23日目 レポート&乳しぼり
23日目
天井に血文字。狂った悪魔みたいな字で【イイモイモ モモ モイイ モイモモ モモ モイ イモモイモ モモイ イモモモイ イモイイイ】って書かれてた。この手の汚れって落ちにくいからやーねぇ。
ギルを起こして食堂へ。昨日ロザリィちゃんたちと一緒に寝たからか、今日はステラ先生も普通に食堂にいた。『おいしーっ♪』って言いながら休日限定デザートのアップルパイを頬張るところがマジプリティ。
『ね、ね、ちょっとずつ交換しよ!』ってロザリィちゃんたちとそれぞれチェリーパイとかを一口ずつ食べさせあいっこする姿も最高。言われなきゃ学生にしか見えないってすごいことだと思う。
見とれていたところ、『ぷーっ!』ってロザリィちゃんがふくれっ面に。『せんせいなら浮気してもいいけど、恋人をないがしろにしていいわけじゃないんだからねっ!』って食べかけのピーチパイを口に押し付けられた。もちろん、最高においしかったです。
ギルは今日もジャガイモ。なんとなくみんながノリでミートパイとかポテトパイとか食べているのに普通の単品のジャガイモ。『うめえうめえ!』っていつも通り。
通りすがりのシャンテちゃんが『ルマルマはみんなパイを食べてるけど、そんなにそれおいしいの?』って不思議そうにギルに聞く。ギルの奴、『めっちゃうめえ!』って最高の笑顔で答えていた。さすがはギルだ。
一応念のため書いておく。ロザリィちゃんがピーチパイ、ステラ先生がアップルパイ、アルテアちゃんがレモンパイ、ミーシャちゃんがチェリーパイ、パレッタちゃんがベリーパイを食べていた。お菓子を作るときとかの参考として覚えておくこと。
……ロザリィちゃんとアルテアちゃんの好みは知ってる。いつもピーチとレモンを選んでいるから。だけど、ステラ先生もミーシャちゃんもこの手のものは何でも美味しそうに食べるし、パレッタちゃんに至ってはその時々でカオスなチョイスする。
だから、この俺の目を持ってしてでも本当の好みってよくわかんないんだよね。今度さりげなく聞き出しておかないと、凄い宿屋の沽券に関わるっていう。
午前中は一回目の実験の再レポートの修正を行う。とりあえず新たに加えられたコメントに沿って修正し、クーラスのレポートと情報を共有して完成度を高めていく。
図のちょっとしたミスなんかはすぐに直せるんだけど、考察なんかはどう直せばいいのかよくわからん。俺もクーラスもアウトなところは正直どう切り込んでいくべきかさっぱりわからない。『俺とお前の二人掛かりでここまで手こずるなんてな』ってクーラスは疲れた表情を隠そうともしなかった。
しかし、ここで『困ったときは頼ってって言ったよね!』ってルマルマの聖母ステラ先生が胸を張った。『頑張ろうとする姿勢はもう十分わかったよ! だから、辛いときは頼っていいんだよ!』ってなんかすんごい得意げ。
……みんな、先生がクラスルームのソファでぐでっとしてたから声をかけなかっただけなんだけど。まぁ、そんなおちゃめなステラ先生も素敵だと思います。
ともあれ、昨日と同じくステラ先生の御力を借りて作業を進めていく。ただ、さすがに全部助けてくれるってわけでも無くて、ステラ先生はあくまで【わかりづらいところを教えてくれる】、【ヒントを与えて理解を促す】ってスタンスを崩さなかった。そりゃそうか。
なんだかんだでおやつの時間ごろにはみんな作業終了。『他のクラスにはナイショだからね!』ってウィンクするステラ先生がマーヴェラスにブリリアントでした。
時間が中途半端に余ったため、その後はちゃっぴぃの乳搾りを行うことに。ぽんぽんと膝を叩けば、奴は素直に『きゅ!』って乗ってきた。どうやら今日はロザリィちゃんを介さなくても乳しぼりされていい気分らしい。
で、いつも通りそのまま後ろから乳を絞り込んでいこうとしたんだけど、ここでステラ先生が『ま、前々から思ってたんだけど……その……そ、そのスタイルは……ね?』ってぎこちなく微笑んできた。いったい何のことだかよくわかんない。
ともあれ、ストップをかけられたので一時中断。『男の子が女の子の……それをやるのは、先生よくないと思うの』って言われたので、『じゃあお手本見せてください』と返す。ステラ先生、一瞬で顔がイチゴみたいに真っ赤になった。
が、『……ううん、生徒のためだもの』って何やら一人で納得した模様。『よく見ててっ!』ってちゃっぴぃに向けて杖を振るう。『きゅーっ!?』ってちゃっぴぃがびっくりして悲鳴を上げた。
次の瞬間、『……きゅ?』ってちゃっぴぃの様子がおかしくなる。何やら妙に顔が赤くなり、ついでに息遣いも荒くなった。夢魔らしい色気と妙に甘い魔力を体から発し、そしてステラ先生をロックオン。
『きゅーっ♪』ってちゃっぴぃはステラ先生に抱き付いた。先生、ちゃっぴぃを優しく引き離し、『おねがい、ね?』って膝立ちの状態に。
そのまま、ちゃっぴぃがずいっ! って持ち上げたそれを真正面から優しく絞っていく。瓶一本分搾ったところで、『……一応、これが正しい夢魔の乳搾りのやり方なの』って真っ赤になりながら告げてきた。
……正面から絞るか背後から絞るかってだけしか違くない? ロザリィちゃんもクラスの連中も、みんな首をひねってたよ。
で、一応聞いてみる。『強力な幻覚魔法をかけて、合意の下で夢魔の方から乳搾りを促させるっていうのがちゃんとしたやりかたなの。無理矢理だとか、嫌がっているのを力づくでやるのは倫理的にも、安全面から考えても絶対ダメ』とのこと。
それならなおさら問題ないと思ったのはここだけの秘密だ。
というか、幻覚魔法をかければいいっていう発想そのものがいろいろアウトだと思う。だったら気配遮断&感覚鈍麻魔法とかを使って、気づいていないうちにささっと絞ったほうがよくない?
ともあれ、後ろから乳搾りするのは無理矢理っぽくみえてステラ先生的にはダメだったらしい。『ウチのちゃっぴぃは別にだいじょうぶだよー?』ってロザリィちゃんが証言してくれたおかげで、そこら辺の誤解が解けたのは嬉しいところ。
『え……もしかして、先生余計なことしちゃった……?』ってステラ先生は真っ赤に。端的に言って、先生は無駄に(?)ちゃっぴぃの乳を搾っただけである。『あうあう……!』ってうずくまる先生を、未だ魔法の解けていないちゃっぴぃが『きゅーっ♪』って抱きしめていた。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。どうやらちゃっぴぃは先生と風呂まで一緒に入ったらしい。ちゃっぴぃのくせに生意気である。うらやましすぎっていう。
あと、雑談中はパレッタちゃんが所望していたハゲプリンを作成した。結局砂糖は普通の奴を使ったけれど、エッグ婦人の産みたて卵とちゃっぴぃの搾りたて生乳を使っているから十分に満足できるクオリティだろう。惜しむらくは、夜が遅い&粗熱を取る都合上、食べられるのが明日になるってところか。
ギルは今日も大きなイビキをかいている。明日はレポートの提出で早起きしなきゃだから、今日はさっさと寝よう。鼻には……コール・コール・ライフでも詰めておこうか。
なんかコレ、たくさん集めれば使い魔召喚の儀式に使えるって触れ込みだからわざわざ入手したんだけど、この程度の大きさじゃ呼び出せてもせいぜいがバッタくらいらしいんだよね。ギルのためにも、こっそり集めてもいいかもしれない。みすやお。
※燃えるゴミは魔界送り。魔法廃棄物は煉獄送り。