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第74話 ライバル再会

「とうとう小僧にも何か見えたのか?」


 赤鬼は片目をつぶって、隠し事がバレた子供のような表情で尋ねた。


「うっすらと……黒い影が見えたぞ……」

「そうか、うっすらとは見えたか……」


 ため息混じりに赤鬼は答えた。


「おい赤鬼! 言いたい事があるならはっきりと言え!」


 庸平はその態度が気に入らない。


「あれは怨念の(かたまり)、災いをもたらす存在の欠片(かけら)だ」

「怨念の塊!?」

「フム、その欠片だ」


 赤鬼は指で輪っかを作り欠片を表した。


「しかもぉー、それって人間の悪霊じゃなくて魔物の悪霊なのよぉー。たちが悪いわよねぇー!」


 大橋先生が両腕を広げて呆れたように言った。


「魔物の悪霊って……魔物は死なないんじゃなかったのか? 死なないのに悪霊になるって……」

「フム、確かにワシらには死という概念は存在せぬ。だからこそ、魔界にも帰ることができずこの世に閉じ込められた魔物の怨念は計り知れぬ強さをもつ。だから小僧には見えない方が良いのだよ。下手に手を出すと身を滅ぼすことになるだろう」


 そう言い終った赤鬼は、庸平から目を逸らした。まるでこれ以上は語るまいと決意したように。 


「しかし悪霊に成り下がったとはいえ元は魔物。なぜ俺に見えなかったんだ? 俺、陰陽師として未熟だったのか?」

「そうかも知れんな」

「否定しないのかよ!?」

「うふふふ……あなたち、本当に陰陽師と式神の関係なのぉ――? 変な子たちねぇー!」


 大橋先生は腹を抱えて笑った。

 まさかの展開に庸平の気持ちは急激に落ち込んでいく。




「おまえら今すぐ帰れ! うちの学校には足一本踏み入れさせないぞ――!」




 その時、少年の甲高い声が聞こえてきた。

 大橋先生が血相を変えて校舎へ向かって走り出す。

 庸平と赤鬼は後を追いかけるが、ぐんぐん離されていく。


 声の主は制服を着た背の低い少年だった。その少年が昇降口から入ろうとする兵器マニアと黒縁メガネの前に立ちはだかっている。


 大橋先生がパコーンと少年の頭を叩く。


「痛ってぇぇぇ――! 何をするんだ先生、俺は学校を守ろうと――」

「余計な手間をかけさせんじゃないわよあんた!」


 頭を抑えてうずくまるその少年こそ、京都で出会った――


 悪霊退治のスペシャリストであり、庸平の永遠のライバルとなる存在――


 桜木翔太であった。

  


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