出会い
「おい、お前。何処中だぁ?」
「結城第三中学!ロボ部所属!銀川ユウ大尉です!!」
「んな!こまけーこと聞いてねーんだよ!!格下が!調子に乗ってんじゃねーぞ!!」
やあ、皆元気?うん元気かそれは良かった!元気がなければロボットにも乗れないからね!…え、ボク?ボクは今ブルーな気持ちさ!なんてったって、ボクの名前は銀川ユウ。絶賛脅され中だからです!!
ボクは現実逃避をしながら目の前の男から視線をそらす、目の前に居る男。ボクが今日、ふとした時に目に入ったロボ甲子園のPVに目を取られている間にうっかりと手に持っていたジュースをこぼしてぶつけてしまったその相手。
…なんと彼はロボ甲子園においてボクの結城高校より高いランクを誇る御影二中の生徒さんだったのです!
…え?ロボ甲子園って何?なんでそんなので威張れてるの?って?いやいや、いやいやいや。ちょっとお兄さんロボ甲子園をバカにするのはいけないな~。ロボ甲子園と言うのは日本全国のロボ部がある全ての中学が参加して行われるVR大会のことさ!VRって何?なんでVRって?…え~VR何て常識でしょ?何年前にできたと思ってるの。
…仕方ないな…説明しますよ~。ま、VRの詳しい説明をすると長くなるからとりあえず省くけどね、良くあるVRものと同じと思ってくれればOK!っでロボ甲子園で使われているのはロボ甲子園用に作られたゲームでマシニクルワールドってやつ、古今東西ロボって言えるものなら○イドからガン○ムやアル○ノア、○ックマンのようなタイプまで、何でもありで戦いお互いの領地を奪い合っていくゲームさ。そしてその領地を決めるのがお互いの学校なわけ、つまり学校単位で一つのチームなわけね。
んで、一年間を通してお互いの領地を奪い合うわけだけど、まあどこにでもブランド価値を付けたがる人は居るみたいでその奪い合いの、う~ん。何ていうか領地?をそれぞれの学校の価値と一緒にしようとしたわけ、それがいわゆる中学ランク。これがさ~結構影響力が強くて…まあ、そんなこんなでこうやって威張られているわけなんだけどね。
…え?結城第三中学のランク?…底辺ですけど何か?む~仕方ないだろ!部員が少ないんだよ!ていうか二人しかいない。ボクともう一人、赤井龍玄ってやつしかいない。学校のランクが決まるのに部員を増やさないのかって?ああ、そういうの禁止されているんだよ。皆が皆、強制して始めてしまうと物量が多い学校が勝っちゃうでしょ?ホラ、野球で
甲子園があって、勝てばメディアとかに取り上げられてあの学校凄い!!みたいになるけど野球を強制することはないでしょ?まあそれと似たようなもの。…大抵やりたい人は上位校に入っていくから下位のグループは諦め?タイプとそもそも興味のない人しか来ないって奴ね。それでも一応参加している…的な?はあ…もっと強くなりたいよ。
「てめぇ!!話聞いてるのか!!」
「聞いてます!!聞いてます!!」
「聞いてね~だろうがよ!!」
「うへぇ~!!」
殴られた!!親父にもcry
殴られた頬を摩り、ボクは男を見上げる。男はペッと唾を吐くと捨て台詞を残して去っていく。
「いいか!この世は力こそが絶対。ランクこそが正義だ!底辺校のロボ部何て価値はねぇ!!分かったら俺ら上位の邪魔をするな!!」
ボクはそれを見送りながら小さくつぶやく。
「力こそ全て?ロボは楽しければそれでいいんだよ…偉い人にはそれが分からないんだ」
立ち上がったボクは学校に向かっていった。
☆☆☆
キンコンカンコーン!っとベルがなり、ホームルームが始まる。ワイワイガヤガヤ
としていた生徒たちも一応静かになり、教師の方へと目線を向ける。その教師…通称艦長は今日も尊大な様子で会話を始める。
「諸君、ホームルームを始める!…が、今日は諸君らに伝えなければならないことがある、このクラスに新たな生徒が着任することになった…白雪ミカ君入りたまえ!!」
その突然の発言にクラスがざわつく。この時期に転校生なんて珍しい。ボクの視線もその方へと向けられる。
「…失礼します」
扉を開け、一人の少女が入ってくる。それと同時に艦長は教卓を竹刀で叩いた。その音で全員の視線が艦長に向く、この時代錯誤な言動と行動こそ、艦長が艦長と言われる所以だ。そして全員の視線が集まったことを理解した艦長は彼女のことを話始める。
「彼女は白雪ミカ。天動学園から転校してきた生徒だ。皆これから仲良くするように」
「白雪ミカです。よろしくお願いします」
彼女はぺこりと頭を下げる、白く透き通った肌、少し小柄な慎重に黒のポニーテールが…ってそんなことはどうでもいい!!何より今、気にしなければいけないことは!
「天動学園…!」
そう呟いたボクに視線を彼女は向ける。そう、今重視しなければいけないのは天動学園というネームバリュー。…あそこはロボ甲子園のトップ校…昨年の優勝チームなのだ!
「凄腕パイロットの来訪…それなんてラノベ!?やった~これで戦力爆アップだ~!」
彼女を何が何でもうちのロボ部に入れなければならない。そう意気込むボクを彼女は冷たい視線で見ていることにボクは気づかなかった。