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防衛戦

 機材を手に取り、VR世界へとダイブする。変わる景色。気付けば自分の体は狭い箱庭の中に入っていた。様々な装置が取り付けられたこの箱庭。ボクの愛機<銀の天啓>ソルト=リべレーションのコックピットだ。


 体の感覚を確かめた後、通信回線をONにする。その通信相手は一人しかいない。相手はすぐに通信に出た。


 「おせーよ!ユウ!バリバリ!攻められてるんだからな!」

 「わかってるって!!相手はどこ!?」

 「御影二中だ!!」

 「御影二中!…朝の仕返しってことか!やってくれるな。もう!」


 機体を起動させ、格納庫から飛び出す。そしてレーダーを前回にして周囲を探索する。


 「1…2、…9…これで全部かな…いや、まだ居そうだ…なら!!」


 攻めてきている機体の性能は余り高いものではない。いわゆる量産型と言う奴だ。マシニクルワールド内において機体規格に名前は付かない。それは様々なロボが出るためだ。だけどそれだけだとお互いの会話の時に、あの獣型のやつとかビーストでみたいに通じなくなるからプレイヤー側で共通の呼び名がある。それがフレームって奴だ。例えば獣型ならアニマフレーム。○ンダムタイプならノーマルフレーム。アル○ノアタイプはスーパーフレームと呼ばれている。ボクの乗る機体はスーパーフレーム。そう、だかこそこの機体には…


 「コア起動!…見渡せ千里眼!!」


 特殊能力がある!。千里眼の能力はレーダーの精度と範囲を二倍にすること。地味だが有効な能力なのだ。そして精度の上がったレーダーに新たに二機の機影が映る。


 「量産型じゃない…専用機!!此奴らが司令官!!龍玄!!データの奴!!」

 「わ~ってるよ。だがこっちだって忙しいんだ!!」


 龍玄は今、6対1で戦っている。しかも残りの三機が隙を伺っていて迂闊に動けない状態だ。なら


 「ボクが行く!」

 「おい!ちょっとまて!おまえじゃ…」


 龍玄の言葉が聞こえるが無視する。これでもボクも立派なパイロット。専用機の一匹や二匹…


☆☆☆


 無理でした。


 ボロボロになったソルトを敵から離し、ボクはコックピット内で荒い息を吐く。


 「つ、強い…」


 目の前に居る機体…ユニバーサルコード(他学校の機体の公開登録名)を見るとその機体は、<鮮血のアーク>カラギリと<蒼壁の導師>スレイガーと出ている。


 カラギリは六本の腕を持つ赤い機体でスピードが速い。スレイガーは蒼い大きな盾を持っていて動きは遅いがその盾はエネルギー弾を吸収するため攻め辛い…厄介な相手だった。むしろここまで生き残っていることが奇跡だ。…正直なところ、ボクはあまり、パイロットは上手くないのだ。…え、ロボ好きなのにって?だってしょうがないだろ。パイロット適正は反射神経が左右するんだ。それがないと扱いこなせない。そうボクはマイスターとして失格だ…。


 『専用機だから警戒してたが思ったより大したことないな』

 『ああ、こんな小国に専用機があるから何かあるんじゃないかと思ったが杞憂だったみたいだな』


 共有回線でカラギリのパイロットとスレイガーのパイロットが軽口を言い合う。


 聞こえてますよ~っと思いながらも。何も言い返すことができないのでボクは押し黙った。


 『たっく、岩下の奴がここを狙いたいっていうから期待したんだが、存外つまらない仕事だった。さっさと終わらせよう』

 『おうよ、じゃ、このカラギリでいっちょ切り裂いてやりますか』


 「っく…!」


 スピードを上げ、突撃してきたカラギリをボクは盾を投げ飛ばすことでその勢いを削ぐ、盾が障壁となってカラギリは狙えないがスレイガーは狙える。油断した今なら…いける!!


 ソルトの初期装備のビームライフルからエネルギー弾が飛び出す。


 『甘い!』


 だが、それはスレイガーのエネルギーを吸収する盾に防がれる。そして迫りくるカラギリ。ボクは精一杯操縦桿を引き、後ろに飛び退いて躱そうとする。

 これならギリギリ躱せる!そう思ったボクの目の前で六本腕の一つがスライドするように外れ、別の一本にくっ付いた。


 「んな!?そんな機能が!!」


 伸びた腕はしっかりとソルトを攻撃範囲に収めている。躱せないと判断したボクは二本の腕でガードを行う。


 『切り裂け~!!』

 「ぐ…うわぁああ!!」


 カラギリの刀は腕を切り裂き、胴体も深く傷つける。勢いによって吹き飛ばされたソルトは近くの建物にその機体をぶつけた。終わっていない。だがもはや動くこともままならない。


 「…っ。うごけうごけ!!動いてくれ!ソルト!!」

 『これでおーわ…』


 ウーウーウー


 そこまで言いかけたところで突如サイレンが鳴った。これはアタックフェイズ終了の合図だ。


 助かった。その気持ちが心を占める。


 『あっちゃ~遊び過ぎた。決めきれなかったか』

 『いやいや、俺らのせいじゃなくてあっちのせいだろう?九機いて、一機を落とせなかったんだから』

 『だな、まあ、明日落とせばいい。この実力ならそれで充分だろう…戻るぞ』

 『あいさ~』


 アタックフェイズはマシニクルワールド内での多陣地侵略可能フェイズのことだ。学校により、終わる時間がある程度変わってしまうため、時間を決めておかないと知らない間に陣地を落とされていたということになってしまう。だからこそアタックフェイズと言う形を用意して始まりと終わりの時間を決めているのだ。時間まで守り切れば防衛成功。相手は一旦引かなければならない。時間内で侵略できれば侵略成功…とまあ、なんだかんだわかりやすいようになっている。


 「ぼ、防衛成功…ぎりぎりだった…」


 ボクはぽつりとつぶやいた。


ノーマルフレーム…普通にロボって聞いて出てくる特に特徴もない人型タイプ

アニマフレーム…動物など生物を形作るロボ、動きが速かったり、特徴的な動きが出来る

スーパーフレーム…いわゆるスーパーロボット。特殊能力や機構が沢山ある

ノイドフレーム…アンドロイドのような、より人型に近いタイプで武装を多く搭載できないものの、手先が器用で道具や工作に長けたり、関節部の可動がいいので格闘戦が得意


これらは飽くまでも呼び名の為に付けられたもので実際は曖昧な範囲の機体がよくある

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