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220日目 魔法流学:テスト返却

220日目


 ギルの乳首が半分コイン。どうなってんのあいつマジで。


 ギルを起こして食堂へ。なんだかんだで今日から普通に授業。先週一週間が事実上の休み(?)であったからか、食堂ではナーバスになっている奴らがいっぱい。『授業のない学校だったら最高なのになあ』ってライラちゃんがゼクトに愚痴っていたのをなんとなく覚えている。


 朝食はハムチーズトーストをチョイス。パンの上にチーズとハムを乗せて焼いただけの簡単便利でお手軽な朝餉である。ウチの学校は食事だけは豪勢だから、ハムの厚さも結構あったり。一般的なそれ以上のワンダフル感があると言えよう。


 『実はこういうの結構好きだ』ってアルテアちゃんがそれに嬉しそうにかじりついていた……けど、その瞬間をフィルラドにガン見されてめっちゃ恥ずかしがっていた。『見るな! 食べるところ!』ってアルテアちゃんが抗議するも、『食べるところだけじゃなくて、いつもずっと見てるんだけど』ってフィルラドはトンチンカンな解答。それを聞いてなぜか赤くなるアルテアちゃんはもっとよくわからん。


 そんなのを横目でぼんやりとみているうちには、俺のお膝の上のちゃっぴぃが『きゅーっ♪』って真ん中のやわらかくて一番美味いところで盛大に『あーん♪』ってしやがった。正確には、尾っぽで俺の脇腹を突き、条件反射で俺に『あーん♪』をさせやがったというべきか。


 なんか俺、ちゃっぴぃにせがまれると自分の意志に反して無意識に『あーん♪』してあげちゃう体質になってしまったらしい。ちゃっぴ色に染められるとかマジ怖い。


 一応書いておく。ギルは今日も『うめえうめえ!』って嬉しそうにジャガイモを貪っていた。今日は特にコメントも思いつかない。乳首のコインは普通にコインのままだったしね。


 今日の授業はミラジフの魔法流学。ミラジフにしては珍しく、教室に入ってきたときに嫌味を言わなかった。『ようやく普通に戻れる……』って小さくため息をついていたところを見るに、あいつもカチコミの裏方としていろいろ働いていたのかもしれない。


 ……いや、無いな。なんかいろいろ理由をつけて全力で回避していそうな気がする。で、それをグレイベル先生やピアナ先生、キート先生が責任感から尻拭いするんだ。きっとそうに違いない。これだからミラジフは困る。


 内容だけれども、今日は普通に前回の中間テストのテスト返却であった。『想像していたよりかはマシだったが、それでも全体的に出来が悪い。心当たりのあるものは期末でせいぜい足掻け。もう私にはそれ以上送る言葉が見つからない』とのこと。


 実際、ある意味予想通りポポルやミーシャちゃんは悲痛な面持ち。クラスの何割かはそんな顔だった……けれども、『……意外とできてたかも』、『死んだと思ってたけど意外とイケたわ』ってパレッタちゃんとジオルドは自己予想よりもいい点が取れていたらしい。


 軽く見せてもらったけど、二人とも意外と途中式の計算で点数を貰えていた。わかんないなりにとりあえず式を立てて、ぱっと見は空白を無くして……って戦法が効いたっぽい。逆にポポルはわからないのは完全に捨てて、一点特化していたからダメだったわけだけれども。


 授業中にやった例題の式に見せかけたひっかけ問題がメイン……だけど、引っかかったら引っかかったなりに点を貰えているという謎システム。満点を取るのは難しいけれど、及第点だったら割とイケるような、そんな感じの塩梅。


 『……意外と優しい先生なのかなあ?』ってロザリィちゃんが騙されそうになっていたので、『ただの保身だと思うよ。あんまり再履を出すと学生部に目を付けられるってシキラ先生が言ってたじゃないか』ってフォローを入れておく。ことミラジフに限って、【優しい】とか【慈悲】なんて言葉があるわけがない。


 テスト返却後は普通にテストの中身の解説。ミラジフのいやらしいひっかけに気づいていなかった人たちは、解説を聞いて『性格悪すぎでしょ……』、『こんな如何にもひっかけるようなことする……? 何をテストするつもりなのさ……』ってドン引きしていた。


 『途中点を貰えただけありがたいと思え』ってミラジフは厭味ったらしくネチネチ。なんであの人はもっとこう、ステラ先生みたいに生徒を褒めて伸ばす教育ができないのだろうか。こんなんじゃ魔法流学を好きになれるはずがないし、それってつまりは魔法流学会の未来が潰えることにほかならないっていう。


 夕飯食って風呂入って雑談して今にいたる。今日はテスト返却だから書くことも少ない。あ、しいて言いうならギルがテストの点数トップスリーに入っていたことだろうか。『俺の筋肉が本気出せばこんなの楽勝だし?』ってギルは自慢げにポージングして、『んもう! んもう!』って半べそのミーシャちゃんに首元をガジガジされていたっけ。


 トップスリーの残り二人? 書かせるなよ恥ずかしい。なんか自分でそれを言うのって自慢みたいでクールじゃないじゃん?


 『やっぱり──くんはすごいね!』ってロザリィちゃんがごほうびのキスをしてくれたから、俺はそれで満足だ。もちろん、俺もロザリィちゃんに『よくがんばったね』のキスをしたし、たとえロザリィちゃんの点数が悪くても『次は頑張れるよ』のキスと『元気を出して』のキスをしていた……あれ、どっちみちキスしていたのか? 最高じゃねえかマジで。


 ギルは今日も大きなイビキをかいてぐっすりと寝こけている。手ごろなものが思いつかないので、今日は簡単に破れたハンカチでも詰めておこう。誰かが廊下に放置していた奴ね。ゴミをきちんとゴミ箱に入れられない人間がいることに悲しみを隠せない。みすやお。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは、肉体も勉強も出来るパーフェクトギル誕生か?
[一言] 嫌らしい問題に引っかかって泣くのはある そして赤点が多すぎて先生が補填に忙しくなるのもw 本命:ギルの髭がちぢれ毛 対抗:ギルの目がハンカチ柄 大穴:ギルがアフロになる
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