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第64話 最弱の陰陽師!?

「吉岡……とうとう天罰が下って記憶喪失にでもなったか。それとも良心の呵責(かしゃく)に耐えかねて気が変になったか?」

「天罰はともかく、オレには良心の呵責など全くない!」


 7月に入り、本格的な夏の到来を予感させる水曜日の朝。

 黒いタンクトップに赤の縦じま模様のシャツを羽織った小太りの男。

 吉岡はニヤリと笑った。 


「天罰は否定しないのかよッ!」


 庸平は額に手を押し当て、玄関の壁にもたれ掛かった。


「しかし、吉岡は俺のことを集団でいじめるのは本望ではないんだろう?」

「はあ? オレがいつそんなことを言った?」

「えっ……だって……修学旅行で……」


 庸平の記憶の中にいる吉岡は、集団によるいじめは嫌いだと確かに言っていた。


 吉岡は目を見開いたまましばらく固まった。

 そして、はっと何かに気づいたように、ジーンズのポケットをまさぐる。

 出した手には折りたたんだ紙が握られていた。

 彼は慌てた様子でそれを広げる。


 銀髪少女は庸平の腕につかまりながらも興味をそそられように覗き込む。


「これだぁぁぁ――ッ!」

「シャァァァ――!」


 吉岡は心に詰まっていた物がひと息に噴き出したように叫んだ。

 銀髪少女は牙を剥いて襲い掛かった。



 * * * * *



 庸平と吉岡はちゃぶ台を挟んで座っている。

 そこへ白い着物姿の銀髪少女がやってきた。


(わらわ)が初めて煎れた茶だ。飲んでみるがいいぞ」


 深さにして半分ほど、控えめに緑茶が入った湯飲みを置いた。

 庸平が試しに飲んでみる。


「ぬるいな……」

「そ、そうか? 妾はその位の茶が好みであったのだが……」

「修行しろ!」

「ぐぬぬ……(あるじ)様は厳しいお方じゃ……」


 丸いお盆に湯のみを乗せ、台所へ下がっていく。

 その様子を吉岡が呆気に取られたような表情で見ていた。


「あの子は誰なんだ? いい加減説明しろ!」


 ちゃぶ台に手を付いて庸平を問い詰める。

 吉岡の腕には歯形がくっきりと付いている。

 玄関先で彼の声に驚いた銀髪少女に噛み付かれていたのだ。


 庸平は腕組みをし、しばらく考え込む。


「話せば長くなるのだが、あいつの正体は白い大蛇だ」

「最弱……おまえはまた、変なものに関わったのかよ!」

「俺だって好きで集めているんじゃないぞ。勝手に集まってくるんだ」

「そんなこと言って、おまえが引き寄せているんだろう!?」


 呆れたように吉岡は言った。


「俺が……引き寄せている?」

「自覚がないのか? おめでたい頭の持ち主だな。最弱の陰陽師の力が変なものを引き寄せているんだろ」

「最弱の陰陽師って……その言い方は止めてほしい。なんかすごく弱いみたいで嫌だ」

「おまえは最弱のくせに贅沢言うな! で、ここから本題に入るのだが……」


 吉岡は紙をちゃぶ台に広げた。

 そこには鉛筆で殴り書きした文字が書かれていた。


『やはりこの村は呪われている! 校舎をさがせ! この紙を見て思い出せ!』   

 


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