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181日目 魔導工学:自習(先生が学会に行ってるため)

181日目


 ギルの鼻息が温かい……いや、普通か?


 ギルを起こして食堂へ。今日はきっちりピーカンだったからか、アリア姐さんが心地よさそうに太陽を浴び、そしてジオルドがそのアリア姐さんの肢体に水をぶっかけていた。髪がぴとっと張り付いているうえに、アリア姐さんは魔物故にいつだって全裸。よく言えば絵画のような、実際はだいぶアレで刺激的な光景が朝から広がっていたことを記しておく。


 『あの光景に、慣れてしまったのが悲しいな』ってクーラスは優雅にハーブティーを飲みながらコメントしていた。ちょっと前までは魔物とはいえ絶世の美女のアリア姐さんに水やりできるジオルドに嫉妬を抱いていたものの、今じゃ『おっ、やってるな』くらいに思えなくなってしまったらしい。


 あの光景を見て何も思わないとか、いよいよもってクーラスのロリコン化が進んできたのかもしれない。ちゃっぴぃを近づけないようにしないと。


 ちなみにちゃっぴぃは今日はロザリィちゃんのお膝の上。なんかロザリィちゃんと一口チーズパンを『あーん♪』させあいっこしていた。ちゃっぴぃのくせにずるい。


 ギル? 『うめえうめえ!』っていつも通りにジャガイモをむさぼっていたよ。毎度のことながら、あいつホントに美味そうにジャガイモ食うんだよね。まぁ、ジャガイモ以外も同じくらいに美味そうに食ってるんだけどさ。


 今日の授業はテオキマ先生の魔導工学……だけれども、前回告知があった通り、テオキマ先生は学会に出席していて不在のため自習ということに。


 当然の如く、まともに自習する奴なんて一人もいない。「教室で自習しろ」って言われているから来ているだけで、やる気なんてあるはずもない。そもそも、課題プリントの一つも用意してないのだから、いっそ休講って言ってくれたほうがマシだと思うんだけど。


 実際、まじめなクーラスも裁縫道具を持ち込んで趣味の刺繍に没頭していた。ジオルドもなんか工作していた気がする。ポポルとフィルラドはおきにのクッションを持ち込んでお昼寝。ギルは筋トレ。本当に平和な光景だ。


 俺もできれば教室から抜け出してクラスルームでハゲプリンでも仕込みたかったんだけど、そんなことして(万が一)バレたらステラ先生が怒られるかもしれないのでのんびり過ごす。暇を弄びすぎたパレッタちゃんが『パパ、腕相撲やろう?』って勝負を挑んできたので華麗に返り討ちにした。虚しい勝利だったと言えよう。


 ただ、そのあとにロザリィちゃんが『いざ、尋常に!』って勝負を挑んできてくれた。向かい合っただけでもう心臓ドッキドキ。手を握った瞬間にはもう、頭が真っ白になって、幸せすぎて全身に力が入っていなかったように思える。


 ただまぁ、それはロザリィちゃんも同じだったらしい。スタートの合図があっても一向に力が入らない……それこそ、ちょっとでも動かせばあっという間に俺なんて負けちゃう状態だったのに、ずっとずっと、手を握ったままの状態で固まっちゃっていた。


 ミーシャちゃんのビンタで目が覚めた後(なぜか俺だけビンタされた)、ロザリィちゃんは『うー……──くんが相手だと、勝負どころじゃないよぅ……』って真っ赤になって俺をぽかぽか叩いてきた。最高に可愛くてもっと叩いてほしいって思った。


 その後は普通にロザリィちゃんとイチャイチャしながらおしゃべり。二人で一緒にお昼寝もしたような気がする。夢見心地だった故、どこまでが夢でどこまでか現実だったのかいまいちあやふやだ。それくらい幸せだったってことが伝わってくれると嬉しい。


 あ、これだけは書いておこう。俺たちが腕相撲をしているのを見ていてもたってもいられなくなったのか、ギルが『誰か俺と腕相撲やろうぜ! 優勝賞品として……俺のジャガイモをあげちゃうぜ!』などとトンチンカンなことを抜かしていた。


 あいつと腕相撲する命知らずはいないし、そもそもジャガイモは景品になりえない。なぜあいつはそれを理解できないのだろうか。


 が、まぁ暇つぶしにはいいんじゃねってことで男子の有志と女子の有志が相手をすることに。恐ろしいことに、ギル一人に対し複数人が同時に両手を使って相手をするという最高にイカれたスタイルである。


 両手どころか、ちゃっぴぃなんかは机の上に乗り、普通に『きゅーっ!』って全身でギルの腕を押していた気がする。


 もちろん、結果はギルの圧勝。ただ、観客の全員がギルに賭けていたため、賭けは成立せず。優勝賞品のジャガイモはギルの総どり(※もともとギルのである)だけれども、『せっかくだしみんなで食おうぜ!』ってちょう笑顔のギルにより、夕飯に振舞われることになった。あいつのそういうところは見習いたいと思う。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。夕飯のジャガイモだけど、まぁ普通にいつものふかし芋だったため、みんな一口だけ食べた後は『一番ふさわしいお前が食べるべきだ』、『気持ちはとっても嬉しかったわ!』ってギルに押し付けていた。ギルのやつ、『うめえうめえ!』って美味そうに食っていた。


 そんなギルは今日もぐっすりと大きなイビキをかいている……微妙に獣の毛があちこちにひっついているんだけど、グッドビールと取っ組み合いでもしたのだろうか。ベッドに入る前にはきちんと落としてほしいものだ。


 ギルの鼻にはチョコレートの欠片でも詰めておこう。ポポルのおやつ……パレッタちゃんとはんぶんこした時に床に落ちたかけらね。何気に使い魔どもの争奪戦を生き抜いた猛者だったりする。ちょっとは期待できるかも?

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― 新着の感想 ―
[一言] え、先生が学会に行くのに自習? マジですか…… 本命:ギルの肌がチョコレート色 対抗:大きなチョコレート出現 大穴:ギルから甘い香り
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