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あたしはきっと変な虫

「コーちゃんには迷惑かけられないよ」

「でもなっちゃん、いいの?」

ひとみさんは心配そうに私を見た。私はうなずいた。







あたしはきっと変な虫








「私は反対だな」

「えっ、なんで?」

「だってなっちゃんつらそうだから」

私はうつむいた。

「そのコーちゃんとやらには好きな子がいるって言ったの?」

「うん、さっき友達から聞いた」

「友達からか…」

うーんと考えこむひとみさん。

てか、私、なんでさっき会ったばかりの人に相談しているんだ?

「あの、ひとみさん?」

「ん?」

「何で私はここに来たんだっけ?てか何で私は相談してるの?」

「あのまま外に出てたら風邪引いちゃうし、泣いてるなっちゃんが可哀想だったからね。それに『相談に乗ってください』って言ったのなっちゃんだよ」

そうだったのか…。そういや、そんなこと言ったようなないような…。

私は落ち着くためさっきもらったお茶を飲んだ。

「やっぱりここは勇気をだして告白すればいいんじゃないかな」

「…でも好きな子いるって」

「友達からでしょ。本人じゃないんだから大丈夫」

……大丈夫なのか?

ひとみさんは最初に見たとき男の人かと思った。だって男の格好をしているんだもの。

なぜそんな格好をしてるか聞くと深い事情があると言っていた。

「でも、やっぱり私はなんとも、ううん……嫌われてる」

「なんで?」

「この前拒絶されたから」

「拒絶された、か。ん?……この前」

「ひとみさん?」

「えっ、いやごめん。考えすぎか、うん」

ひとみさんはなぜか一人で納得していた。わけがわからず思わず首をかしげる。

「そのコーちゃんとやらは何でなっちゃんを拒絶したの?」

「私が話しかけたから…」

「いや、考えすぎだよ。そのコーちゃんとやらに話しかける前、何してた」

「え?……確か、学級委員の瀬田君と合唱祭について話した」

「ははーん」

ひとみさんはにやりと笑う。思わず鳥肌が立った。きれいな笑顔なんだけど、こう悪魔のような何かを企んだような感じ。

「なっちゃん、これはコーちゃんとやらに告白するべきだよ」

「でも」

「当たって砕けろ」

砕けたらダメな気が…。

「砕けたら私が慰めてあげる。だから、ね」

やさしい人なのか酷な人なのかよくわからない人だなぁ。でもなんか安心する。

「…頑張って見ようかな?」

「そう、頑張りなよ。まぁ90%大丈夫だと思うけど」

ピリリリリリ

いきなり電子音が聞こえて少々驚く。ひとみさんはテーブルにおいていた携帯を手に取ると操作をし、耳に当てる。

「はい、狛です」

……狛?

「ああ、智?どうしたの?また兄貴に愚痴られた?」

智?…もしかして。

「ひとみさん」

「ん?」

「今電話している方は?」

「狛智浩。私の弟。あ、なっちゃんとちょうど同い年だね」

世の中、何が起こるかわからないものだ。まさか好きな人のお姉さんに相談していたとは。

私はうなだれた。

「あれ?なっちゃん?…あぁ、ごめん智。うん、お客さん。夏川愛ちゃんっていう可愛い……え?」

ひとみさんは目を見開いてかなり驚いているようだ。

ああ、消えてなくなってしまいたい…。

「あんたねぇ…。今すぐにここに来なさい。じゃあ」

「ちょ、ひとみさん!?」

ひとみさんは携帯をテーブルに戻すとにっこり笑った。

「当たって砕けろ、でしょ?」


「……」

「……」

気まずい。気まずすぎる!ひとみさんはどっかいっちゃうし!!

私はさめたお茶を飲んだ。

あのあとしばらくしてからコーちゃんがひとみさんの家に来た。来たとたんひとみさんはフラフラっ出かけてしまった。コーちゃんに耳打ちしてから。コーちゃんはなぜか顔を真っ赤にしていた。一体、ひとみさんは何を言ったんだろう?

「…夏川」

「えっ?あ、ハイ」

いけない、いけない考えこんでた。

「何で姉貴といたわけ?」

「え?近くの公園で泣いてるところを拾われた?」

「拾われたって……てか、何でこんな時間に公園で泣いてるわけ?」

「ちょっと悲しいことがありまして」

「何だよ悲しいことって?」

言えないよ。君に好きな人がいたからだって。

「もしかして、この前冷たくしたからか?」

「え?」

「悪ぃ。あのときちょっとイライラしてたから」

「え、違うよ!あのときは私が無神経だったから」

「いや、その…。あー、くそ!」

コーちゃんは顔を上げると私の手を掴んだ。

「あのとき瀬田としゃべってたろ?」

「うん。合唱祭の打ち合わせだよ」

「俺には仲良く見えたんだよ…。だから、その、瀬田に嫉妬したというか、その…」

「え?」

どういうこと?

「だー!!だから、嫉妬したんだよ瀬田に!それぐらいお前が好きなんだよ!!」

思考がついて行ってない。コーちゃんが私のことが好き?

「愛、お前は?」

「私はコーちゃんが好き」

口が勝手に言っていた。そして理解した。両思いなんだと。

私は嬉しいやら恥ずかしいやらでどうリアクションすればいいのかわからない。

コーちゃんの方を見るとすごく嬉しそうに笑っていた。思わずその笑顔にみとれる。

「やっぱ、俺のせいで泣いてたんだな」

「コーちゃんに」

「智浩」

訂正された。

「智浩に好きな人がいるって友達から聞いて。

「俺は好きなやつがいるなんて誰にも言ったことないぞ」

ひとみさんの言う通り本人の言葉じゃないから大丈夫だった。恐るべしひとみさん。

「ひとみさんって変わってる…」

「ああ、かなり変わってるぞ。姉貴ホストやってるんだ」

「ホスト!?」

ホストってあの女の人を楽しませる男の人のことだったような……。

「ひとみさんって女、だよね?」

智浩はうなずいた。ますます私の中でひとみさんがわからない人になってゆく。

「……愛」

呼ばれたので智浩の方を向くと目の前が真っ暗になった。そして唇にやわらかい感触。

「いただき」

智浩はにやりと笑った。私はしばらく放心したのだった。

やっぱり智浩とひとみさんは姉弟だ。あのにやりと笑った顔がそっくりだ。





オマケ ~ひとみと智の会話~


「智、来たか」

「…何で夏川がここにいるだよ?」

「まぁまぁ。じゃあ後はお二人で。…あ、そうだ。智、なっちゃんを襲っちゃだめだからね」

「!!!」

「あはは!!顔真っ赤。じゃあね」



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