先生がやってきた。うっひょう。
どうやらピアナ先生は居残り組だったらしい。それを知っていたなら毎日でも遊びに行ったのに……なんてことは置いておくとして、『ちょっと、一年生の方でやらかしちゃったみたいで……!』とはピアナ先生の談。
『もしかしなくともヤバい感じですか?』って聞いてみれば、『……ちょーっと、責任問題になりかねなかったり? お給料、減額の可能性も?』って引きつった笑みが。クリスマスの時期にそれはヤバいってんで、さっそく現場に行ってみることにした。
で、現場──一年生の寮だけど、こいつがまたすごいことになってた。
まず、寮全体がふわふわもこもこの何かに覆われている。綿のように見える……って言えば聞こえはいいけれど、ヤバいほうの紫だったりヤバいほうの黄色だったり、見た目がとにかく毒々しい。本来ならそんなヤバい印象を受けないはずのクリーム色でさえ、なんか形容しがたきおぞましさを感じてしまうレベル。
そのもこもこからは、砂煙のように黄色い粒子状の何かが噴き出ていた。空が黄色くなっていたのはこいつの影響なのだろう。
そして、寮を覆うそのふわふわを繋ぎとめるように粘っこい糸的なものが引いている。ぐじゅぐじゅべとべとしているらしく、見るからに素手で触っちゃいけない感じ。さっさと焼却処理してしまうのが正解としか言えない。
何よりヤバいのは……そんな寮の付近を、頭からキノコを生やして虚ろな目をした、明らかに普通じゃない感じの一年生たちが徘徊していたことだ。
『何すかコレ』って聞いてみる。『なんか……変なキノコが発生したみたいで……』ってピアナ先生。連絡を受けたときにはもうこの状態だったらしく、一人での解決は無理だと判断して暇を持て余しているであろう俺たちに声をかけたらしい。
ちなみに、中ではまだ無事な一年生が立て籠もって必死の抵抗をしているらしい。その中の一人が何かの魔法で状況を外に連絡したらしいんだけど、『キノコの胞子がどんどん寮の中を浸食していて、あとキノコが生えちゃった学生が正気を失って襲い掛かってくるんだって』ってピアナ先生が言っていた。
どうにもこのキノコ、寄生茸の一種であるっぽい。ただ、ピアナ先生も見たことない種類の様子。とりあえず適当に徘徊しているのを分縛って頭のキノコを引っこ抜いてみようとしたんだけど、『ぎゃあああああ!?』ってそいつはめっちゃ痛がっていた。
『上級生なら気にせず引っこ抜くんだけど、一年生が相手だとね……』ってピアナ先生も苦笑。キノコによる寄生はあくまで一時的なもので、切除さえすれば正気を取り戻すってところまでは確認できているのだとか。
俺たちに任せられた使命は事態の鎮静化、無事な学生の救助、そしてキノコってる学生の捕縛ってかんじ。お鼻の敏感なロザリィちゃんは『うぇぇ……無理ぃ……!』ってこの段階でかなりきつそう。その他女子も『ちょ、ちょっと生理的にやりたくないかも……』って腰が引けているのがチラホラ。
ともあれ普通に突入。『今夜はキノコ鍋だぞ!』を合図に各々好きなところから攻め入ってみる。
一応、なんか異形化したキノコが襲い掛かってきたけど、難なく返り討ちにできるレベル。多少は火耐性があるものの、それだけでやっていけるほどこの業界は甘くない。動かなくなるまで魔法をぶっ放してたら動かなくなった。実にわかりやすい。
というかそもそも、量が多いだけで中身は大したことが無い。こんなヤバそげなキノコなんだから、絶対なんかヤバい特性があるだろう……と思っていたのに、俺たち自身がキノコることもなければ、操られたりってことも無かった。
途中でポポルの頭にキノコが生えているのを発見。『大丈夫か?』って聞いてみたら、『ヴィヴィディナのささやきに比べれば全然なんてことなくね?』とのこと。雑音と言うか精神干渉的なものがあるけれど、『羽音みたいでクソうるさい』って吐き捨てられるレベル。
とりあえず引っ張ってみたら『めっちゃ痛いんですけど!』って抗議された。やっぱり根っこか菌糸か、そう言ったもので物理的に体内に結びついているらしい。ホントに大丈夫なのか、何か変わったことはないか……って改めて聞いてみれば、『なんとなく、レアのステーキが食べたい気分だ』って回答が。通常通りだ。
んで、襲い来るキノコを打ちのめし、キノコってる一年生を吸収魔法で無力化し、ずんずん進んでいく。どこの寮かは知らんけど、やっぱり連中のところもあまり造りはよくないらしい。全体的にボロく、隙間風的なのが普通に入っているがわかる。そのせいで、寮のあちこちに胞子が広がってしまったのだろう。
途中でへそくりらしきドーナツを発見。が、見事にキノコが生えている。生意気にも俺に向かって胞子を飛ばしてきたので入念に燃やしておいた。
すでにキノコの胞子の森となった寮の中、これ幸いと粘塊とかをぶっ壊しまくって進んだところ、最奥部のクラスルームらしきところに到達。『た、助けが来た……!』って十数人の一年生がホッとしたような顔してた。どうやら無事な連中だけでバリケードを構築し、ついでに結界を張ってひたすら耐え忍んでいたらしい。
が、あの野郎たち、せっかく先輩が颯爽とカッコよく助けにやってきたと言うのに、『ひぃッ!?』、『寄るな化け物ぉッ!!』って魔法をぶっ放してきやがった。なんなのあいつら。
もちろん、一年坊の魔法なんて俺からしてみれば児戯に等しい。集中砲火を難なく処理し、組長らしきやつに『最近の一年は礼儀ってもんを知らないらしいな?』って不敵に微笑む。最高に決まったって思ったよね。
ところがどうにも、こんなにもエレガントでカッコいい俺が微笑んでいるというのに奴らはガクガクブルブルするばかり。なんかもう絶望の表情を浮かべて諦めている奴も。これがウチのちゃっぴぃだったらちょう笑顔になって抱き着いてくるって言うのに。
『……マジでどうした? 怒らないから言ってみろ』って声をかけたところで、『え……正気なの、か……?』ってたいそう失礼な物言いが。奴らの視線は俺の頭上。そういやなんか妙に頭がかゆいなと思って俺の頭をさわさわしてみれば。
なんか普通にキノコが五、六本生えている。こいつぁうっかり。
『キノコ生えているのに……何で正気なんですか……?』って聞かれたので、『好き嫌いせず野菜を食べて、毎日の予習復習をしっかりして、そして早寝早起きと脳筋の筋トレをかかさないでいるからだな』って返しておく。『やっぱこの人狂ってる』って言われたのが未だに解せぬ。
ジョークはともかくとして、マジでこのキノコ程度の寄生能力じゃ俺には……というかたぶんルマルマみんな問題ない。一年生は『悍ましい囁き声が聞こえたって……頭の中にそんな声がずっと響いて、自分が自分でなくなるって言ってました……』って情報をくれたけど、俺にはそんな声聞こえすらしなかった。
ちなみにこのキノコ、普通に胞子に触れるだけで感染(?)するタイプらしい。キノコっちゃったやつを助けようとして、あとになって発症した奴もけっこういたんだとか。タイムラグがあったゆえに、思った以上に広まってしまったとのこと。
タチの悪いことに、キノコっちゃったやつは無事な奴を積極的にキノコらせようとしてくるんだって。最初の方はまだまともに見えるから、それで引っかかっちゃった奴もいるらしい。
『なので、もしかしたらあなたも……』って心配そうな目で見られたので、その場でキノコを引っこ抜いておく。これまた一年どもは唖然とした表情。『喉がつぶれても叫ぶくらいに激痛が走るはずだぞ……!?』ってまるでこっちを化け物を見るかのように見てきた。ホント最近の一年は失礼でやーね。
落ち着いたところで大本を絶ちに行く。心当たりがあること自体が不思議だったんだけど、『その……ちょっと変わったやつが、なんかまた変わったことしていたので……』って情報が。どうやらそいつは女子部屋の一角に引きこもっているらしい。
で、件の部屋に行ってみる。『きゃははははは!』って見事にキノコってラリっているエイラがいた。なんかもう全身がキノコに侵食されていて、明らかに正気でない感じ。
そのうえなんか傍らに、見るからに邪悪な人面茸が。おどろおどろしいなんとなく見覚えのある魔力雰囲気を纏っていて、生意気なことに俺よりタッパがあったり。しわくちゃのキノコらしい手でエイラの背中に触れていて、どうもエイラを媒介としてこの事態を引き起こしたらしいってのが確定的に明らか。
というか、間違いなくそうだろう。大方、人面茸の邪悪な魔力でこのキノコクライシスを引き起こし、そしてエイラに寄生してあいつの躾魔法を行使することで、キノコそのものを操り、胞子をどんどん広げ──そして、キノコ人間を操ったって所だろう。
とりあえずエイラには速攻でケツビンタ。迷惑かけたのだからケジメはつけなくっちゃあならない。人面茸には有無を言わせず吸収魔法を叩き込む。どのみち俺に胞子は効かないのだから、長引かせるだけ時間の無駄。俺の華麗なるテクニックにより、程よく水分の抜けた干しキノコとなった。すごく良い出汁が取れそうな仕上がり。さすが俺。
そんな感じでキノコクライシスは終了。終わってみれば実にあっけない。ぶっちゃけただのキノコ駆除でしかなく、人手さえあれば簡単に対処できた案件であった。
一応、我がルマルマのメンツにケガ人はいなかった。みんな胞子塗れで頭からキノコをはやしていたけど、『なーんか耳元でブツブツうるさいのよねぇ……』、『炙り焼きにして食ってやるぞって脅したら大人しくなったぞ』って和気藹々と話していた。
一方で、救出された一年生たちはみんなボロボロ。必死になって襲い掛かるキノコやキノコってるクラスメイトに抵抗したのだろう。キノコっちゃったやつは身体的にも魔力的にも消耗が激しかったし、それこそ余力があったのなんて組長クラスの連中だけじゃなかろうか。
エイラのやつは割とすぐに目を覚ました。目を覚ますなり、『ティルパンニャは……!? 私のティルパンニャはどこ……!?』とかアホなことを抜かしだす。『昨日、あの子はみすぼらしく打ち捨てられていて、トボトボと歩いていたの……! だから私が、お友達になってあげたの! あの子には私が必要なの! お願い、意地悪しないで返してよぉ……!』ってめそめそ泣きだす始末。
まさかとは思ってそのティルパンニャとやらのことを聞いてみたところ、『今度みんなに出荷するためのお友達なの! うふふ、きっと素敵なお友達になって出荷されるはずだわ……!』ってそこらに落ちてたキノコを拾ってうっとりしていた。マジかよって思ったよね。
どうやら例によって例の如く、この学校に時折現れる謎の化け物をエイラが拾ってしまったことがこの事件の原因らしい。『一瞬エイラが犯人かもって思ったけど、見つかった段階で操られていたんだね……疑ってごめん……』って何人かの女子がエイラに頭を下げていたのを覚えている。
こんな出来た人間が周りにいるのに、どうしてエイラは畑で友達を作ろうなどとしていたのだろうか。やはり一度、先輩として何らかの指導をしなくちゃいけないかもしれない。
ともあれ、そんな感じで事態は収束。今回は誰も悪くない、謎の人面茸のせいで起きてしまった不幸な事故と言うことで片付けられた。『これを機に、お前らもクラスごとの団結をより一層強めておけよ』って組長として華麗にアドバイスする。彼ら、互いにキノコを引っ張りあって遊んでいるポポルとかを見てドン引きしてたけどね。
そうそう、後処理もかねて、最初の宣言通りその場でキノコパーティを開催することに。とりあえずこの前のバーベキューセットを持ち寄って、まずは普通にキノコの炙り焼き。塩コショウだけをぱらりと振って素材の味を楽しむシンプルな奴。
『うめえうめえ!』ってギルは美味そうに食っていた。
次は定番のバター炒め。『ちょっとお前のくれよ』ってクーラスとジオルドの頭からキノコを引っこ抜き、適当に切ってバターで炒めてみる。あの食欲をそそる何とも言えない良い香りが堪らない。思わずおなかがきゅうってなっちゃいそう。
『うめえうめえ!』ってこれまたギルは美味そうに食っていた。
最後にキノコ鍋の作成に取り掛かる。今回はゴージャスに、キノコオンリーという悪魔もビビるサバトを決行。出汁には俺の吸収魔法によっていい具合に干された寄生茸の親玉……エイラ曰くティルパンニャを使用させていただいた。ついでとばかりに『邪魔だしちょうどいいわね』、『捨てるのもなんかシャクだもんね』って女子が頭に生えたそれを引っこ抜いてぽいぽい鍋に投げ入れていく。
当然一つじゃ収まりきらなかったので、いくつか味を変えた鍋を用意させていただいた。『勿体ないから落ちてるのも入れようぜ!』、『一年生も遠慮するなよな!』ってわがクラスメイトの気配りもすごい。
ちなみに味は普通にデリシャス。キノコ特有のうまみが十分に効いていて下手な味付けなんていらないくらい。トラウマ克服&魔力回復のために一年生にも振舞ったんだけど、『認めたくないくらいに美味しい……』、『これ美味しいって思っちゃいけないタイプの美味しさじゃないの……』、『ぜったいヤバいの入ってるよぉ……!』って言いながらも奴らは涙を流してありがたがっていた。照れるぜ。
エイラもまた、『美味しいわ! 美味しいわ! これが友達と分かち合う美味しさなのね! やっぱりティルパンニャ、あなたは最高のお友達よ!』ってすんげえ嬉しそうにキノコ鍋をガツガツ食っていた。
『僕らにも責任がある。今後エイラを関わらせないようにしよう』って組長クラスのやつが俺たちを見て深刻な表情をしていたんだけど、アレの意味だけがわからない。
最終的に、キノコの胞子塗れの寮は『久しぶりに魔法使っちゃうぜ!』ってギルが寄生魔法を行使したことによりある程度は復旧。寄生魔法要素がキノコの胞子を逆に寄生浸食していき、どんどん喰らい尽くすさまはまさに圧巻。腰を抜かす一年生もいたっけ。
ゆうめ……じゃない、風呂入って雑談して今に至る。『なんだかんだで今日はいい運動になったな!』、『うー……キノコ、食べすぎちゃったかも……』って男子も女子も満ち足りた顔。やはり授業が無くて行き場のない元気があり余っていたのだろう。あるいは、大っぴらに遊べないことにストレスを感じていたのか。
いずれにせよ、一年生も助けられたし俺たちも憂さ晴らしができた。そして事態は無事解決したのでピアナ先生もにこにこ。『したっぱの私しか校内にいないときにあんなことが起きるんだもん……びっくりしちゃうよね』って安心したように笑っていたっけ。
ドクター・チートフルのことだけが心配だ。今日だけで何人の一年生が運び込まれたかわからない。どれも軽傷とはいえ……なんか微妙にキノコった後遺症が残っているのか、ちょっと言動がおかしかったんだよね。
やっぱ切り取るなんて甘っちょろいことせずに、根元からしっかり引っこ抜いてやったほうがよかったかもしれない。
キノコをたらふく食ったギルは今日も大きなイビキをかいている。なんか妙に文章が長くなったことだし、俺もそろそろ寝よう。
ギルの鼻にはキノコの粘塊を詰めておく。みすやお。