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166日目 創成魔法設計演習:役割分担

166日目


 ドアが歪んでいる。とりあえずぶっ壊しておいた。後でジオルドに直してもらおうっと。


 ギルを起こして食堂へ。今日はしとしとと雨が降っていて、この時期にしてはちょっぴり肌寒い感じ。まだまだ夏ルックでも十分だけど、ふとした時に微妙に寒気を覚えるような……風が涼しすぎるとでも言うべきだろうか。


 そんな気候だったからか、ミーシャちゃんがこれ幸いとグッドビールに抱き付いて『あったかいの!』って自慢げだった。アリア姐さんも「あ・た・た・め・て・?」と言わんばかりにジオルドに抱き付いていた。ジオルドは悲鳴を上げていた。


 朝食になんとなくホットココアをチョイス。きちんとふうふうして冷ましてからちゃっぴぃに飲ませてやった。あいつ、最初は苦いものと勘違いしたのかだいぶいぶかしそうにしていたけれども、一口飲んだ瞬間に『きゅーっ♪』って上機嫌に。


 そうそう、ロザリィちゃんも『ちょっと寒いなぁ……♪』って俺にすり寄ってきた。『女の子には寒い思いさせちゃいけないんだぞぉ?』ってぎゅって抱き付いて来たりもした。ぬくやわこくてあったかいロザリィちゃんが抱き付いてくれたおかげで、俺の心もぽっかぽか。


 もちろん、俺も全力を持って抱き締める。『……ドキドキして、熱くなってきちゃったかも!』って、ロザリィちゃんは真っ赤になって照れるように笑っていた。秒速百億万回惚れ直したことは書くまでも無い。


 ギルは普通に『うめえうめえ!』ってジャガイモを食っていた。それだけ。


 今日の授業は創成魔法設計演習。『なんかちょっと冷えるねー』って腕をさすさすしながらにこって笑うステラ先生が最高に可愛い。『こーゆー日はぽんぽんにも気を付けないとだよっ!』ってきりっ! ってするところとかもう本当に最高。なんであの人あんなにも可愛いのだろう?


 出欠で名前を呼ばれた際、『僕のローブをお貸ししましょうか?』って紳士的に聞いてみる。ステラ先生、『そういうのはロザリィちゃんに言ってあげなよ?』って頭をぽんぽんしてくれた。未だに冗談にしか受け取ってもらえなくて悲しい。いつか俺の気持ちがステラ先生に届く日は来るのだろうか。


 授業内容だけれども、今後についての役割分担なんかを行った。以下に、ざっくりとその内容を示す。



【実施形態】


1.グループディスカッションによる魔道具(魔法要素)の仕様選定、設計図検討

2.設計計算書作成

3.図面作製

4.発表・プレゼンテーション


【提出物】


・設計計算書

・組立図

・部品図

・企画書



 一応、提出物そのものは今までの製図の授業とほとんど変わらない。が、『今回は目的に沿った設計ができるのかってのがメインだからねー。組立図や部品図を描くところまで持っていくのが大変だし、設計思想が固まった後もちょこちょこ修正が入るよー』とはステラ先生。


 俺たちが今までやった製図ってのは、完成したものをそのまま模倣しているに等しかったから、ぶっちゃけ【お絵かきとしての基礎を身に着ける】以上のことはなかったらしい。『製図・設計としてはこれからが本番だからねっ! 大事な一歩を踏み出したんだと思って!』ってステラ先生は言っていた。


 ちなみに、肝心の作るものだけれども、『風を出す魔法陣を組み込んだ何かにしてね! もちろん、モノとして売りに出す魅力があるもの限定だよっ!』とのこと。風なら魔法陣の構築(陣造)も比較的単純だし、なにより炎や水と違い、万が一暴走してもそこまで被害は甚大にならないからうってつけなのだとか。アイディア力を試す意味でも、なかなか悪くないチョイスらしい。


 なお、この手の風の魔法陣を組み込んだ魔道具は、概ね下記の通りの部品に分けることが出来るとのこと。



・羽根車(風を送り出す風車的ななにか。ここでは魔法的なもの限定)

・ケーシング(羽根車を筐体で覆わないと威力が分散するし、回転するものをむき出しにしておくのは危ない。こちらは物理でも魔法でも可)

・軸周りの備品(マジックベアリング、マジックベアリングスタンド、およびそれを取り付ける支持台など。意外とノウハウが必要とのこと)

・ロマン(これが無ければ魔系じゃない。ちょっぴりおちゃめ、かつ大胆に)



 『……ナイショだよ?』って前置きをしてくれた上でステラ先生が教えてくれたんだけど、上記要素が無い場合だと風の魔道具としてろくなものが作れないのだとか。ぶっちゃけた話、ここだけはみんな共通で取り扱って、それをどのように用いていくかで個性を見ていくとのこと。


 厳正なる話し合いの結果、羽根車についてはロザリィちゃんが、ケーシングについてはミーシャちゃんが、軸周りについてはフィルラドが担当することに。俺は全体を受け持つ形(全部品の担当、サポート)で、ロマンについては全員で適宜対応。


 ギル? 何でもできる作業要員だよ。指示さえしっかり出しておけば、こいつほど正確に動く筋肉は無いからね。


 『ご指導・ご助力よろしくお願いします♪』ってにっこり笑うロザリィちゃんが最高に可愛かった。『出来る限り頑張るつもりだけど……たぶん、──くんから見ればぽんこつもいいところだと思うから……』って若干半ベソになりかけていたので、『それも含めて、一緒に頑張ろうっていうのが先生の求めているものじゃないかな?』優しく肩をぽんぽんしておく。


 フィルラドが、『俺だけイチャつけないのずるくね?』って文句を言っていた。仮にアルテアちゃんがこの班に居ようと、イチャつけるわけないのにね。


 なんだかんだで授業はこんな感じで終わる。来週からは設計に伴い必要となる、上記設計要素の講義に移るらしい。『けっこー早足だし時間もあまり余裕がないから、アイディア出しは自分たちでどんどん進めちゃっていいからねっ!』ってぐって手を握るステラ先生が最高にステキでした。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんか今日はいつにもまして日記がすっきりしているような気がしなくもない。雑談中も特にこれと言って面白いことはなかったし……。


 ああ、一つだけあった。なんかアルテアちゃんが人目を忍んでフィルラドの手をずっと握っていた。いや、握っていたというよりかは……アレ、たぶんフィルラドの手をマッサージしていたのだと思う。


 アルテアちゃん、多少照れていたとはいえ乙女モードな感じじゃなかったし、例の実験の事故のリハビリ的なアレだろう。もしかしたら、俺が知らないだけで今までずっとやっていたのかもしれない。アルテアちゃんはそういう娘だ。


 フィルラド? 発情したトロールみたいなアホ面さらしていたけれど? アルテアちゃんは真剣に手を揉んでいたから気付いていないようだったけれど、風呂上がりネグリジェ姿の女の子に手を握ってもらいながらあの表情とか、だいぶヤバいと思う。


 ギルは今日もぐっすりスヤスヤと大きなイビキをかいている。ギルの鼻にはジオルドの爪でも入れておこう。なんかあいつ夜に爪切りしてたんだけど、その時こっちに切ったのが飛んできたんだよね。おやすみ。

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