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100日目 ゆったりとした一日

100日目


 『無理なもんは無理イモ。ちょっとは常識を考えてほしいイモ。ジャガイモ妖精を何だと思っているイモ?』……って日記に書かれていた。自身が使い魔になるという発想、こいつにはないのだろうか?


 なんだか妙に蒸し暑く、いつもよりちょっぴり早めに目が覚めてしまった。ふと気づけば、俺のシャツが汗でぐしょぐしょ。寝汗って言うよりかはむしろ、全力でギルの腕立て伏せに付き合ったんじゃねーかってレベル。


 で、気付く。ちゃっぴぃの野郎、仰向けの俺に正面から抱き付くようにしてスヤスヤしていた。故にちゃっぴぃのかいた汗をもろに俺が受け止める形になっている。あいつ普段から全裸だし。


 さらに言えば、やっぱりあいつは口のしまりが悪い。汗に加えてヨダレまで俺の胸で受け止める形になっている。朝からこんなにヨダレ臭い思いをするなんて、いったい……いや、割と昔からナターシャのヨダレ癖があったか。


 ともあれ、ギルを起こした後は久しぶりに朝風呂としゃれこむことに。休日の朝ということもあって、人影はまるで見当たらない。『誰もいない風呂っていいよな! 俺の筋肉も喜んでるぜ!』ってギルは観客もいないのに元気にポージングをしていた。


 とりあえずちゃっぴぃをごしごしする。あいつは『きゅう、ん……♪』って上目づかいで俺に媚を売ってきた。俺の背中にぴったりと張り付こうとしてたいそう髪を洗いにくい。


 ただまぁ、その行動は浅はかだったと言わざるを得ない。媚を売っていると見せかけて、単純に頭を洗われたくなかっただけだろう。いったい俺がどれだけこいつの頭を洗ってきたと思っているのか。そんなことをしたって、頭からお湯を被る運命は変えられないのだ。魔法を使わないだけありがたいと思ってほしいものである。


 ちゃっぴぃを洗っていて気付いたんだけど、へその下の紋様も、全身に広がった紋様もいくぶんか薄くなってきているのがわかった。俺でもはっきりとその違いが判るレベル。ドクター・チートフルが言っていた通り、発情期も終わりに近づいているらしい。


 あと、念のため乳下チェックもやっておいた。『きゅうん♪』ってちゃっぴぃはくすぐったそう。汗疹がなくて一安心。この時期は特に気を付けたほうが良いみたいだし、これからもロザリィちゃんに気にするように伝えておかないと。


 ぼちぼち体を洗い終わった後は朝風呂フェスティバルの開幕。人がいないからこそできる芸当。俺ってば全力で泳いじゃったし、ギルも『うっひょおおおお!』って風呂にボディプレスを決めていた。


 ざっぱーん! ってなる風呂のなんと迫力のある事か。『きゅーっ!』ってちゃっぴぃも全力のダイブを決めていたっけ。


 朝風呂の後は風呂上がりのイチゴミルクを楽しむ。ギルは風呂上がりのジャガイモも『うめえうめえ!』って美味そうに食っていた。


 朝餉を取った後はぼちぼちクラスルームでゆっくりする。俺がさっぱりしていることに気付いたロザリィちゃんが、『あっ、お風呂に行って……!』って近づこうとしたところで足を止めた。無論、ちゃっぴぃが俺に引っ付いて睨みを利かせていた故である。


 ただ、『ふーッ!』ってちゃっぴぃは一回しかロザリィちゃんを威嚇しなかった。前までは『ふーッ!! ふーッ!!』って最低でも二回はしていたのに。自覚は無いだろうけど、やっぱり少しずつ元に戻っているのだろう。良い兆候だ。


 ロザリィちゃんってば、嬉しそうにも悲しそうにも見えるように笑い、そのまま手をひらひらと振って去っていく。イチャイチャしたかったのに残念。この世は本当に残酷だ。


 それにしても、午前中はマジでぼーっとしているだけだった。みんなどこかに出かけているのか、あるいは自室に引きこもっているのか、全然姿が見当たらない。エッグ婦人を膝に乗せ、共用ロッキングチェアでアルテアちゃんがゆらゆらしているくらいだった気がする。『たまにはエッグ婦人を甘やかそうと思った』ってアルテアちゃんは言っていた。


 ちなみに、ポポルとフィルラドはヒナたちを連れて散歩に出かけた(出かけさせられた)らしい。ジオルドはアリア姐さんと共にデートと言う名の日光浴に。クーラスはたぶん自室で勉強で、パレッタちゃんはミーシャちゃんを連れて俺の畑につまみ食いに行ったとのこと。ちくしょう。


 午後もそんな感じでゆったり過ごす。ホントはハゲプリンでも仕込もうかと思ったけれど、エッグ婦人の体調が悪いために作ることは叶わず。本を読むって気分じゃなかったし、お昼寝って気分でもない。もちろん、勉強なんてやりたいはずがない。


 そんなわけで、ちょっと久々にちゃっぴぃの乳搾りを敢行することに。言うことを聞く発情期中にやるだけやっちまおうと思った次第。『きゅん♪』ってちゃっぴぃもずいって自ら俺に胸を押し付けてくれたし、かなりのベストシチュエーションだったと言えよう。


 ただ、いつも通りに搾っていたのに、『……いつにもまして犯罪的な光景だよな』ってアルテアちゃんに言われてしまったのがわけわかめ。別に無理やりやっているわけじゃないというのに。それもこれも、ちゃっぴぃが発情中なのが悪いと思う。


 そうそう、搾りたての夢魔の乳だけれど、なんかいつもより香りが結構強めだった。甘い匂いがぷんぷんしていて、そのまま普通に飲んでもとびっきりの幸せに包まれそうな感じがひしひし。なんていうか、俺の中の天使も悪魔も『こいつぁ濃いぜッ!』って囁いていたんだよね。


 とりあえず搾りたてのほやほやをちょっぴり飲んでみる。『私にも飲ませろ』ってアルテアちゃんもせがんできたため、快く分けた。『ん……やっぱりかなり濃いな』とのこと。


 なんかアルテアちゃん、一度でいいから夢魔の乳の原液を飲んでみたかったらしい。今まではプリンやイチゴミルクなんかで薄めた(?)ものしか飲んだことが無かったから、ちょっと気になっていたのだとか。『一回経験すればもう十分。少なくとも、女の私には』って言っていたっけ。


 最終的に、瓶三本分の夢魔の乳の搾乳に成功。テスト後の打ち上げ用に取っておこうと思う。


 ちょうど搾乳が終わったころ、フィルラド&ポポル、そしてミーシャちゃんが帰還。『なにやってたんだ? ステラ先生が真っ赤になってそそくさと出てきたんだけど』って衝撃の情報が伝えられる。


 『すっごく真っ赤で、目がちょっぴりぐるぐる回っていたの』、『すげー焦ってたって言うか、「ななな、なんでもないからっ!」って言ってた』とはミーシャちゃんとポポル。


 『ああ……きっと、搾乳の様子を見てしまったんだな』ってアルテアちゃんは得心いったかのように頷いていた。


 ……別に普通に入ってきてくれてよかったんだけど、なんでステラ先生は帰ってしまったのだろう? というかもしかして、俺が搾乳しているところを最後までのぞき見してたってことだろうか?


 あれか、搾乳しているイケメンな俺に見惚れて、声をかけられなかった……ってやつか? ……俺の時代、来ちゃったのか?


 そんな考えをみんなに話したところ、『お前、夢魔の気にあてられてんぞ』、『いや、こいつは元からこうだ』などと言われてしまった。俺ってば別におかしいこと言ってなくない?


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんだか今日はあまり書くことが無いくらい平和な一日だった。強いて言えば雑談中、フィルラドがちゃっぴぃを抱っこしながら『素敵なレディはママを困らせないもんだぜ?』って正統派イケメンらしいさわやかな笑みを浮かべて諭していたことだろうか。


 時折まともなイケメンムーブをかますから、あのヒモクズは侮れない。気高きアルテアちゃんもその手管にひっかかってしまったのだろう。


 俺も少しちょいワル(?)を目指すべきだろうか。いや、まじめな俺にそんな真似できるはずもないか。


 ギルは大きなイビキをかいてぐっすりと眠っている。こいつは今日も一日中筋トレをしていたのだろう。筋肉の仕込みさえきちんとしておけば、試験は突破できる……そろそろ脳筋を鍛える段階に移らなくては。


 なんだかんだであと一週間でテスト。出来れば明日か明後日の内にはちゃっぴぃの発情期も終わってほしいものである。こうも毎回枕やタオルケットを取られてしまってはゆっくり休めないしね。


 まぁいい。ギルの鼻には夢の牙でも刺しておこう……意外とぴったりはまってなんかちょっと得した気分。おやすみにりかちゃんまじせくしー。


※燃えるごみは夢の彼方に。魔法廃棄物は捨てちゃダメ。

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