表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
220/367

219日目 第七回ルマルマおつかれさまパーティー

219日目


 ちょうすっきりな目覚め。毎朝こうでありたいものだ。


 ギルを起こ……す前に、なぜかちゃっぴぃが俺のベッドに潜り込んでいるのを発見。昨日の夜はいなかったはずなのに、なんか俺にひしっと抱き着いてスヤスヤしている。ご丁寧にも『きゅー……っ♪』ってほおずりなんかしちゃって、たいそう心地よさそう。


 どうせ休みだし、ついでに疲れていることもあって、ここは一つ使い魔らしくこいつを抱き枕にして惰眠を貪ってやろうと決める。最近少しずつ肌寒くなってきたし、あれでちゃっぴぃは女の子だ。なかなか温くて柔らかくて使い心地のいい抱き枕だったと言えよう。


 そんなわけで起きたのはちょっぴり遅め。ギルを起こしつつ、ちゃっぴぃをお姫様抱っこして食堂に行く頃には割とみんな普通に揃っていた。


 『やっぱりパパのところ行ってたんだねー?』ってにこって笑ってこっちに手を振ってくるロザリィちゃんが今日も可愛い。ちゃっぴぃのやつ、『きゅ! きゅ!』って恥ずかしそうにロザリィちゃんのおなかに顔をうずめていたけれども。俺もやりたかった。


 朝飯は何となくサラダをチョイス。昨日結構な勢いで飲み食いしたから、少しあっさりさっぱりしたものを食べたかった次第。クーラスやジオルドも今日は控えめにスープにしていたし、あのアルテアちゃんもヨーグルトとかで済ませていたと思う。おこちゃまポポルは朝からがっつり食ってたけどね。


 ギル? 普通にジャガイモを『うめえうめえ!』って食ってたよ。ミーシャちゃんも『たまには付き合ってやるの』ってケチャップにジャガイモを添えて食べていた。グッドビールのお口周りが大変すさまじいことになっていたことをここに記す。


 朝飯のあとはクラスルームでひたすらぼーっとする。さすがにこの一週間騒ぎすぎたために何もやる気が起きない。「今日はしっかり付き合ってもらうわよ?」と言わんばかりにアリア姐さんがせくしー☆ぽーずをキめ、そしてジオルドがあくびをしながらアリア姐さんに水をやっていたっけ。


 『俺のほうがすごいもんね!』ってギルはその隣でまっする☆ぽーずを決め込んでいた。芸術点だけならアリア姐さんをはるかに超えるレベル。アリア姐さんが誘惑のポーズを変えるたびにギルもその鍛え抜かれた体を惜しげもなく晒していく。


 「んもう! んもう!」って言わんばかりにアリア姐さんは下唇を噛んでいた。せっかく良い感じ(?)の状況だったのに、ギルが隣に来ただけで一瞬でイロモノの仲間入りしちゃったからね。


 あんま関係ないけど、最近ようやくアリア姐さんの持病である葉焼けが落ち着いてきたらしい。『今度は逆に日照不足が怖いな……』ってジオルドが呟いていた。さすがに冬になって枯れるってことはないだろうけど、やっぱ何かしらの対策はしないといけないだろう。


 ぼんやりしていたところ、『なぁ、中間おつかれさま会の準備しなくていいの? いつやんの?』ってポポルからの意外過ぎる発言が。みんなもう宴はしばらくいいかなって感じの気分だったのに、あいつの中じゃそうじゃなかったらしい。


 とはいえ、あいつの気持ちもまぁわからなくはない。そんなわけで第七回ルマルマおつかれさまパーティーは小ぢんまりとしたもので我慢してもらう……ということに相成った。『クリスマスはしっかりやるから、今回はこれで我慢してな?』ってポポルの頭を撫でたら、『子供扱いすんなよ!』ってガチギレされたのがわけわかめ。


 しかもなぜかヒナたちにも猛烈にケツを突かれた。あいつら俺のことを何だと思っているんだろ?


 とりあえずクッキーを焼いていく。ジャムクッキーとラムレーズンのやつね。思い返してみれば、この前ポポルに山盛りのクッキーを食わせてやると約束させられたような気がしなくもないし。


 クッキーを焼いていたら、『良い匂いがするぅ……!』ってきらっきらした瞳のステラ先生が迷い込んできた。やっぱりクッキーの匂いにつられてついつい足がこっちに向いちゃったらしい。


 そんなステラ先生も可愛くてステキ……だけど、悪い男に騙されてしまわないかとても不安になる。やはり俺が一生涯をかけて守らないと。


 ともあれ、山盛りのクッキーが焼けたところで第七回ルマルマおつかれさまパーティ(諸事情により小規模開催)の開始。『わぁい!』ってぴょんぴょこ跳ねながら真っ先にクッキーを食べちゃうステラ先生が本当に可愛いし、一瞬遅れてそれに気づいてかぁっと真っ赤になっちゃうところも最高。クラスの女子みんな、ステラ先生を暖かい瞳で見ていたよ。


 ちなみに、ステラ先生がこっちに来たのは偶然ではないらしい。『決闘お疲れさまって言いたくって……なんだかんだ、みんなとゆっくり話せる機会って久しぶりだし……』とのこと。


 言われてみれば、カチコミ中はあまり先生とお話しできなかった気がする。『決闘はあくまでみんながメインだし、先生たちは先生たちで朝と夜に打ち合わせとか報告書の作成とかあったから……』ってステラ先生は死んだ瞳で語ってくれた。


 やっぱり裏方は結構大変だったのだろう。先生がこっちに来たのも、少なからず心の奥底で癒しを求めていたからに違いない。あのちゃっぴぃでさえ、それを感じ取ったのか『きゅ!』って先生にクッキー(食べかけ)を『あーん♪』してたしね。


 あと、ステラ先生は『みんな決闘、おつかれさま! すっごく、すっごくカッコよかったよ!』ってみんなをぎゅっ! ってしてくれた。なんかもう、ふわふわであったかくてやわらかくて、夢でも見ているかのよう。これだけでもう、あのカチコミに参加した意義があったというものだ。


 『先生の方こそ、手ぇだいじょーぶ?』ってパレッタちゃんが嘆き喚くヴィヴィディナをさすさすしながら問いかける。『うー……大人として、ちょっと失礼なことしちゃった……』ってステラ先生は涙目。『失礼なのはあっちのクソだよ』、『いるよね、ああいう自分がカッコイイと思ってる俺様系って』、『反吐がでるぜェ……?』って女子たちが一斉に吐き捨てた。なんで関係ない男子までみんなブルったのか、未だに理解できない。


 なお、『ダンスができなかったのはちょっと残念……だけど、ヘタクソだしこれでよかったのかな……』ってステラ先生は言っていた。『今からでも遅くありませんし、僕に先生をダンスに誘わせてもらえませんか?』ってエレガントに手を差し出してみれば、『お、おお、おとなをからかっちゃダメっていつもいってるでしょっ!』って先生は真っ赤になって俺の肩をぽかぽかと叩いてきた。もっと叩いてほしかった。


 ……でも、今回に限って言えばやらなくてよかったのかもしれない。ステラ先生ローブ姿だったし、うっかり裾を踏んづけて転ぶ姿が目に浮かぶ……いや、逆にそれって美味しくないか? ちくしょう、失敗した!


 ともかくそんな感じで夜までグダグダ。みんなで秘蔵のおやつを出し合って、無くなったら俺がロザリィちゃんとイチャイチャしながらお菓子やおつまみを作って、またみんなでグダグダお話をして……って感じ。


 厨房のところでロザリィちゃんと内緒で『あーん♪』させあいっこするのが本当に楽しくて幸せだった。『パパってば、ちゃっぴぃのこと言えないねえ?』ってにこにこ笑いながら俺の口にポテトを入れてくれるロザリィちゃんのなんと可愛いことか。


 しかもロザリィちゃん、こっちが『あーん♪』すると『わんわんっ♪』って俺の指まで甘噛みしてくるし。もしかしたらあそこは天国だったのかもしれない。


 残念なことが一つだけ。そんな感じでいちゃついていたら、いつのまにやらパレッタちゃんとアルテアちゃん(追加の皿を取りに来たのだろう)にじっと見られてしまっていた。アルテアちゃんは俺にケツビンタしつつ『見逃してやるからそれ一口くれ』ってロザリィちゃんから一口パイを『あーん♪』してもらっていて、パレッタちゃんはさりげなく俺の隣に並び、『ほら、どうした? 見ててやるから同じようにやりなよ?』って真顔で一口タルトの『あーん♪』を強要していた。強い。


 夕飯(?)食って風呂入って雑談して今に至る。なんだかんだボードゲームやカードゲームで盛り上がっていたけれども、明日は普通に授業なのでは早めの時間にお開きとなった。あえて書くまでもないけど、念のため男子一同今日もステラ先生にケツの毛まで毟られたことをここに記す。


 昨日の賭けの儲けがほぼ捲られてクラス資金に流れることになってたので、俺としては特に問題ない。『やっぱり貯金は大事だし……「誰かがやるからいいや」じゃなくて、少しでもいいから自分でも入れるようにするんだよ?』ってステラ先生はぱっちりウィンク。


 やっぱり俺がこっそりつけていた帳簿(普通に貯金箱のところに置いてある)を確認していたらしい。学生の寄付金トップは普通に俺とギルだってことがバレている。


 ちなみに、無差別級ならダントツでステラ先生が寄付金トップ。定期的に帳簿にない闇のカネが貯金箱に流れ込んでいるのを俺は知っている。帳簿の存在を知っているのに、なんでステラ先生は自分がこっそりクラス財産にお金を入れていることがバレてないと思っているのだろう。そんなステラ先生も可愛いと思います。


 ギルは今日もぐっすりと大きなイビキをかいている。今日はシンプルにコイン(ギャンブル用)でも詰めておこうか。俺たちの度重なるイカサマにとうとう耐え切れなくなって割れちゃったやつね。おやすみなさい。



※燃えるごみを忘れずに捨てる。魔法廃棄物も捨てること。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どういうイカサマをすればコインが割れるんだ……? 本命:ギルの目がコイン 対抗:コインザクザク 大穴:大きなコイン
[一言] 闇金(を貯金する)ステラ先生 ギャンブルで生徒のケツの毛までむしるステラ先生 今日のステラ先生を箇条書きしたら変な方向づけされたステラ先生に…
[一言] ギルくんの鼻に入れられた髪の毛の持ち主たちに一体どんな影響が…… 学生レベルでもイカサマでコインが割れるのか…… そりゃマデラさんとステラさんの戦いで死人が出そうになるのも頷け……いや、そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ