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232日目 薪割りと暖炉試運転

232日目


 動く死体の指がちょうフレッシュになってる。どういうことなの。


 ギルを起こして食堂へ。なんか今日は一段と寒く、吐いた息が微妙にうっすら白かったり。なんというか冬の朝の匂いがしてちょっぴり趣深いと思わないことも無い。このくらいの時期から洗濯すると手が死ぬのがだいぶネックではあるけれども。


 朝の寒さに打ち勝てず眠りこけているやつはやっぱり多いらしく、食堂はいつにもまして人が少なかった。普通に起きていたアルテアちゃんも『くぁ……っ!』って大きなあくびをしていたし、やっぱりジオルドを侍らせて(?)いたアリア姐さんも、「ちょっと眠いわ……」とでも言わんばかりに目がとろんとしている。やはり植物にとっては冬場の寒さは堪えるのだろうか。


 朝食にて焼き栗を食す。安く仕入れたのだろうか、なんか山盛りで置いてあったんだよね。なんだかんだで朝食に栗を食べたのって初めてかもしれない。


 味は普通にデリシャス。渋味はほとんどなく、甘みは濃くて、そして焼いたことによるあの何とも言えない香り高さが最高……なのはいいんだけど、俺のお膝の上のちゃっぴぃが『きゅーっ♪』って皮を剥いたそばからひょいぱくひょいぱくと食ってしまうのが頂けない。


 俺が一生懸命剥いているのをにこにこ笑いながら見つめて、剥けた瞬間に食ってしまうんだもの。剥くのにはそれなりに時間がかかるのに、食べるのは一瞬なものだから俺が食う暇がない。あんまりだ。


 しかもあの野郎、剥くのに失敗した奴(形が崩れちゃった奴)は『きゅ!』ってそっぽを向くしさあ。まぁ、そういうのだけ『きゅ! きゅ!』って俺の口の中にねじこんできてくれたから、そういう意味では悪くなかったんだけれども。


 一応書いておく。ギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモを食っていた。あと、ヴィヴィディナは普通に皮ごと栗を食ってたし、なんならイガイガもおばちゃんからもらって食っていた。『食べたらなんか強くなりそう』とはパレッタちゃんの談。そんなもの食える時点で十分に強いって思った。


 さて、せっかくの休日だし今日はゆっくり過ごすか……と思っていたところで、『みんな、いるー?』って私服姿ステラ先生がやってきた。うっひょう。


 これはもしやサプライズデートのお誘いか……とわくわくしていたところ、『色々あってちょっと遅れちゃったかもだけど、そろそろ薪の準備をお願いしたいなあって……!』とのこと。確かに言われてみれば今年はまだ薪割りをしてないし、そろそろ暖炉の準備を整えておかないと冬がヤバい。そしておこちゃまポポルが『なんで大事なこと忘れてんだよ!』って俺に当たってきた。解せぬ。


 そんなわけで男子連中を引き連れて薪割りをすることに。相も変わらず、この学校は薪は用意してくれるのに割るのはセルフという謎仕様。ホントに飯以外のところに金をかけないってスタンスを徹底している。一度帳簿を確認してみたいところ。俺ならもっと経営を改善できると思った次第。


 で、ひたすらひたすら薪を割る。なんだかんだで鉈を振るうのも久しぶり。今回はあえて魔法を使わず真心を込めて手作業としてみた。結果物は変わらないけれども、『がんばれーっ!』ってロザリィちゃんの応援を一秒でも長く受けるためである。あ、ちゃっぴぃも『きゅーっ!』ってロザリィちゃんに抱っこされながら応援してくれたっけ。


 なお、他のメンツは普通に魔法(一人だけ筋肉)。『おらおらおらおらぁっ!』ってポポルは連射魔法で割りまくっていたし、ジオルドは具現魔法で庶民のギロチンを具現化、薪の自動生産ラインを築いていた。フィルラドは普通に小人を大量召喚して強制労働。ギルはいつものマッスルラッシュ。


 薪割りの途中にて、ロザリィちゃん他女子が『おつかれさま! ちょっと休憩しようね!』ってレモネードを差し入れしてくれた。俺ってばだいぶ汗臭くなってたと思うんだけど、ロザリィちゃんはそんなの気にしないとばかりにぎゅーっ! って抱きしめてくれた。『こーゆーのがいいんだろぉ?』って俺の腕の中でにこって笑って、そのまますーはーすーはーくんかくんかに移行する。これぞお互いウィンウィンってやつなのだろうか。


 なんだかんだでおやつの時間の前くらいには薪割り終了。やっぱり男子総出でやれば意外とあっという間。とりあえずあれだけやれば今シーズンくらいは乗り切れるだろう。足りなくなったらギルの筋トレとして割ってもらえばいいや。


 その後は暖炉の試運転。本格的に寒くなる前に調子を見とかないと何かあった時に怖いからね。


 一応問題なく暖炉は機能することを確認。煙の流れも灰の状態も問題なし。ただ、せっかく今シーズン初のぬくもりを独占しようと思ったのに、暖炉のぽかぽかで一番あったかいところを使い魔どもに占拠されたのがわけわかめ。


 俺がゴロゴロしていたら『きゅーっ!』ってちゃっぴぃが突撃してきて、それにポワレ、グリル、ソテー、マルヤキ、ピカタ、ローストが続いて、止めとばかりに「へっへっへっへっ!」って舌出してアホ面晒したグッドビールが突っ込んできたんだよね。


 なんとか場所を死守するも、逆に俺がクッション代わりにされてしまうという由々しき事態。ちゃぴぃは完全に俺のケツを枕にしていたし、ヒナたちは俺の背中に乗ってウトウト。せめて一矢報うべくグッドビールを枕にしてやろうと画策するも、『それはあたしの権利なの!』ってミーシャちゃんがグッドビールを抱いて暖炉の前に陣取っちゃったんだよね。


 結局そのまま夕方までぼーっとしていた気がする。途中、ステラ先生が使い魔&おこちゃまに埋もれる俺を見て、『なんか……微笑ましい光景だね?』ってにこって笑ってくれたのでちょう幸せ。


 が、『出来ればステラ先生も混ざってほしいんですが……』ってお誘いはあえなく撃沈。途中まで話しかけたところでエッグ婦人に猛烈につつかれた故である。そりゃもうびっくりするくらいに突かれて、なんならちゃっぴいが『きゅ!』って俺のケツをエッグ婦人に明け渡すレベル。


 ……まさかとは思うけどエッグ婦人のやつ、妬いたわけではあるまいな? ……いや、それはないか。単純に俺のケツを突く適当な理由が欲しかっただけだろう。エッグ婦人はそういうやつだ……というか、最近使い魔まで俺への尊敬の念が薄くなってきてない? 俺ルマルマの組長だよ?


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんだかんだで今日はあんまり書くことが無いような? 薪割って暖炉の前でゴロゴロしていただけだし……今更ながら、ロザリィちゃんに膝枕してもらいたかった。そうでもなきゃちゃっぴぃにケツ枕にされた釣り合いが取れない。ちくしょう。


 ギルは今日も大きなイビキをかいている。寒くなってきたというのに相変わらず半裸でたくましい腹筋がモロ出し。とりあえずぽんぽん冷えないように毛布を掛けてやったけど、どうせ明日になったら盛大に吹っ飛んでいるのだろう。虚しい。


 まぁいいや。ギルの鼻には……薪の欠片でも詰めておくか。おやすみなさい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 薪ストーブか……ペンション経営の知り合いの家にありますけど、あそこ水道管が凍るんだよなぁ…… 本命:ギルの肌が木目 対抗:ギルが焦げ臭い 大穴:ギルが熱い
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