野上 聡 ①
野上君が守り人になるまでの話です
外伝は短めの文章になる予定です
俺の名前は 野上 聡
高校を卒業したはいいが 進路が決まらずだらだらとした日々を過ごすうちに
年は明け再び受験シーズンになってしまった 一応予備校通いはしていたが
どうしても行きたい大学がある訳じゃないから 勉強したって頭に入らない
中・高一貫の男子校で6年間サッカーだけに打ち込んできたから 成績はまぁ
自分で言うのもなんだがひどい物だった 部活仲間の何人かはスポーツ推薦で
大学に入ったが 好きでやっていただけの俺にそんな話が来るはずもなかった
「あ~ぁ 俺の6年間ってなんだったんだろう 」
予備校帰り公園のベンチに座り 缶コーヒーを飲みながら鬱々とした気持ちになる
反対側の歩道に目をやると 制服を着た高校生達が楽しそうに話しながら歩いていた
学生やってたころはこんな気持ちになる事なかったのに 今は…
やりたい事もないし 目標もない 空っぽだな俺は
見上げた空はどんよりと曇り 自分の心を表しているような重い色をしていた
「帰るか 」
立ち上がり手に持っていた缶をゴミ箱目掛けて投げたのだが すっぽ抜けてしまい
そばのベンチに座っていた男の方へと飛んでいってしまった
「やばっ 」
下を向いてタブレットを操作している男が 飛んでくる缶に気づいている様子はない
〝ぶつかる〟そう思った時だった 缶は見えない何かにぶつかったかのように
空中で止まると そのまま下に向かって落下して男性の前に転がり落ちた
カラン 乾いた音が公園に響く いったい何が起こったんだ
転がった缶を見ていると 座っていた男が立ち上がりこちらへとやって来た
「君は 何か俺に用でもあるのかな 」
俺よりも身長が高い男は 上から睨みつけるように見ている
「すみません ゴミ箱に投げたつもりがすっぽ抜けちゃって
本当に申し訳ありませんでした 」
こちらが悪いのは事実だから 精一杯の気持ちをこめて頭を下げた
「そういうことか だが俺はお前に用があるんだ 予定外だったがこうなったら
一緒に来てもらうぞ 」
俺の腕をぐんと掴むと男は早足で歩き始めた
いったい何がどうしてこんな事態になったんだ… 確かに缶をぶつけそうになった
のは悪かったが なぜかぶつかる事無く済んだのに なんで俺はこいつに引きずられる
ようにして連れていかれてるんだ…
これが 古賀との出会いだった
だらだらした文章で書かれた本編もよろしくお願いします