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バカツンデレとデート②

「ひーちゃん、結局このお金どうしようか……」


 ショッピングモールには着いた。


 しかし、僕の手元には数万円のお金。


 先ほど電車で謎のおじさんにもらったのだ。


「怖いし明日交番に届けましょ」


「そうだね」


 僕たちはショッピングモールに入る。


「久々に来たなー。休日なんて基本ずっと家だから……」


 周囲を見渡す。まぁ前来た時とそこまで変わってないか。


「まずはお洋服見にいくわよ。あんたのくそダサい服装どうにかしないと」

「素材は良いんだから……」


 僕の手を引っ張るひーちゃん。


 お金は貯めてた小遣いでたくさんあるけど、どんなブランド店に連れ込まれるのか。

 ひーちゃんの服も見るからに高そうだし、店員さんが声高いタイプの店に連れ込まれたり……


「ここよ。じゃあ私服選んでくるから」


「ここは……」


 安くて無難な服が売られているカジュアル店。


 あれ?ルイ・バトンとかジャネルとかのブランド店じゃないのか?


「もしかして私がブランド店に連れてくると思った?身の程を知りなさいよ。私たちは高校生なのよ?」


 困惑する僕を見てひーちゃんが言う。


「……それに、あんたは安い服でもかっこよくなれるんだから」


 そういえば、前もこんなことあった気がするな。


 小学生の頃だったか。ひーちゃんの家族と一緒に出掛けた時に、ひーちゃんが服を選んでくれたんだ。


 結局買わなかったけど、その時も”かっこいい”って言ってくれた気がする。


 なんか、そう考えると……懐かしいな。


 最近は学校以外で会うことが減ってきた。お互い大人になって、少し距離感が開いた……


 訳ではないな。毎日一緒だわ。


 感傷的になれなかった……別に疎遠になってないもんな、僕ら。


「じゃあこれね。買っちゃうから着替えましょ」


 ひーちゃんがかごに服を入れて僕の前に現れる。


「え?普通いっぱい服選んで楽しむもんじゃないの?」


「あんたはこれが一番似合うのよ」


 ひーちゃんは当然のようにレジに向かう。


「そんな前から決めてたみたいな……」


 僕がそう言うと、ひーちゃんは足を止めた。


「前から決めてたのよ!悪い!?」


 そして、顔を真っ赤にしながら僕の方を振り向く。


「あんたは私が選んだ服を着ればいーの!分かった!?」


「は、はい……」


 レジに服を通すひーちゃん。値段はリーズナブルだな。


 そしてひーちゃんはそのまま財布を取り出した。


「え?流石に僕が払うよ」


「私が着てほしいから私が払うわ。でもそうね、じゃあ代わりに……なんか私に似合いそうな服があったら買ってね」


 ひーちゃんが言う。


「いや、でも……」


 それでも僕は食い下がる。


 ひーちゃんの手が止まった。


「……だって、あんた全然私の服誉めてくれないじゃない」

「私、今日可愛くない?」


「まぁ、可愛いっていうより……綺麗?」


 僕が正直な感想を口にする。


「キレイ……ね。ふーん」


 ひーちゃんがどや顔とにやにや顔の中間みたいな顔で僕を見る。


「ずっとそんな風に私を見てたんだぁ……へぇ……」


 そして、僕の脇腹を肘でつつく。


「もっと、早く、素直に、なれよぉ~~」


「タイミングなかっただけだって……」


「ほんとか~?おらおら~」




「なにが悲しくてにーにとチビのいちゃいちゃ見ないといけないのよ……」


「おい買ってやったんだからクレープ潰すな」


 物陰からカップルの動向を見守る。


 電車で出会ったカップルの男の方であるヒナタの妹、ナツ。


 こいつは聞いた感じ重度のブラコンで、兄の初デートを監視しに来たらしい。


 やばい奴だよな、普通に。


 全く無関係のやつのデートを観察してる俺も十分に……ってかこいつ以上にやばい奴だけど。


「ねぇカラスマ。ナツあれ飲みたーい」


 ナツがスチャーバックス、通称スチャバとかいう若者専用のチェーンのカフェを指さす。


 新作ウルトラダークサンシャインフラペチーノ……暗いのか明るいのかどっちだよ。


「おっ、ちょうどあいつらもスチャバ入ったな」


 俺たちは少し時間をおいてその店に入ることにした。


 現金は全部渡したが、クレカ持ってて助かったぜ。


「ウルトラダークサンシャインフラペチーノ全マシマシ追加チョコチップミルク変更で」


 ナツが呪文を唱える。


 あぁ、知ってる知ってる。スチャバで有名な暗号ね。実質二郎系みたいなやつね。分かる分かる。

 ニンニク全マシマシに生卵追加に背油変更みたいなもんだろ?知ってる知ってる。


 おじさんはこないだまで十代だったんだ。それに二十三はお兄さんと言っても遜色はないはずである。


「あ、あと特製ラーメンもニンニクマシマシで」


 二郎系ラーメンやってんの!?うそ!?


 カフェで出すなよ!ニンニクを!通りでさっきからなんかくせぇなって思ってたわ!


「ありがとうございましたー」


 カップルの二人はどうやらテイクアウトだったようで出口から店を出てしまった。


「おい、あの二人行っちゃったぞ」


「え!?嘘!?もう頼んじゃったよ!」


 ナツが紙エプロンを付け、ヘアゴムで髪をまとめる。


 こいつ、意外とガチなのかよ……




「私のも飲む?」

「あのぬいぐるみ取ってほしいなー」

「ほら、あーん……照れんなよ~」

「あの小説面白いよ。幼馴染の恋愛のやつなんだけどね」

「この映画みよーよ。恋愛のやつでね」

「この曲好きー。初恋がテーマなんだって」


 なんか……ひーちゃん今日積極的だな!?恋愛のことばっか話してくるし!


 まぁいいことなんだけど!喜ばしいことなんだけど!


 なんていうか……こう……すごいドキドキする!いつもと見た目違うし!


「いやー楽しんだ楽しんだ。いいデートだったでしょ?」


 デートの終わり際。


 ひーちゃんが自慢げな顔で僕に聞く。


「そうだね。めっちゃよかった」


 僕は純粋な気持ちでそう答えた。


「ふっふっふー。そうであろうそうであろう」


 その時、僕の視界に一つの帽子が映る。


 ちょっとしたリボンの付いた麦わら帽子。


「ちょっと待ってて」


 僕はその店に小走りで向かい、帽子を購入する。


 そして、ひーちゃんの頭に被せた。


「似合ってる……多分」


 僕はファッションセンス皆無だからなぁ。もしかしたらダサいかも。


「ふぅん、カンカン帽子ね……あんたにしては良いセンスじゃない。」


 カバンから取り出した手鏡でひーちゃんが自分の姿を確認する。


「ふーん……」

「ふふっ……じゃ、帰りましょ」


 上機嫌で僕の手を引くひーちゃん。


 もうおしまいか。


 ……ちょっと寂しいな。


 まぁ毎日会えるんだけどね。


 ひーちゃんの家の前につく。


「また明日」


「うん」


 そして、デートは終わった。

最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!


面白かったらぜひブックマーク、高評価をよろしくお願いします!


次話もお楽しみに!


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