104日目 発展触媒反応学:テスト対策自習
104日目
なにもない?
ちくしょう。こういうことか。
【同室の筋肉がヤバいやつ】を起こして食堂へ。今日は景気づけにさくらんぼのタルトをデザートに食す。タルトの焼き加減が最高で、その香ばしさとさくらんぼの甘酸っぱさの調和が凄まじい。まさか朝からこんなに贅沢なものを食べられるとは。
さて、そんな感じでさくらんぼタルトを楽しんでいたところ、【夢魔のとても可愛い女の子】が『きゅーっ!』って俺の膝の上に乗ってきた。で、さくらんぼタルトのさくらんぼだけを食べていく。いや、より正確に言えば、俺がさくらんぼをフォークで刺したところで尾っぽでぺしぺし俺の背中を叩いてきたんだよね。
それだけだったらまだいつものことで済んだんだけど、『俺それこの前予約しといたよね?』、『人の物って美味しそうに見えるって【悍ましき蟲のようななにか】も言っているもん!』って【ちんちくりんで子供っぽい顔の男の子】と、【黙っていれば人形さんみたいな顔立ちに思えなくもないけどどこか関わっちゃいけないオーラを発している女の子】までもが俺の愛しいさくらんぼを奪っていきやがった。どういうことなの。
しかも、それに便乗して【職人さんみたいにガタイが良い男子】が『去年の約定は有効だろ?』ってタルトの一切れをかっさらっていく。あいつ、直後に【とんでもなくグラマラスで垂れ目とほくろ(?)がせくしーなアビス・ハグ】に思いっきり抱きしめられていた。バキバキって変な音が聞こえたけど気にしないことにする。
さて、そんな感じでちょっぴりしょんぼりしていたところ、ふわりと甘い香りが。ふと顔を上げてみれば、そこには【可愛いを具現化したかのような超絶美少女】が。
いいか、今の俺にはこうとしか表現できないが、逆にあの女の子を……ちくしょう、ともかくあの女の子を普通の言葉で形容したら逆に失礼だってことだけ伝わってくれ。あの女の子はもはやあの女の子の名前で象徴する以外には、その素晴らしさを伝えることはできないのだ。
ともかく、【愛に溢れるこの世のものとは思えない美少女】は『ちょっと多かったから食べるの手伝ってねっ!』って自らのさくらんぼタルトを『あーん♪』してきた。天にも昇る気持ちとはこういうことを言うのだろう。『よくできましたっ!』って頭まで撫でてくれた。最高かよ。
なお、そんな感じで俺たちがイチャイチャしている間も、【筋肉の塊というよりかは人の形をした筋肉】は『うめえうめえ!』とジャガイモを貪っていた。
……この段階ですでにめげそう。いつもの日記のはずなのになんでこうも書きづらいのか。読み返すのも一苦労。やっぱ最低限のテンポって大事だ。
今日の授業は……【タチの悪いリッチでさえ憐れむくらいに頬のこけた若い先生】による発展触媒反応学。スケルトンの集団に交じっていても気が付かないくらいにその人の顔はヤバいことになっていた。
『期末ですからね……いろいろ忙しいし、フォローに走らなきゃいけないことも多いし……ははっ、最近また校内にいるのに、柱の影でフィアンセが手招きしているんですよ……』と、会話の中身もだいぶヤバそげ。目の焦点もあっていなかったし、こいつはいよいよもってヤバいかもしれない。
肝心の授業内容だけれど、やっぱり期末テストに向けての自習の時間になっていた。いつもどおり、普通に自分で勉強を進めて、わからないところがあれば【もっと肉を食ったほうが良いって誰もが言うであろう見た目の先生】に聞きに行くっていう寸法ね。
とりあえず、【大きめのリボンがチャームポイントなとても十八歳とは思えないくらいにちっちゃい女の子】と【爽やかイケメンだけど口のしまりが悪いヒモクズ】に触媒反応学の何たるかを叩きこんでいく。もちろん、【教えることに集中できないくらいに可愛い女の子】にも手取り足取り腰取り教えまくった。『せんせい、勉強になります!』って言ってくれるところとかマジ最高。
なんだかんだでテスト勉強だけだったため、授業内容としてはこんなもん。
夕飯食って風呂入って雑談していたところ、『みんな、勉強捗ってるー?』って湯上りでほかほかしているネグリジェ姿の【慈愛と母性を司るおっきくてロリロリしいボディがまぶしい女神】がクラスルームにやってきた。ひゃっほう。
しかもしかも、【思わずぎゅってしたくなっちゃうような愛の女神】は『なんかちょっと、先生寂しくなっちゃって……!』って【気高き凛としたオカンの女の子】にぎゅっと抱き付き出す。気高き【ルマルマのかーちゃん】は『……寂しい時は、いつだってこっちに来ていいんですよ?』って慈愛の笑みを浮かべて【我が女神】をぎゅっと抱きしめていた。
どうも、ここしばらくこうしてクラスルームに来ていなかった故に、いろいろ寂しくなってしまったらしい。言われてみれば、先週も先々週も【愛の女神さえ裸足で逃げ出すくらいに美しい麗しの我が女神】は週末の夜に遊びに来ていなかった気がする。
『期末テストに向けていろいろ忙しかったってのもあるけど……その、【うちのワガママお姫様】が、は、は……反抗期だったでしょ? ……【小悪魔というよりガキ悪魔】に本気で威嚇されたら……その、先生立ち直れないなって思って』って【女神】は若干涙目になりながら教えてくれた。
例え発情期で種族特性的に仕方のないことだったとしても、知っている子に本気で威嚇されたらメンタルブレイクすると本能で感じ取ってしまったらしい。ぽんこつメンタルな【我が聖母】もエクセレントキュートだと思いました。
ともあれ、せっかく【至高の聖母】が遊びに来てくれたのにテスト勉強なんてしていられるわけがない。『せっかくだし、カードゲームで遊びませんか?』と誘ってみる。『望むところだっ!』ってついつい乗っちゃうところが最高に可愛いと思います。
もちろん、結果は【賭博の神にも愛された俺の人生の先生】の圧勝。俺たち全員ケツの毛まで毟り取られた。喉をごろごろならしながら【究極のふとももを持つ慈愛の女神】の膝枕を堪能していた【そろそろおねむの時間だと声をかけてあげたくなるくらいにちいちゃい女の子】は『魔導の真理よりも深いものを見たの』ってコメントしてくれたっけ。
だいたいこんなものだろう。最後になるけれど、寝る間際に【真実の恋人】がおもむろにぎゅっと俺を抱きしめてきた。『……どうしたの?』って優しく声をかけてみれば、『……今日は、一回も名前を呼んでくれなかった』ってぷっと口を膨らませて俺に抗議をしてきた。何だこの可愛い生き物。
『ちょっと事情があってね。まぁ、明日になれば治るから』って俺ってば優しく微笑み、『おやすみなさいのキスはまだ卒業していないんだっけ?』ってちゅってキスをする。『そっちはもう卒業したけれど、今日一日我慢したごほうびが欲しいの』って百億万倍で返された。頭が沸騰したかと思ったよね。
【歩く筋肉】はいつも通りにクソうるさいイビキをかいている。しかしまぁ、人の名前が思い出せないとか本当に厄介極まりない。ド忘れってレベルじゃない。なんとか今日一日を乗り越えられたけれど、【愛しのあの娘】の名前を思い出せないばかりか、呼んであげることすらできない自分が本当に情けない。
何がヤバいかって、周りの人が名前を呼んでいても、俺にはなぜかそれが認識できなかったっていうね。名前の所だけぼやけて聞こえたし、物に書かれていてもなぜか文字としてそれが認識できなかったんだよ。
まぁいい。また明日になれば直っているだろう。日記を読み直しているであろう未来の俺と、そして【我が宿の絶対支配者】へ。今日の日記が酷く読みづらいのはこういった理由があるのだということを、ここで改めて述べておく。
【マッスルモンスター】の鼻には……爽やかにミントでも詰めておく。グッナイ。