第3話:本
「和也〜!」
東出入口で香織を待っていると、突然手を振りながら走ってくる少女…誰?
「ごめ〜ん!待った?」
少女は俺に話しかけてきた…可愛い!マジで可愛い!誰なんだろう?人違い?
「え?誰?」
「はぁ?誰って私でしょ?香織よ?顔忘れちゃったの?ひど〜い!」
香織?こんなに可愛いかったっけ?
「香織?へぇ〜!変わったな!全然わかんなかった!!」
「当然よ!会っても顔とか見なかったじゃない!何年ぶり?こうして顔合わせるの?」
確に学校行くときたまに会うけど、顔とか見てなかったな…挨拶ぐらいしかしなかったから
「ん〜…中学のときはよく会ってたから…2年ぶりか?」
「そんなところね!じゃあ本買いに行こうか!」
「ちょっと待てよ!どうして香織は俺がわかったんだ?俺はわかんなかったのに!」
「へ?…いや…和也は…全然…そう!全然変わってないから!」
「なんだよそれ!俺だって身長とか伸びたぞ!」
「もう!そんなことは気にしな〜い!いこいこ!」
「ん?あぁ…」
テケテケと俺の前を走る香織…子供か?といいたくなるようなくらいチョコチョコと動き回る。
「なぁ?どこに本買いに行くんだ?その辺でよくね?」
「もうちょっと!もうちょっと先にあるの!」
そういいながら歩く香織。しばらく歩いていると、店らしき建物が見えてきた。あれのことか?
「あそこよ!あそこ!」
「いや…本買いに来ただけなのになんでそんなにはしゃいでんの?」
「うるさい!早く行くの!はい!走った走った!」
「おい!ちょっと…こける!手を離せ!俺がこけるって!」
いきなり手を握り走り出した香織。その行動についていけず、俺は転びそうにになった…むしろ転んだ!
ズザー…
「ぷっ…何してんの?痛そ〜…」
「痛ッ…マジで痛い!受け身したのに頭打った…」
「…大丈夫?ごめんね?早くいこ!」
「わかった!わかったから引っ張んな!痛い!」
「は〜い!」
シャー…自動ドアが開く。すると店員が笑顔でいった。
「いらっしゃいませ〜」
その店員の笑顔を無視し、香織は俺を引っ張って店の中へ入っていく。店の中はとても広く、様々なジャンルの本が並べてあった。俺の目的は野球の本だ…香織の目的はなんの本だろう?
「なぁ、香織はなんの本買いにきたん?」
「え?私?小説よ!最近恋愛小説にはまっちゃって〜!」
「そ、そうか…じゃあ俺、野球の本見てくるから!」
「うん。私があとから野球の本のとこいくから!待っててね!」
「わかった。」
俺はスポーツの本が置いてある棚に向かった。
そこには野球をはじめ、ゴルフ、テニス、サッカーにバスケや卓球、ラクロスっていうのもあるな、ほかにも様々なスポーツの本があった。(ラクロスってなんだ?)俺は迷わず野球の本の場所に立った。その中でも俺の目をひいたのは、【魔球のすべて】という本だ…その本の目次には、現代の魔球ジャイロボール!や必見!すべての変化球の投げかた!とかキレのある直球を投げる!など、俺の求めていたものがあった。
「うわ〜…キレのある直球か…まさに俺が求めてるものじゃん!」
そこで俺はしばらくその本を読んだ。