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176日目 抱擁&大好き

Merry Christmas !

176日目


 ギルがめっちゃ軽い。ふわふわしてる。なぜ。


 ギルを起こして食堂へ。なんだかんだで昨日がっつり体力を使ったからか、寝こけている人が多いらしく食堂に人の姿はまばら。単純に休みだから惰眠をむさぼっているだけともいう。


 めっちゃふわふわなギルは『俺こんなことできちゃうぜ!』って指の力だけで逆立ちし、華麗なる逆立ちウォークを披露していた。しかもその状態で指の力だけで跳びあがり、上のシャンデリアに乗っちゃったりもしていた。体が羽のように軽いから、文字通り風船のようなムーブができるらしい。


 ヴィヴィディナがギルに対抗して天井をカサカサしていたのだけは覚えている。ギルも『負けないぜ!』って猛烈な勢いで天井をカサカサしていた。普段の筋肉だったら天井が穴だらけになっていたことだろう。すぐに飽きてくれて助かった。


 朝食でなんとなく紅茶とコーヒーをミックスして飲んでみることにした。紅茶派のクーラスには『お前、正気か?』ってヤバいものを見たかのような目で見られ、意外なこと(?)にコーヒーのこだわりがあるらしいバルトのシャンテちゃんも『味だけはわかるやつだと、思ってたのに』って冷たい目。みんな酷い。


 一応これ、どっかの国では普通に飲まれているやつなんだけど。『以前ウチの宿屋に来た旅人が教えてくれた飲み方だ。己が無知を自覚して、常日頃から知見を広げる努力をすべきだな』って教えたら、『ごめん、普段の行いが行いだったから、つい……』ってシャンテちゃんには謝られた。いったいどういう意味だろう。


 ちなみに、俺特製のコーヒー茶(正式な名前があったけど忘れた。なんか縁起のいい名前だったような気がする)は普通にデリシャスだった。コーヒーのほろ苦さと紅茶の香り高さが見事に調和している。甘さもそこそこあり、俺のお膝の上のちゃっぴぃも『きゅーっ♪』って美味そうにガブガブ飲んでいた。


 残念だったこといえば、そのせいで俺があまり飲めなかったことだろう。気づけばカップに半分も残っていない。しかもあいつ、なぜか毎回カップのふち全部をなめ回すし。子供の考えることってよくわかんねえや。


 一応書いておこう。ギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモを貪っていた。それだけ。


 特にやる気もなかったので、午前中はクラスルームでゆったりと過ごす。できることならロザリィちゃんとイチャイチャしたかったけれども、『ピアナ先生の所に修行に行ってくるね!』って微笑まれてしまえば、俺にはもうどうすることもできない。


 ちなみに、『何の修行?』って聞いてみたところ、ロザリィちゃんってば『……わかってる、くせに』って真っ赤になって俺の脇腹を小突いてきた。しかもそのまま耳元に口を寄せてきて、『……花嫁修業』ってささやいてきた。


 もうね、マジでなんかわき腹から背筋がゾクゾクしてやばかった。いつ腰が抜けてもおかしくなかったレベル。周りに誰もいなかったら、俺はそのままへたりこんでいたかもしれない。


 すごくどうでもいいけど、俺専用ロッキングチェアで心臓のドキドキが収まるのを待っていたところ、ミーシャちゃんがギルをお姫様抱っこして遊んでいるのを発見。誤字じゃなくて、マジでミーシャちゃん【が】ギルを抱っこしていた。今のギルだからこそできる芸当だろう。


 『逆お姫様だっこなの!』ってミーシャちゃんはケラケラ笑っていた。『さすがはハニーだ!』ってギルも満更でもなさそう。もともとの体格差が体格差だから、お姫様抱っこというよりかは重量上げをしているようにしか見えなかったけれど。


 ちゃっぴぃで遊んだりちゃっぴぃのケツ枕を楽しんでいる間には午後の時間に。お気にのクッションを持ち寄り、女子たちがなにやら雑談をし始めたのでこっそり聞き耳を立ててみる。


 『昨日のグレイベル先生……』、『わかるぅ……』、『あの腕……ちょっと抱かれてみたいよね……』って話しているのが聞こえた。マジかよ。


 どうも、女子的にはグレイベル先生のほどよく筋肉のついた腕に憧れてしまうものなのだとか。『思いっきり抱き着いても大丈夫そう』、『安心感がすごそう』、『ぶら下がったりしてもビクともしなさそう』……などなど、いかにグレイベル先生の腕は【もってる】かを談義しまくっていた。


 ちなみに腕だけでなく、グレイベル先生のその厚い胸板も女子的にはドンピシャストライクらしい。『前々から確かめたくはあった。まさか、昨日いきなり見られるとは思っていなかった』って女子たちは言っていた。


 『うちのギルだって体じゃ負けてないぞ』って割り込んだら、『それはちがう』、『身の危険を覚える。主に物理的な意味で』、『立派すぎて生身って印象がわかない。むしろ彫像だよね』って言われた。同じ筋肉なのに、どうしてこうもグレイベル先生との差が激しいのだろう。


 あ、ギルだけど、『ま、女には筋肉のロマンはちょっと難しかったかもな!』って爽やか笑顔でポージングしていた。あいつのこういうところだけは見習いたいと思った。


 さて、そんな話をしていると、やがて暇を弄んでいた男子も会話に加わりだした。で、誰だったかがギルに『そういやお前のハニー、昨日他所の男に思いっきり抱き着いていたけど、そのへんどうなんだ?』とか聞きだした。


 言われてみれば昨日の授業中、水着姿のミーシャちゃんがジオルドの腕に思いっきりしがみついていた。そらもう形振り構わずって感じだったし、ミーシャちゃんが子供体形であったとしても、まぁ、つまりはそういうことだろう。


 ジオルドのやつ、露骨にプルプル震えだす。『お、俺は悪くないぞ……? 別に何も感じなかったからな……!?』とジャガイモを差し出してまで自らの身を守りに入った。


 ギルのやつ、『ハニーを助けてくれてありがとな!』って笑顔でジオルドの背中をたたいていた。ジオルドはとても痛そうに悶えていた。


 あと、ミーシャちゃんが『何も感じなかったって、どういうことなの!?』ってキレてジオルドをクレイジーリボンで締め上げていた。難しい年ごろなのだろう。


 そのままの流れで、今度はアルテアちゃん&ポポルに注目が。『しょうがねーじゃん! マジで近くに手頃なものがなかったんだし!』って憤るポポルに、『手頃なものだなんて、酷い言いぐさだ』ってそれほど動揺しているわけでもないアルテアちゃん。


 さらには、『緊急事態だったし、あんなのノーカンだろう。それに……』って、アルテアちゃんは続け──


 『多少抱き着かれる程度なら許せるくらいに、私はこのクラスのことが大好きだぞ』って何でもないことのように言いきった。


 いや、マジであの瞬間、一瞬空気止まったよね。もともとアルテアちゃんはおかん気質なところがあったけれど、なんか今日は姉御って感じがしたよ。


 『……ぽっ』、『やばい、惚れそう』、『抱かれたい。むしろ抱きたい』って何人かの女子が目覚めていた。男子もぴゅうって口笛吹いたり、『今度から姉御と呼ばせてください』ってアルテアちゃんに頭を下げたりしていた。アルテアちゃん、『なんか今、さらっとすごいこと言っちゃった気がする……』って後になって恥ずかしがっていたっけ。


 一方でフィルラドは、『……えっと、じゃあ、俺も抱き着いたり』ってアルテアちゃんに抱き着こうとして、『時と場所を考えろっ!』って真っ赤になったアルテアちゃんにケツビンタされていた。


 時と場所さえ問題なかったら、アルテアちゃん的にはウェルカムだったのだろうか。あの時聞いておけばよかった。


 『ずるいぞ……! 水着姿アティに抱き着きいたのに許されやがって……!』ってフィルラドはずっとポポルをにらんでいたけれども、こういうところがあいつのダメなところだと思う。


 ちなみに、『もし着ていたのがオシャレ用の水着だったら、だいぶ危なかった。万が一があったら、ピアナ先生のところでよく効くやつをわけてもらうつもりだった』ってアルテアちゃんは言っていた。いったい何にどう効く何をわけてもらうつもりだったのか、聞くのが怖いところだ。


 あと、ポポルは『あの時は必死だったから男子とか女子とか考えてられなかった。抱き着いた感触なんて覚えていないし、そんな余裕もなかった。でも、もし近くにいたのがロザリィだったら、今頃俺はここにいなかったと思う。そういった意味では、近くにいたのがアルテアで本当に良かった』ってこっちを見ながら言ってきた。


 なぜかみんな、すごく深くうなずいていたのがわけわかめ。『命拾いしたな』とか、『そういうときは、遠慮せず私に抱き着いていいからね。むしろそうして』とか言ってポポルを慰めるやつが大半。


 別にいくら俺でも、クラスメイトの緊急事態なら、ロザリィちゃんがだきつか……



 ちくしょう、羽ペンを新調する羽目になった。あり得ないことなんて考えないほうがいい。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中、ロザリィちゃんがちょこんと俺の隣に座ってきてくれた。で、『なんか今日、みんなで昨日の話をしたんだってー?』って俺の肩に頭をぐしぐししてきた。もう可愛すぎて最高。ロザリィちゃんマジプリティ。


 しかもしかも、俺の腕をとってぎゅーって抱きしめてくるって言うね。『今は甘えたい気分なのっ!』とのこと。さらには『パパってば、察しが悪いねえ?』っておめめをぱちぱち。


 もちろん、全力で抱きしめる。 そして気づいたらアツアツのキスまでしてしまっていた。『私が一番抱かれたいのは、──くんの腕なんだからね!』ってロザリィちゃんは最後にほっぺにもキスしてくれた。破れなかった俺の心臓マジすごい。


 ギルは今日もぐっすりすやすやと大きなイビキをかいている。そしてちゃっぴぃは俺のベッドを占拠して腹を出して寝こけている。俺の枕を抱き枕にするとか、あいつに使い魔としての意識はないのだろうか。


 まぁいい。不届き者の使い魔は一晩抱き枕の刑に処してやろう。さしあたって、ギルの鼻に……砕けた羽ペンのかけらでも入れておくか。捨てる手間が省けてラッキー。みすやお。 

・生きてます。

・【この連載小説は未完結のまま3か月以上の間、更新されていません。】に耐え切れなかった。

・クリスマスプレゼントのつもり

・季節感ガン無視だけど気にしない。

・ざんぎょ やば


 更新再開まで、またしばらくお待ちください……。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 仕事で身体を壊さないようにして下さいね。
[一言] もう鼻になにぶち込んだか覚えてない....
[良い点] おお!生きてた! [気になる点] …………作中何月だっけ。 [一言] おしごとがんばってねー!
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