119日目 絶望の宴
119日目
ギルの口の中が銀色。だいぶ怖い。
ギルを起こして食堂へ。今日も今日とて食堂はだいぶ閑散としていた。思えば夏休みが始まって……というか、学期末最後の試験が終わったのがちょうど先週の今日。どうやらみんなすっかり生活習慣が夏休みヴァージョンになったらしい。
もちろん、俺たちが休みでも……否、俺たちが休みにもかかわらず寮でだらけているからこそ、休めない人もいる。『今日はちょっと手間をかけてグラタンパンを作ってみたよっ! あとあんたはいつものやつね!』と、おばちゃんは今日も立派な朝餉を拵え、そして笑顔で俺たちに朝の挨拶をしてくれた。
あれだけ大量のジャガイモの皮むきを毎日しているのに文句ひとつ言わないだなんて、おばちゃんの忍耐強さは凄まじいものがあると思う。俺が同じように早朝から大量の野菜の皮むきを命じられた時はマデラさんに泣きながら抗議をしたし、なんならウソ泣きしているのがばれてお仕置きスタイルケツビンタだって食らった。
……あれ、でもおばちゃんはお給料をもらっているか。俺の場合、あの時代の賃金は全て【マデラさん銀行】に徴収されたから銅貨一枚たりとも手元に入ってこなかった。今更ながら、俺の幼少時代ってだいぶブラックだったのだろう。
ともかく、出来立てあつあつのグラタンパンを『うめえうめえ!』と食していたところ(ギルはジャガイモを『うめえうめえ!』って食ってた)、おばちゃんが『ちょっとあんたに、大事な話があるんだけど……』と声をかけてきた。
が、いくらなんでもさすがにおばちゃんは俺の守備範囲外。年が離れすぎている。全く、おばちゃんさえ虜にしてしまう自分のイケメン具合が恐ろしい。
ともあれ、『気持ちは嬉しいですが、僕にはすでに心に決めた人が……ロザリィちゃんとステラ先生がいますから』って、できるだけおばちゃんの気持ちを傷つけないよう言葉を選びながら意志を伝える。俺ってばマジ紳士。
だのに、『あんたのその自信、一周回って逆に尊敬するよ』って言われた。どういうこっちゃ?
よくよく話を聞いてみたところ、『今日は上級生の宴会が入っていてね。臨時ヘルプとして入っておくれよ。あんたの腕は信用してるし、どうせヒマだろ?』とのお言葉が。
なんでも、上級生は日中に発表会(という名の公開処刑、異端審問)を行って(メンタル・フィジカル共に死にそうにな)るから、宴会の準備は全部おばちゃんたちに依頼することが多いそうな。
故に、すごい宿屋の息子であり去年の実績もある俺をヘルプとして戦力投入出来れば、おばちゃんたちの負担がぐっと減ってトラブル対応なんかも容易にできる……って話だった。
とりあえず、断る理由は無いので快く承諾する。『もしよかったら、女の子たちにも声をかけてくれ』と言われたのでそういうことに。当然のごとく、『俺の筋肉も役に立ちたいって叫んでる!』ってギルも手伝いを申し込んできた。
そんなわけで午前中はぼーっと過ごし、午後のおやつの時間の前ごろに厨房へと入る。料理のリクエストを聞いてみたところ、『大皿中心で、酒に合いそうなものを適当に。とにかく飲み食いするから、質より量で』とのお言葉が。つまるところいつも通りである。
で、定番であるフライドポテト、唐揚げ、ピザ、野菜炒め、一口サンドイッチなどを作りまくっていく。マデラさんの所ほどじゃないとはいえ、この学校の調理設備も結構充実しているからその辺は楽。俺が火を四つ使ってもなお余裕があったりする。『火の数はあるけど、働く人が少ないのが悩みどころだ』っておばちゃんは言っていた。
だいぶ余力もあったので、メインの肴を作る傍らでハゲプリンも製作していく。工夫も何もないスタンダートなハゲプリンだけれど、酔っ払いを楽しませるのには十分すぎる逸品。なにより、比較的手軽に作れるのが良いところ。混ぜて火にかけて余熱で蒸して冷やすだけだからね。
ハゲプリンを量産していたところ、『それあとであたしらにもくれ』っておばちゃんが通達してきたのでいくつかを取り分けておいた。おばちゃんたちもたまには自分が作ったもの以外を食べたいらしい。
なんだかんだで夕方ごろには全ての仕込みが終了。会場のセッティングをしてくれたロザリィちゃん(といつもの女子のメンツ)のお手伝いさんスタイルがまぶしい。『ウェイトレス!』ってスカートのすそをちょっぴり持ち上げてにこっと微笑むロザリィちゃんが最高に可愛い。俺に理性がなかったらその場でプロポーズしているところだった。
ともかく、ロザリィちゃんたちと一緒に大皿料理を運びまくる。ついでにギルに頼んでお酒類も運んでもらう。あいつは『ちょれえちょれえ!』って樽二つを肩に担いで笑顔だった。さすがはギルだ。
予定の時間よりちょっぴり遅れて上級生たちがやってきた。『ひゃはは……! 終わったァ……!』、『あの先公……! 舐めやがって……! 好き放題言いやがって……!』、『査問怖い査問怖い査問怖い』、『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』と、だいぶみんな顔がキマっている。悪態をつく奴なんかはまだ良いほうで、中にはマインドイーターに襲われたかのように放心して口が半開きになっている奴も。魔系上級生の報告会の闇を垣間見た瞬間だ。
『おっ、美味そうなのあるじゃねえか!』、『今日の宴会はなんだか豪勢だなぁ!』ってシキラ先生とシューン先生がやってきた。なんでも、今日は魔法材料研究室と属性処理研究室の合同の飲み会らしい。たまたま報告会の日取りが重なったから、じゃあ学生たちの刺激にもなるから合同で報告会をして、そのまま飲み会も一緒にやりましょうってことになったのだとか。
『「専門外の素人質問で申し訳ないのですが」って前置きするくせにポシム先生がエグい質問をしてきてヤバかった』ってキイラム先輩が修羅場の気配が消えていない顔で言ってた。『私よりよっぽど知識があるのに「先行研究との違いは? 明確な新規性をもう少し詳しく」ってシキラ先生が何度も反論してきて泣きたかった』ってノエルノ先輩が死んだ瞳で語っていた。
どうも、よその研究発表を見られるとあって、先生たちの方がだいぶエキサイティングしてしまったらしい。互いに別研究室(別分野)の話であるのに、相当突っ込んだ鋭い質問をしまくっていたそうな。先輩たちもいつもの担当の先生たちとは別ベクトルの質問故に、対策メモがまるで役に立たなかったとのこと。
『なんであの人たち、専門外なのにこっちより詳しいのさ……』、『お前らも質問しろよ、ただ聴いてるだけじゃ意味ねえぞって言われても……そもそも何言ってるのかさっぱりわからねえんだよ……わかったとしても指摘できるほど理解はできねえよ……』ってみんな愚痴ってた。とりあえず黙ってエールのジョッキを渡しておいた。
ともかく、全員にお酒が行き渡ったところで乾杯。『うぇええええええい!』ってそれはもうバカでかい声が響き渡った。ルマルマの宴会の時とは文字通り迫力が違う。みんなヤケになっていたというか、解放感が凄まじすぎて頭がすこしおかしくなっていたのだろう。あの特有の雰囲気はちょっと言葉じゃ表せそうにない。
ちなみに、さっきも書いたけど参加者は魔法材料研究室と属性処理研究室ね。魔法材料研究室の先生がシキラ先生と知らない先生が二人(上級生の方の担当らしい)、属性処理研究室がシューン先生とポシム先生と知らない先生が一人。全体として五十人くらいの規模だった。
宴会が始まった後はひたすらウェイター&コックさんとして働きまくる。あれだけたくさん作った大皿があっという間に空になっていく様に悲しみを隠せない。『もっともってこーい!』、『料理足りねえぞォ!』、『うめえうめえ!』ってあいつらはマジでガツガツ食いまくっていた。
その上、『酒ッ! もっとだッ!』、『樽でちょうだいよぉ……! あたしにはもうお酒しかないんだよぉ……!』、『シキラ先生を潰すから、キッツいやつを樽で五つくらいちょうだい?』とお酒の注文も入りまくりんぐ。
最初の方はちゃんと瓶で持って行ったけど、そのうち面倒臭くなったので在庫をまとめて樽で持って行っておいて置いた。店じゃないし……というか、そもそもあいつら酔っ払いだから、このくらいの扱いで十分である。
そんな感じでポテトを揚げ、料理を運び、肉を焼き、酒を運び、ジャガイモの皮を剥き、トラブル対応(グラスを落とした人がいた)をして、料理を作り……と汗水たらして働いていたところ、会場の方で魔法が飛び交い始める。だいぶ盛り上がってきたのだろう。
『今運び出しに行くのはヤバい』、『シキラ先生が大笑いしながらお酒を飲んで、シューン先生が蒼い顔していろんな人に絡んでいた!』、『むしろあの混沌、混じりたい』ってアルテアちゃん、ロザリィちゃん、パレッタちゃんが言っていたから間違いない。
とりあえず、料理の運び出しはギルに任せることに。ロザリィちゃんたち女の子は皿洗い。悲鳴と怒号があちこちから飛び交う中、俺はエレガントに炎を支配しいろんなものを揚げまくる。途中でちょっぴりつまみ食いしたのは内緒である……けれど、ロザリィちゃんに見つかってしまった。不覚。
『みーたーぞぉー?』ってロザリィちゃんに脇腹を突かれたので、悪い子な俺は『……これで共犯だからね?』って唐揚げをひとつつまんでロザリィちゃんに『あーん♪』しておいた。ロザリィちゃんってば、『わんわんっ♪』って俺の指先までくらいついて来てちょっとドキドキ。
イチャイチャをしていたところ、『ハゲプリンもってこぉぉぉい!』って大声が。『どーせ作ってあるんだろ? 喰うまで帰らないからな!』って声も続く。あいつらマジで酔っぱらってるんじゃねーかって思った瞬間だ。
で、ハゲプリンを運び出す。『久しぶりに食ったけどやっぱうまいな!』ってシキラ先生は嬉しそう。『ああ……癒される……』ってノエルノ先輩もにっこり。『これがあの噂の……!』、『秋に執り行われるお菓子パーティでしか食べられないって言うアレか……!』って目を輝かせる人も。ちょっと気になる単語は聞こえなかったことにした。
なんだかんだで、ハゲプリンを提供するころにはピークは過ぎ去っていたように思える。飲んでるやつはとことん飲んでテンションアゲアゲだったけど、何人かはすでに疲れて大人しくなっていたし、中にはすやすやと寝息を立てている人も。報告会の準備で疲れがたまっていたのだろう。『安らかなる温もりを与えよ、ヴィヴィディナ』ってパレッタちゃんがタオルケット代わりにヴィヴィディナをけしかけていたから大丈夫のはずだ。
さて、そろそろ後はおばちゃんたちに任せ、俺も残り物で腹を満たしつつシキラ先生を潰してみようかな……なんて思っていたところで事件が。『ひんっ……! ひんっ……!』って聞き覚えのある泣き声に、『なんだよぉ、今回は俺悪くないだろうがよぉ……』ってこれまた聞き覚えのある声が。
慌てて声のする方に駆け寄ってみる。真っ赤な顔してポロポロと涙を流しながらギルに抱き付くミーシャちゃんと、これまた(酔ったせいで)真っ赤な顔しているキイラム先輩がいた。
まさかこのロリコン、またやらかしたのかと思って杖を引き抜く。が、どうも様子がおかしい。ミーシャちゃんが尻を撫でられたにしてはギルがブチギレてない……というか、なんかどうすればいいのかわからないって感じでオロオロしている。
なにより、近くにいたノエルノ先輩が複雑そうな顔をしていて、そしてシキラ先生が腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。
『何かあったんですか?』ってキイラムに杖を向けつつノエルノ先輩に聞いてみる。『うん……その、お互いに不幸な事故があったんだよ……』ってノエルノ先輩が溜息。『お、俺は今回は悪くねえぞ!? なんだよやんのかコラァ!?』ってキイラムが杖を引き抜いた。
『やれやれ、やっちまえ!』って嬉しそうに囃し立てるシキラ先生を見て、何とも思わなかった自分をぶん殴りたい。
杖を振るキイラム。ぼわんと立ち上がる魔力の霧。視界が一瞬塞がれ、特有の……どこか憶えのある魔法の匂い。
『グルゥゥォォォァァァッ!!』って叫ぶでっかい銀狼が──いつぞやのソルカウダやシキラ先生へのカチコミの時に助けてくれたカッコいいあの銀の狼がそこにいた。どういうことなの。
『マジですか』って呟く俺。『残念だけど、マジなんだ』って呟くノエルノ先輩。『うそ……! こんなのうそなの……!』ってむせび泣くミーシャちゃん。
なんでも、キイラム先輩の得意魔法は狼魔法らしい。より正確に言えば、変化魔法の亜流(?)に分類される獣魔法の中の一つである狼魔法らしいけれど、ともかく狼に変身したり、狼の能力を魔法で極端に再現することを得意としているとのこと。
で、宴会のノリで魔法で狼になってふざけていたところでミーシャちゃんがこれを見つける。当然、あの憧れの狼にこんなところで会えたとなっては、使い魔が欲しすぎて若干拗らせているミーシャちゃんが飛びつかないはずがない。
『止めたんだけど……ウェイトレスの仕事も忘れて飛びついて……ぎゅーって抱き付いたり、ほおずりしたり、またがったり……』、『あいつの鼻面にキスしたり、「顔舐めてほしいの! 憧れだったの!」ってペロペロを強制させたりしてたな!』ってノエルノ先輩とシキラ先生が語る。
たぶん、だいぶ控えめに言っているだけで、実際はもっといろいろやったのだろう。ミーシャちゃんはそういう子だ。
最終的に魔法が解けてキイラムが元の姿に戻り……ミーシャちゃんは今まで自分が甘えていた相手があのロリコンだったってことに気付き、そして絶望したのだろう。『ほおずりしていた相手がいきなりロリコンになったら、そりゃ泣きたくもなるよね』って近くにいた先輩が言っていた。
『オオオオオオッ!』って吠える銀狼。姿だけはマジでかっこいい。だのに、中身がアレだなんて。神様はなんて残酷なんだろう。
ともかく、これから猛ったあの銀狼を宥めなくっちゃならない。酔っ払いが役に立つかわからないし、ギルはミーシャちゃんを慰めるので手一杯。ここはひとつ、俺がタイマンで相手してロザリィちゃんにカッコいいところを見せようと思った次第。
が、『あいつ酔うといろんな意味で相手するの面倒だし、さっさと潰すぞ』ってシキラ先生が疲労魔法をノーモーションで放つ。俺たちと戦った時とは比べ物にならないくらいに強く、鋭いキレ。咄嗟に回避行動をとった狼の足に絡みつき、胴体を絡めとり、あっという間に全身を覆い尽くした。
『ウウウウウ……ッ!』って情けなく膝をつく狼。『やってくれ、ノエルノ』って言葉と共にノエルノ先輩がその傍らに膝をつく。『……ホントに、黙っていれば可愛く見えるんだけどね』ってそのまま狼の腹、顎の下、耳の裏をわしわしと撫でまくった。
『ウ、ウウ……!』って狼がだんだんと脱力していく。『ほーれほれ、ここがいいんだろ?』ってノエルノ先輩はさらにわしわし。抗いがたくなったのか、狼はごろんと腹を出して寝転がる。お腹の毛がめっちゃふわふわで思わず飛び込みたくなった。
腹をさらけ出し、安心しきった表情の狼。とろとろと瞳が揺れたかと思えば、やがて小さな寝息を立て始め──そして、元のキイラム先輩に戻った。ノエルノ先輩の膝の上で、『すぴー……』って赤ら顔で気持ちよさそうに寝息を立てている。
『狼の時のアイツな、弱点を撫でられると気持ちよくなって、そのまま寝ちまって魔法が解けるんだ』ってシキラ先生が教えてくれた。『ちなみにノエルノは最初の被害者だ』との追加情報も。『やめてください……! 思い出したくもない……ッ!』ってノエルノ先輩はシキラ先生を止めようとするも、逆にそれがシキラ先生の嗜虐心に火をつける。
『俺も詳しいことは知らねーけどぉ? 一年だか二年の時、授業が辛くてめそめそしてたところで謎の狼が現れてな? 慰めてもらって仲良くなって、ある暖かなお昼寝日和の日に、今みたいに狼の頭を抱いて撫でてたら一緒に寝落ちして……気付いたら、な?』ってシキラ先生はニヤニヤしながら語る。
『弱点を撫でて寝落ちさせれば魔法が解けるってのは、その時に判明した』、『というか、それが出来るのはノエルノしかいない。他の連中だとあまりうまくできない』といった更なる追加攻撃も。『もうやめてぇぇぇぇ……!』ってノエルノ先輩は真っ赤になっていた。
『可愛らしい思い出話じゃないですか』って先輩を慰める。『……シエナ、この前卒業した。もういない』って唐突に衝撃の事実を語られた。
ちょうショック。シエナ先輩と言えば、あの優しい雰囲気のきれいなおねーさんだ。だのに、もうこの学校にいないだなんて。せめて最後の挨拶くらいはしたかった。絶望。
『道連れだ……! 一人だけ何もなしは許さない……!』ってノエルノ先輩は言ってたけど、俺今回悪くなくない? なんで無駄に心に傷を負うことになったのか。まぁ、ミーシャちゃんやノエルノ先輩に比べればマシだけどさぁ……。
なんだかんだでその後は恙なく進み、無事にお開きと相成った。『ちょっ、誰かこいつなんとかしてよ!』ってノエルノ先輩はすっかり眠りこけたキイラム先輩を膝に抱えて叫んでいたけれど、もちろん誰も手を貸さない。
『いや……だって、すごく気持ちよさそうに寝こけているし……』、『泣き虫ノエルノがずいぶんとまぁ立派になっちゃって……』、『自分、人の邪魔はしない主義なんで』って連中が言っていたから、おそらくそういうことなんだろう。なんか意外というか、ちょっぴりショックである。
まぁ、キイラムがロリコンである限り、先は無いだろう。どうせキイラムが狼魔法を使っているのも、「妹にぎゅってしてもらうためだ」とかそんなんだろうし。
ふう。だいぶ長くなったけどこんなもんだろう。クラスルームに戻ったのはだいぶ遅い時間だったから、ほとんどの人はもう自室に戻っていた。何人かの夜更かししていた女子がミーシャちゃんを心配して慰めていたっけ。ミーシャちゃんの目はずっと死んだままだったけどな!
ギルは今日も大きなイビキをかいてすっかりねこけている。寝る間際、こいつは『俺……筋肉って使い魔になると思うんだよな……』ってトチ狂ったことを言っていた。とりあえず止めておいたけれど、しばらくは注意して観察しておいたほうが良いかもしれない。
とりあえず、ギルの鼻にはキイラムの尾の毛でも詰めておこう。ふさふさふわふわで触り心地がよかったから、ついついブチィッ! って引っこ抜いてきちゃったんだよね。
最後に、一つだけ書いておこうと思う。
自室に戻る直前、ロザリィちゃんに『今日はおつかれさま……だけど、ショック受け過ぎっ!』ってほっぺにキスされた。『今日はこれで我慢するよーにっ!』って反対側のほっぺにもキスが。最後に、『浮気していいのは先生だけなんだからねっ!』っておでこにキス。
『俺の身と心は全部キミとステラ先生のものだよ』って囁いたら、『そーゆーとこだぞっ! おやすみっ!』って口にキスされた。真っ赤になったロザリィちゃんがとってもかわいかったです。