野上 聡 ②
短文更新になります 話しがなかなか進みませんが気長にお付き合いください
訳の分からないいまま車に押し込まれ 走ること10分は過ぎた
これって実はかなりまずい事になってないか 沈黙の続く車内
妙な緊張感が走る 絶対に怪しい このままじゃダメだ
拘束されている訳ではないから 車から降りたらダッシュで逃げよう
そう決心した矢先に 車はビルの駐車場に入り止まった
「降りろ 」後部座席のドアを開け男は命令口調で言った
従う振りをして隙をみて逃げ出そうとした目論見はすぐに崩れた
「古賀さん どうしたんですか今日は確定に行ってたはずじゃ… 」
車の外には男の仲間がいたんだ しかも駐車場と道路の間に
逃走経路はふさがれてしまっている なんてついてないんだ
「こいつが対象者だ 予定外に接触してしまい 面倒だったから連れてきた 」
「そうですか 連れて来たってことは 」
「あぁ 当たりだ 」
何の話だかさっぱり分からないが 俺の事話だということだけはわかった
「さっきからあんた達は何なんだよ 俺には何がなんだか分からないんだよ 」
苛立つ感情をあらわにし 声を荒げる
「ここじゃあなんだから とりあえず入りましょう 」
駐車場にいた男がそう言うと 古賀と呼ばれた男は再び俺の腕を掴み歩き出した
こいつって細身だし見た感じはヤサ男なのに すっげー力が強い
俺だって6年間サッカー部やってたんだから 体力と力はあるほうだと思うけど
抵抗してもかまわずにぐいぐい引っ張って歩いていく そして
大きな机と書類棚いっぱいの本やファイル その反対側に応接室にありそうな
ローテーブルとソファーが置かれた部屋に押し込まれた
「ここで待ってろ 新堂悪いがこいつ見ててくれるか 」
「分かりました 君こっちで座って待っててくれるかな 」
さっきの男よりも対応が良い奴に ソファーで待つよう言われたが
「あんた達に用ないし 帰る 」
我慢の限界だ いつまでも訳分からない怪しい奴らに付き合ってられるか
あいつがいない今がチャンスだ そう思いドアを開けて出ようとしたんだが
眼前のドアは突然消え 足元が地面から離れて宙に浮いているような感覚になる
「何しやがった 」もう何がなんだかわからない
「手荒なまねはしたくないんだ 落ち着いて話を聞いて欲しい 」
「だったらちゃんと説明しろよ 」
「俺から言えることは 君は選ばれた だけだ後は古賀さんから聞いてくれ」
その後何を言っても男は 「俺からは言えない」を繰り返すだけだった
いったいどのぐらい時間が経ったかわからない どこにも出口が見当たらない
場所に閉じ込められ次第に諦めの感情に支配されていく もうどうでもいいや
本編では『勾玉を持つ者』から野上君は登場します