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デート前夜

 で、デート……


「おかえりー。にーにどしたん?早くお風呂いれてよ」


 デート?デート……


「にーに、あーんして。ふーふーもして」


 デートかぁ……デート……


「にーに!歯磨きチェックして!学校の準備して!服も着せて宿題手伝って寝かしつけて一緒に寝てー!!」


 デート????


 僕は、どうすればいいんだ????


「ねぇにーに、ナツね今日ねクラスの男子に告白されてねでもねナツにはにーにがいるからって言ったら”兄弟は結婚できない”って言われてね。でもナツはにーにと結婚したいから政治家になって法律を変えて幸せな生活送りたいからにーにもそろそろ結婚を考えて……ねぇ、にーにきいてる?」


 デート……。


「にーに?」


 でぇと…………。


 ドォン!!


 頭に激痛が走る。


「いったぁぁあ!!」


「にーに今日どうしたの!!」


 僕の真横に居るのは、妹のナツ。


 ここはナツの部屋にナツのベッドか……そうか、今日はされるがままに同じベッドにもぐりこんだんだな。


「にーに今日なんもしてくれない!ナツ死んじゃうよ!」


 うちの親は忙しくて基本家に居ない。それはナツが幼いころからで、僕がナツの面倒を見ていた。


 そのせいでナツは十四歳になったが、子供の頃の甘え癖が抜けずにいる。そろそろ自立させないといけないから、心を鬼にしないとな。


「あのな、ナツ。にーに、実は明日デートなんだ。だから魂抜けてて……」


 僕が事情を説明する。


「は?」


 ナツの低音が聞こえた。


「誰と?いや、知ってるよ。あいつだよね。あのチビ。ひーちゃんだっけ?あいつずっとにーにに色目使ってるのは分かってたけど……は?何がいいのあのチビ貧乳だし性格悪いし顔だけじゃん顔だけ。あんな女やめてナツに……」


「ナツ」

「ひーちゃんの悪口言うな」


「むむむ……でもにーにと結婚するのはナツだもん!!!」


 ナツが部屋を飛び出す。


 ここはナツの部屋なのに。


 あいつどこ行くんだ……?


「にーにぃ……」


 あ、帰ってきた。


「で、デートコーデ決めようよぉ……」


 ナツが両手に僕の服を持ちながらへたくそな笑みを浮かべる。


 デートコーデ……そうか!明日は休日、ちゃんとした服装をしないと!


「にーにはお洋服ド素人だからねぇ……ひひひっ。ナツが選んであげるよぉ……」


 ナツがその場に服を置く。


「まずはこれね……ほかも、持ってくるからぁ……」


 ナツがそそくさと部屋を出る。


 僕はファッションセンスが皆無だからな。おしゃれなナツに任せて損はないだろう。


 まずはこの服を着るか。えーっと……


「にーに、けひっ……持ってきたよぉ、服……」


「おうナツ。服着といたぜ」


 タンクトップと見まがうほどの半そで。肋骨辺りまでしかない服丈。ほぼパンツが見えているズボン。


「何年前に着てた服だよ、これ……」


 流石にサイズがキツイな……。


「いいねぇ……似合ってるねぇ……くひひひっ……」


 ナツが笑う。


 笑ってるっていうことは似合ってるのか……?


「でもこれ小さいし僕には……」


「にーに、知らないの?」


 ナツが口を開く。


「ギャルの間で大流行のへそ出しファッションに見せパン……これはそれを完全再現してるんだよ?今のにーに、すごいおしゃれじゃない?」


 ギャル……大人気……


 あんま知らんけど多分おしゃれだ!


「ありがとうナツ!ほかのも頼むよ!」


「くけけけっ。お任せくだせぇ……」


 ナツが服を取り出す。


「まずは髑髏と英文字のシャツにチェーンと剣のキーホルダーのついたズボン!圧倒的足し算のおしゃれ!無駄と見えるものすべてが無駄ではないおしゃれの美学!英語で大人っぽいかっこよさを演出!」


「おー」


「次!ピッチピチのチェック柄のシャツにギリギリ丈が足りてないジーパン!そして小学生が遠足で使うリュック!親近感の湧くオタクらしさと子供らしさを出して可愛さをアピール!」


「おー」


「最後!竜の描かれたスカジャンにタトゥーシールを多用し、男らしいかっこよさを演出!そして傷だらけでほぼ肌しか見えないダメージジーンズで色気をアピール!ぱっと見だとただの輩だがにーにの優しさで”猫拾ってそう”感を引き出す!!」


「おー」


「どぉ?にーにぃ……」


 ナツがにちゃぁという効果音がたちそうな笑い方をする。


「うーん、どれも良いな……」


 それぞれおしゃれのアピールする部分が違うのか。そういうのを加味したうえでちゃんとした服を選ばないと……うーん……。


「ありがとうナツ。でもごめん。やっぱり自分で決めることにするよ」


「え?どうして……」


 ナツが焦った顔をする。


「どんなにダサくても、一番僕らしい服装は僕が選んだ服だと思うから。多分」


「にーに……」


 ナツが不機嫌そうに頬を膨らませる。


「あーあ!ひーちゃんずるい!ナツもこんだけ気にしてもらいたいのにぃ!!」


 そしてベッドにダイブした。


「もういいもん!一人で寝る!」


「ごめんねナツ。今度機会があれば出かけよう」


「ふん!ナツしーらない!じゃあ来週の日曜日にスイーツフェスティバル行こ」


「おっけー。分かった」


 僕は自室に向かう。


 服は親が帰ってくるときにいっぱい買ってきてくれてるからな。幸いなことに種類はある。


 デートにぴったりな服、考えないと。

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