第10話:対戦!星見高校!。中編
シュウァ! シュギュルルルルル!
ズバーン!
「ストラックバッターアウト! チェンジ!」
「おっしゃあ!」
3回裏、星見高校の攻撃が終わり、4回に突入した時点で、3対0。
1回表で俺はツーベースを打ち、喜名森のヒットで3点目をいれたわけだ。
ちなみに、俺は星見高校に対し、ヒット0。6奪三振を奪い、完全試合に向けて、好スタートをきっている。
『4番、ピッチャー。早川君』
俺はバットを持ち、バッターボックスに立った。
相手ピッチャーは、大きく息を吐くと、力強く振りかぶり、大きく腕を振り下ろした。
シュッ! シュルルルルル!
ブン!
「ストライーク!」
は、速い! なんだ? 1回の時とは比べ物にならないくらい速い!
そして、2球目も同じように投げる。
ブン!
「ストライーク!」
当たらない…そんなバカな!? 速さはストレートなんだぞ? 変化しているはずがない。
そして俺は、相手ピッチャーの投球を見た。
ワインドアップで大きく振りかぶり、体重移動をしながら、腕を大きく振り下ろす。
シュッ! シュルルルル!
ピッチャーから放たれたボールは、勢いよくキャッチャーミットへと向かってくる。
パァン!
「ストラックバッターアウト!」
なんだ…変化したのか? ただのストレートじゃないのか? 分からない…。
なんなんだあの球は…。
「おい早川! どうしたんだよ? お前がバットに当てれないなんて」
「分からねぇ。分からねぇんだ…。ストレートのはずなのに、当たらない…」
「……おそらくあれは、ムービングファーストボールだな」
ムービングファーストボール…?
「か、監督! なんスか? その、ムービングファーストボールって」
「ストレートだ。…だが、フォークほどではないが、落ちるんだよ。そのせいでバットに当たらなかったり、内野ゴロになったりするんだ。まさか星見にこんなピッチャーがいるとは…」
ムービングファースト………これを上手く打てるようになるには、試合中じゃあ時間が足りないな…初回に先制点入れといてよかったぜ。
「ストラックバッターアウト!チェンジ!」
よし! なんとしても守りきってやるぜ!