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151日目 ばーちゃんの手料理が美味い(グッドビールがマジ元気)

151日目


 『みぎゃーっ!?』って悲鳴で跳び起きる。やっぱりか。


 ギルを起こし、隣の部屋へ。一応ノックしてみれば、『い、今は来ちゃダメっ!』ってばーちゃんの声が。とりあえず華麗に無視して部屋に突入。


 案の定、ミーシャちゃんがグッドビールにじゃれつかれて大変な有様になっていた。元々ギルの服でぶかぶかだったものだから、とんでもなくあられもない姿になっている。もしこれがロザリィちゃんだったとしたら、俺はおそらく幸せ過ぎて気絶していたことだろう。


 が、まぁミーシャちゃんだ。俺にそっちの気はないので全く問題は無い。後ろにいたギルはトロールみたいなアホ面さらしてにやけていたけどな!


 一応、彼女の名誉のために書いておく。露出具合で言えば水着の方がはるかに上だった。ナターシャやミニリカの普段着の方がよっぽど露出しているだろう。


 尤も、露出していないからこその……チラッと見えているからこその素晴らしさってのは何物にも代えがたいけれども。


 『じゃれついてくるのはいいけど、パワフルすぎるの。あと、ふわふわだからいろんなところがくすぐったかったの。おまけにいろんなところを舐められたの。……でも、そんなところも可愛いの!』って意外にもミーシャちゃんはご満悦。俺に『めっ!』されてしゅんとしていたグッドビールをぎゅーっ! って抱きしめてほおずりしていた。


 その後は昨日と同じく朝のお仕事を。外で洗濯物を行っていたところ、『よっ、やってるな』ってアルテアちゃん、ポポル、フィルラド、ジオルド、それにルマルマ壱號に乗ったアリア姐さんとそれを引くヒナたちがやってきた。


 アルテアちゃんは紛うことなきジョギングスタイル。ポポルも同様。フィルラドもそうだったけれど、息切れが激しくてハァハァしているうえに、アルテアちゃんの尻をガン見しているものだからたいそう危ない感じになっていた。顔が正統派イケメンじゃなかったら普通に通報……いや、そうでなくとも通報されていておかしくないレベル。


 アルテアちゃん曰く、『なんか面白そうだったから、朝のジョギングついでに様子を見に来た』とのこと。ジオルドは『今日もジャガイモと手紙の運送係だよ』とのこと。『……ヒナたち、普通にジョギングについて来れたんだよな』とも言っていた。


 ホントにマジで、ヒナたちの身体能力はどうなってるんだろう? アリア姐さんとじゃがいもを乗せたルマルマ壱號ってかなり重くない? 元気の有り余っているグッドビールでさえ、普通に引くのが精いっぱいってくらいだったのに。


 新しい人と出会えて嬉しいのか、グッドビールは「へっへっへっへっ!」って舌を出してアルテアちゃんに突進。『こっちゃこい、こっちゃこい』って腕を開いていたアルテアちゃんも、その巨体をもろに受け止めて『ンぐぎっ……!?』って女の子がしちゃいけない顔&声をしていた。


 『足腰を鍛えてなかったら持っていかれていた』とはアルテアちゃんの談。アルテアちゃん、そのままグッドビールの頭を撫でてあげたりしていたっけ。グッドビールも構ってもらえてうれしそう。


 嫉妬に狂ったヒナたちがピーピー鳴きながら猛烈にケツフリフリして抗議をしていたので、代わりに俺が撫でてやった。なぜか執拗にケツを突かれた。ひどくない?


 あと、グッドビールはやっぱり楽しくて辛抱堪らなくなったのか、アルテアちゃんの足の間に突っ込もうと何度もトライしていた。『なんだ、愛いやつめ』ってアルテアちゃんも満更でも無さそげ。スカートだったらだいぶヤバかったと思う。


 昨日と同じく、ばーちゃんのオレンジジュースをご相伴にあずかってからみんなは帰っていく。ばーちゃんは『クラスのみんな、使い魔を本当に大事にしているのね』ってちょっと疲れたような(?)笑顔でコメントしていたっけ。


 ばーちゃんにはポポルの背中に寄生していたヴィヴィディナ(ナナフシ形態)が見えなかったのだろうか。まぁ、年寄りには刺激が強すぎる光景だし気づかないほうがよかったか。


 ジオルドが届けてくれた荷物にエッグ婦人の産みたて新鮮卵があったので、朝餉はベーコンエッグとスクランブルエッグ、ついでにコーンスープにしてみた。朝から食卓が鮮やかなまでに黄色一食。おまけにデザートにグレープフルーツまでつけるという徹底っぷり。まったく、自分の仕事の抜かりのなさが恐ろしいぜ。


 『今日の朝食のコンセプトはイエロー・サバトです』ってばーちゃんに告げたら、『……うすうす思ってたけど、あなたってもしかしてちょっと変わってる?』って聞かれた。俺がクラスで……いいや、学年で一番まともなのは確定的に明らかなのに。とりあえず、『ジョークがお上手ですね』って爽やかイケメンスマイルをプレゼントしておいた。さすが俺。


 なお、ギルは普通にジャガイモ。今日も元気に『うめえうめえ!』って食っていた。グッドビールもいろんなものを「くぉんくぉん!」って食い漁っていた。よく食べるのは健康的だと思った。

 

 朝食の後は昨日と同じく家事を行う。ばーちゃん、ミーシャちゃん、ギルは三人で外へ。毎日毎日グッドビールの相手をしているのに、奴は一向に満足する気配を見せない。いくら家事は全部俺が負担しているとはいえ、この暑さじゃばーちゃんがまいっちゃうんじゃないかと心配する。


 そんなわけで、掃除など一通り家事を済ませた後は買い出しに行き、アイスの材料を購入してみた。もちろん昼餉の材料を買うのも忘れない。何気に三食の献立を考えるのって結構面倒なんだよね。


 昼頃に三人が一時帰還。やっぱり今日もばーちゃんはギルの背中。『良い機会だし、少しは昔みたいに追いかけっこできると思ったんだけど……やっぱりもう、走るのは無理ね』ってばーちゃんは儚げに笑っていた。『こいつは満足そうなんだから、そう悲しくなることは言わないでくださいよ』って言っておく。


 午後は俺も含めてグッドビールの相手をすることに。暑さが暑さだった故、水遊びを敢行する。俺が適当に水魔法で水の球を作り、ミーシャちゃんがクレイジーリボンを水形状に変化させて適当に動かすってだけのシンプルな代物。


 だけれども、水遊びなんて全然やったことがないのか、グッドビールは大変な勢いではしゃいでいた。「くぉん!」って鳴きながら俺の水球に頭から突っ込んでいたし、ミーシャちゃんが動かす水のリボンをずっとずっと楽しそうに追いかけてもいた。


 ただ、ずぶぬれになる度に体を猛烈にぶるぶるさせるのは頂けない。その都度俺がばーちゃんの盾にならなくっちゃいけないから困る。


 しかも、ばーちゃんってば『……ちょっと、抱きしめたい気分なの』ってずぶ濡れのグッドビールをぎゅっと抱きしめるしさぁ。せっかく俺が濡れないように努力したのに。


 なんだかんだでばーちゃんもちょこちょこ水遊びに参加していた気がする。ミーシャちゃんと共にグッドビールと戯れる様は、まさに祖母と孫のそれのようだったと言えるだろう。そう思えてしまうくらい、二人はグッドビールと楽しそうに遊んでいたんだよね。


 おやつの時間は俺特製のアイスを食した。普通にデリシャス。美味い。ロザリィちゃんとステラ先生にもおすそ分けしたかった。


 ちなみに、ばーちゃんは『シンプルなのも好きだけど、一番好きなのはラムレーズンなの。……ふふ、最初のデートで奢ってくれたのがそれで、ね』って言っていた。ばーちゃんの惚気とかちょっと珍しい。同じ理由で、グッドビールもラムレーズンのソフトクリームが好きだとのこと。


 『次があったら、ラムレーズンにしときますよ』ってウィンクしたら、『……ええ、お願いね』ってなんか涙目で微笑まれた。何か思い出に触れることでも……まさかとは思うけど、死んだ旦那と俺が似ているとか無い……よな?


 その後は時間が来るまで俺がグッドビールの相手をすることに。ばーちゃんがしきりに頼んできた故である。『今日の夕飯は、私が作りたい気分だから』って言ってたけど、もしかして俺だけグッドビールと戯れていないことを気にしたのではあるまいか。


 ともあれ、俺の黄金のミスリルハンドでグッドビールの頭とか腹とか撫でまくった。めっちゃふわふわでビビった。その代価として顔中をレロレロにされてしまったけれど、まぁそれだけの価値はあったと言えるだろう。


 ……頭を撫でた時、なんかちょっとだけちゃっぴぃを思い出してしまった。嬉しそうな顔が被ったのだろうか。まったく、俺もあまちゃんになったものだ。


 夕方になるちょっと前くらいに、なんか微妙にグッドビールが体調を崩したっぽいのを発見。本人は元気に舌を出して「へっへっへっへっ!」って絡んでくるのに、全体的に動きが緩慢で尻尾も力なくだらりと下がっている。


 ばーちゃんに報告したところ、『……久しぶりに全力で遊んでもらったから、さすがに疲れちゃったのかも』とのこと。『病気やケガじゃないから』ってばーちゃんが言っていたから大丈夫だろう。


 あ、時系列的にここになるんだけど、ロザリィちゃん、ちゃっぴぃ、フィルラド、アルテアちゃんが定期連絡でやってきた。ただ、肝心のグッドビールの体調が思わしくないため、簡単なやり取り(先生からの手紙の受け取り)だけで帰ってもらった。ちゃっぴぃとフィルラドはグッドビールと遊べなくて少し寂しそうだったけど、どうせまだ依頼はもう少し続くのだから問題ない。


 ロザリィちゃん? 『今日も一日、おつかれさまっ!』って俺に熱々のキスをしてくれたよ? あ、今日はちゃんと俺の洗濯物を渡しておいた。『うひひ……! なんだかすっごくこう……新婚さんって感じがするねっ!』ってロザリィちゃんも嬉しそう。


 夕日が赤くなければ、顔が真っ赤なのがバレていただろう。尤も、『……お顔が真っ赤だぞぉ?』ってロザリィちゃんにはバレバレだったんだけどな!


 夕飯はばーちゃん特製の肉とチーズの料理。ばーちゃんの地元の方の郷土料理で、中にチーズを仕込んでこんがりと焼いた肉に、別種のチーズソースをふんだんにかけるチーズと肉の饗宴みたいな代物。


 チーズの濃い味と肉のうまみがマッチして非常にデリシャス。お酒がたいへん進みそう。結構歯応えのある肉と、その中にあるとろとろに溶けたチーズっていう組み合わせも面白いし、食べ進めていくうちに肉汁とチーズが良い感じに混ざって極上のソースにもなる。


 いや、マジで美味かったね。マデラさんの所のメニューに追加してもいいくらい。『私の地元では、これを上手く作れることが良いお嫁さんの条件だったのよ』ってばーちゃんは言っていた。


 もちろん、グッドビールも「くぉん! くぉん!」ってめっちゃ美味そうに食っていた。体調を崩し気味だというのにすごい食欲。尻尾もめっちゃ振っていて、まさに全身で喜びを表していたと言えよう。


 なお、『けっこう重いし……この歳だと、胃袋が受け付けてくれなくて。お世辞にも健康的とは言い難いから、最近は全然作ってなかったのよ』とのこと。グッドビールがあれだけはしゃいでいたのも、久しぶりにばーちゃんの手料理(それも大好物)を食べられたからだろう。


 ギルは今日も密やかに寝息を立ててぐっすりと眠っている。あ、食欲はマッハだったけど、体調そのものは崩し気味だからって、グッドビールは今日は風呂に入れず、簡単に体を拭うだけにしておいた。ミーシャちゃんがちょっと不満げだったけど、一日くらいは我慢してもらうほかない。


 グッドビールに疲れが出始めたということは、そろそろあいつも満足してきたということだろうか。今だって、あいつはミーシャちゃんとばーちゃんに抱きしめられながら眠っているのだろう。もしかしたら、この依頼も案外早く終わるのかもしれない。 


 ステラ先生からのお返事には昨日と同じく、『そのまま注意深く観察してください』的な事しか書いていなかった。出来れば俺への愛のささやきを書いてほしかった。ちくしょう。


 今日の先生宛ての報告書を簡単にまとめたら俺も寝よう。いい加減日記が長くなりすぎた。グッナイ。

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