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メロディ
どれほど待ち続けても現れない
そのくせ現れるときには突然
なんの前触れもなくだ
勝手で
気ままで
まるで捕らえ所がない
期待はしていない
していないけど
出逢えたら それが嬉しい
だから私は待ち続ける
風と波が聞こえる部屋で
南向きの窓を開けて
逢瀬はいつも夜
密やかに私の中を駆け抜けていく
決して立ち止まらない
振り向きもしない
落雷のように現れて
夜霧のように去っていく
引き寄せる膂力はない
つなぎ止める錨もない
出迎えようにも道を知らない
翼を持たない私は待ち続ける
月明かりを満たした部屋で
微睡みながら
メロディが 聞こえる
以前、某誌に掲載された作品です。