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123日目 謎の侵入者(パーティ準備)

 本日二度目の投稿です。

123日目


 ちくしょう、なめやがって。どこのどいつか知らないが、生まれてきたことを後悔させてやる。


 とりあえず、手短に書いていく。


 マフラーを燃やし、ギルを起こしてから食堂へ。朝餉を取りつつティキータの連中と今日の段取りを済ませる。基本的にはバーベキュースタイルで行くから、各々必要なものを揃えるだけ。最低限必要なものの割り振りだけは決めて、あとは自由にということに。


 食材調達班、備品調達班、その他班で動く。食材調達班は山や湖へ行ったり街に繰り出したりって感じ。かかった費用はとりあえず立て替えておいて、あとで精算するという形に。


 備品調達班もほぼ同様。竈のセッティングや薪の調達、あるいは金網やその他バーベキューに必要なものを用意していた。日よけ用(?)のテントを用意すると意気込むガチなやつも。『知り合いの冒険者から野宿セット借りてくる』って言うやつもいたっけ。


 俺とゼクトは組長として全体統括。関係各所に連絡を取りつつ、オールマイティーに動いていく。規模が規模だしやることも豊富だったから、かなり忙しかったと言えよう。皮肉なことに、俺もゼクトもどんな仕事もそれなりに出来ちゃってたからね。


 ゼクトと働いている時にちょっとした雑談に。『今回のテスト、酷かったよな』ってなんとなく話を振ったら、『生物学がなんだかんだで一番ヤバかったよな!』って返事が。どういうこっちゃ。


 『一番楽の間違いじゃないか?』って聞き返す。『は? 一番難しかっただろ?』ってゼクトはきょとんとしていた。


 詳しく話を聞いてみたところ、『試験開始早々にクラスの半分近くがヴァフィールに呪われてまともに動けなくなった。シャドーゴーレムのタイマンだってきついのに、味方を護りつつ解呪してって無茶苦茶だろ』との返事が。


 どうやらグレイベル先生たち、試験開始の合図でヴァフィールをけしかけていたらしい。俺たちの場合、誰かがヴァフィール対策をして呪返しをしたために被害がなかったのだろう。


 ギルのシャドーゴーレムが開始早々自壊してくれたにしても、もし呪われていたら……相当てこずっていたに違いない。先生の目論見がたまたま外れただけで、実際は二年次らしいかなりエグい試験だったってわけだ。


 そんな感じで午後も過ごす。外で作業していたからか、『わぁ……っ! ね、ねえ、みんななにやってるの……!?』ってお散歩中(?)らしきステラ先生がやってきた。片手に分厚い本を持っていたところを鑑みるに、まだ夏休みには入っていないのだろう。おつかれさまです。


 『実は明日、ティキータと合同でパーティをやるんですよ』って打ち明ける。『わぁ……! いいね、そういうの……!』ってステラ先生は目をきらっきらさせていた。『ちょ、ちょっとだけ見学してもいいかなぁ……っ?』ってぴょこぴょこ跳ねながら会場を見て回る姿がとってもチャーミング。


 『すっごいねぇ……! こーゆー風にやるんだねぇ……!』、『こんなバーベキュー……憧れてたんだぁ……!』って何とも楽しそう。まるで夢の世界を散策しているかのように俺たちの作業を見て回っていたっけ。


 とはいえ、やがて自分がまだ仕事中……呑気に俺たちの作業を見ている場合ではないと気付いたのだろう。ステラ先生はハッと何かに感付いたように顔をあげ、そしてちょっぴり寂しそうな顔をした。


 そして、もじもじそわそわ……若干俯きながら、『ね、ね……その、これって先生も参加して良いやつ?』って俺の服の端っこをちょんちょんと引っ張ってきた。


 いやはや、可愛すぎて一瞬何が何だかわからなかったよね。ステラ先生ってば本当に、どうしてこんなにも可愛くて女神なんだろう? まさか物事一つ確認するだけでこうも俺の心を乱してくるとか、ちょっと想像が出来なかったよ。


 もちろん、『むしろ、参加しないつもりだったんですか?』って返事をする。『参加させないつもりなら、先生の前で話したりしませんって!』ってゼクトもにこにこ。


 ステラ先生ってばぱぁっと笑顔。『やったぁ!』ってぴょんぴょこ跳ねていた。生徒の集まりに先生が参加したら存分に楽しめないかもと、気後れしていたらしい。そんなことない……というか、むしろ先生が参加しないほうが俺たち的には問題だというのに。


 『シューン先生はさ……なぜか普通に参加する気満々なんだよな……誰も教えていないはずなんだけど』ってゼクトが死んだ目をして語っていた。さすがはシューン先生だと思った。


 夕飯食って風呂入って雑談し、部屋に戻ってさぁ、日記を書こうか──と思ったところで衝撃の事実に気付く。


 日記に謎の書き込みが。しかも、明らかに俺の筆跡じゃない。


 朝は間違いなくこんなのなかった。となると、いつものギルの怪現象という線は薄い。誰かが──あるいは、何かが俺の日記に書きこんだのは確定的に明らか。


 だが、誰だ? 誰がいつ、この日記に書きこんだんだ? この存在を知っている人なんて、この学校にはステラ先生しかいないはずなのに。


 もちろん、ステラ先生が犯人の可能性は限りなく低い。ステラ先生がこんなことする理由が無いし、先生の筆跡とは似ても似つかない。仮にクラスメイトの誰かだったとしたら、これ見よがしに雑談中に朗読会を開催するはずだ。


 そもそもとして、内容がわからん。魔法的呪詛のようにも思えるけれど、魔法的力は何も感じない。ただただ見ていて不快な気分になるだけ。


 一応、ギルが寝ているのを確認した後に軽くルマルマ寮内を見回りした。が、何もそれらしいものを見つけることは出来ず。既にクラスルームも真っ暗だったし、ヒナやヴィヴィディナの寝息が聞こえるばかり。誰もいないってことは間違いなさそう。


 日中も、俺たちはみんなバタバタと忙しくパーティの準備をしていた。外に人がいっぱいいたのはもちろん、クラスルーム内で作業している奴もいた。あれだけの人数の目をかいくぐって俺の部屋に入るなんてことは不可能のはずだ。


 ……だけど、何かがこの学校のどこかに潜んでいる。そして、そいつはこの日記の存在を知ってしまった。


 絶対に許さねえぞクソが。人の日記に勝手に書き込みしやがって。どこのどいつか知らないが、生きて帰れると思うなよ。


 よりにもよって、俺の絶対の秘密であるこの日記のことを知ってしまったのだ。容赦なんてできるはずがない。


 ……そもそもとして、問題のクソはどうやって俺の日記を知ったんだ? あるいは、俺の部屋で偶然見つけてしまっただけなのか? いいや、それ以前に、こいつは学校関係者なのか?


 いずれにせよ、わかっていることが少なすぎる。もう少し情報を集めないと、呪えるものも呪えない。


 ギルの鼻には真実の依代を詰めておく。クソのせいでだいぶ遅い時間になってしまった。さっさと寝ないと。

 お気づきになられました?


 前回の日記、【みつけた】を見てからもう一度最初から読み直してみると……。

 (【みつけた】を見た後にしばらく待ったり、何度かトライするといいっぽいです)


 ホントはページの最後(右下)を見た直後に文字の間に何かがうごめき、それを目で追ったら……って感じだったんですけど、なろうの仕様だと行間に演出をくわえることは出来ても、文中や文字の横に演出を加えることってできないんですよね……。行中の透過処理とか実装してくれないかな……。

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