一話 異世界への転生
とってもテンプレな異世界転生パートです
今日中に後2,3話投稿したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
(・・・あれ?)
気が付くと、俺は知らない外国人二人に上から覗きこまれてた。
一人は綺麗な金髪を腰辺りまで伸ばした滅茶苦茶綺麗なお姉さん。
外国のモデルさんかと思うような美人さんである。
このお姉さんは何を思ったのか、俺の方を慈しむような目で見た後優し気な手つきで俺の頭を撫でた。
・・・・もしかして俺、今モテ期ですか?
とか思ったものの、よく考えればこのお姉さんは知らない人だ。
いくら美人さんとはいえよく知りもしない人に頭を撫でられてもリアクションに困るだけである。
そんなどう反応していいか困っている俺に対してもう一人の外国人の人が腰に手を当てて「うんうん」と嬉しそうに頷いていた。
こちらの人もやはりと言っていいほどイケメンであり、何より外国人だからかとてもいい身体をしている。
公衆トイレへ行く途中で誘われたら思わず「うほ、いい男」とかいってほいほい付いていってしまう程だ。
冗談はさておき。
こちらの男性も、未だ俺の頭を撫で続けている女性も。
そのどちらも俺は知らない。
なのにこの二人は俺の事を知っている・・・というかすんごい親し気な態度だ。
これは一体どういう事なんだろう。
今のこの異様な雰囲気の中、俺は意を決して声を掛けることにした。
「・・・あー、うー」
しかし。
そんな俺の口から出たのは声にならないような声だった。
――――――――――
ここである青年の話をしよう。
その青年の年齢は18歳。
丁度高校の卒業を控え、家から近くの大学へ行くことが決まっていたその青年は残りの高校生生活を満喫するだけとなっていた。
「んで、今日はどこいくよ?」
そう尋ねたのは青年の友人だ。
「んー、今日はカラオケでいんじゃない?」
答えたのは青年の隣を歩いていた一人の少女。
この友人と少女は青年が小学校の頃から一緒の、幼馴染のような存在だった。
中学、高校も一緒で大学も同じ所へ行くことが決定していたこの三人組はその日も、学校が終わるのと同時に街へ遊びに出ていたのだ。
「んー、そうだな。今日はカラオケにするか」
そう答えた少年は何気なく目の前にある交差点に目を向ける。
もし、この時に交差点へと視線を向けていなければ未来はまた違った形を取っていたのかもしれない。
しかし、この時この瞬間に青年は交差点へと目を向けてしまったのだ。
そう、赤信号へと変わるタイミングで交差点へと飛び出してしまった小さな女の子の姿と、その女の子に気付かずに迫り来るトラックをその目に映してしまった。
「・・・危ないッ」
気が付くと青年はその少女へと走り出していた。
自分の身が危ないかもとか、そんなことは頭にない。
ただ少女が危ないという事実しか頭になかった。
「ちょっ、おい!どこ行くんだよ!?」
「何!?危ないわよっ!?」
両隣にいた友人たちが急な青年の行動に声を上げるももはやその声は青年へと届いていない。
(間に合えッ間に合え・・・!)
どうやら少女も自分へと迫ってくるトラックに気が付いたようだった。
しかし、恐怖で足が竦んだのか少女の足が動く様子はない。
青年が少女へと駆け寄ってどれくらいの時間が過ぎたか。
それは十数秒か、もしくは数秒かもしれない。
だが青年からすればほんの一瞬の出来事だった。
どんっと鈍い音がする。
少女とトラックが接触する直前、青年が少女の身体を突き飛ばしたのだ。
現役の高校生が突き飛ばす力は強く、まだ小さい少女の身体はいとも簡単にトラックの車体外へと弾き出される。
(よかった・・・何とか間に合ったな)
急な衝撃に驚く少女の顔を確認し、何とか助けられたと安堵した直後、青年の身体は走るトラックと衝突しその衝撃で青年は吹き飛ばされた。
何回か地面をバウンドするような感覚があった後、キーンとするような音が耳に残る。
身体を動かそうにも全く力が入らなかった。
「・・・おいっ、早く・・・車に、・・・しろっ!」
「わかっ・・・今やって・・・!お願い・・・助かって・・・!」
後ろで友人たちが慌てたような声を上げているがその詳細は聞き取れない。
トラックとぶつかったはずの身体は不思議と痛みを感じず、ただ眠気のような倦怠感が青年に襲い掛かっていた。
これは許容を超える痛みに神経が麻痺し、失血によって意識が混濁している状態なのだがそんなことを知らない青年は少女を助けられたという満足感に包まれながらその倦怠感に身を任せて目を瞑る。
(今日・・・カラオケに行くって話だったのにあいつらには悪い事したな・・・・まぁ、この怪我が治った後にまた行けばいいか)
そうして意識が昏い闇の中へと落ちていく。
痛みがないので大した怪我ではなかったのだろうと信じて疑わなかったのだ。
しかし、普通に考えても生身の人間とトラックが衝突して無事でいられるわけがない。
結果的にこの青年はこの世界で二度と目を覚ますことはなかった。
そしてこの事故が起きてから一週間ほどの間、この事故の全容はニュースでテレビへと流れることになる。
迫るトラックからその命を持って少女を救った青年の話しは感動を呼び、その青年の友人たちが涙ながらにテレビのインタビューに答えるシーンが話題となったのだ。
この事故を機に、青年の行動についての本が出版されたり、今までテレビの中で昨今の若者について嘆いてばかりいたような有名な政治家がこの青年を称えるような発言をしたりとちょっとした社会現象となるのだが、それは青年の知る由もない話である――――
読んでくださった皆様に感謝を
感想アドバイス、評価コメントなど是非お待ちしております
異世界転生はやっぱりテンプレに限りますね。