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バカツンデレと海

「「海だー!」」


 夏休み中旬。


 僕はひーちゃんと二人で海に来ていた。


 海と言えば水着。僕はひーちゃんの水着を少なからず期待していたわけだが……


 ちらっとひーちゃんの方を見る。


「な、なによ」


 ひーちゃんは水着の上にラッシュガードを着るタイプだった。


 ガード固いな……まぁでもひーちゃんの水着が他人に見られるのも複雑だしいいか。


「海に来たのはいいものの何しようかしらね。私たち泳げないじゃない?」


「そうだよなー。お互い運動神経カスだし」


 まぁ、ちゃんとしたプランはあるけど。


「とりあえず出店でも回ろうよ。このビーチ広いし、歩くだけでも……」


「お?ヒナタにひーちゃん?」


 目が合った。


「よっすー。夫婦じゃーん」


「来てんだ」


 声のした方向に居たのは、ヤマダ、マキダ、ウエモトの男子三人。


 なんかヤマダは顔が死んでいる。


 そして、


「あらぁ。お二人さん来てたのねぇん」


「ひーちゃん今日も可愛いわぁん」


「うっふぅ~ん」


 シミズさん、ハシモトさん、イシガミさんのギャル集団。


 うちのクラスのギャルは見た目とかはちゃんとギャルギャルしてるのに発言のギャル解像度が低いんだよなぁ……。


「うふふ……」


 シミズさんが胸を揺らす。


 それを真顔でひーちゃんが眺めていた。


「せっかくだし一緒に遊ぼうぜ。俺死ぬほど遊び道具持ってきてるからよ」


 ヤマダが死んだ顔で言う。どうしたんだお前。


 今日はひーちゃんとサイレントデートの予定だったんだけど……。


 その時、マキダが僕の肩を組んできた。


「ほら、あいつカラスマさんに振られただろ?傷心中だからギャル三人と遊びのセッティングしてやったんだよ。デートなのは分かるけど、盛り上げるために……頼む!」


 そして小声で僕にそう伝える。


「今後モテるテク教えてくれよな」


「うし!任せろ!」


 マキダが親指を立てる。


「ねぇ、一緒に遊びましょぉ~ン」


「うっふぅ~ん」


 ギャルに囲まれるひーちゃん。


「助けてー」


 まぁ最後に二人で遊べばいいしな。


 かくして、僕たちは海で遊ぶこととなった。




「海、さいこぉぉぉおおお!!!」


 ヤマダが叫ぶ。


「女しかいねぇぜえええ!!」


 ヤマダが首がもげるほどの速度で周囲を見渡す。


 女しかいない訳じゃなくてお前の視線が女に誘導されてるだけな。


「うふふ……ヤマダくん元気になってよかったわぁん」


 シミズさんがビーチボールを手に笑う。


「はぁい!!!」


 瞬間、ヤマダの顔面にビーチボールがえぐい勢いで当たった。


「ヤマダぁぁぁぁ!!!」


 ヤマダはその場に崩れ落ちる。


「手加減は、しないからねぇん……」


 シミズさんがうすら笑いを浮かべる。


「サクラはバレー部だからボール持つと性格変わっちゃうのよぉん。死なないように気を付けてねぇん」


 そんなヤンキーとハンドルみたいな……


 だが、シミズサクラならあり得る……バレーの全国大会で対戦相手全員の顔面にボールをクリーンヒットさせて相手側が棄権となり強制勝利をしたエピソードは実に有名……!


「へぇ、やってやろうじゃねぇの……」


 その時立ち上がったのは同じくバレー部ウエモト。


 ボールの軌道計算の天才で一試合中、レシーブのみで二十三点を取って勝利したバレー界の鬼才……!


「あらぁ。一回はやってみたかったのよ、”軌跡”のウエモトくん……」


「やってやんよ。”殺し屋”シミズ……」


 二つ名あるの?かっこよ。いいなー。


 僕も二つ名ほしー。


 シミズさんは少し走り、ボールを上にあげる。


 ジャンプサーブ……本気だな。


「死ね。」


 シミズさんが小さくつぶやく。


 パァン!!!


 ビーチボールが……割れた!?


 え!?うそ!?そんなことあんの!?


「脆いわねぇん……」


「次に持ち越し……だな」


 シミズさんとウエモトが拳を合わせる。


「ボールもぶっ壊れたしみんなでおよごーぜ」


 マキダの提案で全員が海に潜っていく。


 死にかけヤマダも吸い込まれるように海に向かっていった。


 しかし、ひーちゃんは砂浜から動かない。


「浅瀬なら大丈夫じゃない?」


 僕がひーちゃんに言う。


 しかし、ひーちゃんは


「乙女ってのは濡れたくないのよ。そのくらい気付きなさい、ばか」


 と言ってその場から動かない。


 乙女ってそうなの……?初めて知ったんだけど。


 でもまぁ濡れたくない、ね。じゃあちょうどいいか。


「あっち行こ」


 僕は磯の方を指さす。


「え?まぁいいけど……」


 僕は荷物を取り、磯まで移動した。


「へー。こんなところあったんだ」


 ひーちゃんが辺りを見渡しながら言う。


「みんな砂浜しか興味ないからね。実質穴場みたいなもんだよ」


 そして、僕は磯の水たまりを指さす。


「見て、魚とかエビとかいっぱいいる」


「おー……」


「はい、これ」


 僕はひーちゃんに小さい網と水槽を手渡した。


 そして小さい水槽に海水を入れる。


「海って泳ぐだけじゃないんだよねー」


 僕はもう一個の網で魚を一匹掬い、水槽の中に居れた。


「海と言えば魚でしょ」


 まぁ、何の魚か分かんないけど。


「なるほど……より大きいのをとれた方が勝利と?」


 ひーちゃんが僕を見つめる。


「よく分かってんじゃん……!」


「負けた方罰ゲームだから」


「おっけー。制限時間は大体十分ね」


 僕たちは早速磯の生き物を探す。


 十分後。


「僕の勝ちだね」


「なんでクソデカいカニがいるのよ……」


 僕が手にしているのは、三十センチはあるカニ。


「何の種類なんだろうね」


「少なくとも浅瀬に居るタイプじゃないでしょうね……」


 よし、僕の勝ちだな。


 罰ゲームかぁ……そういえば、内容考えてなかったな。


 どうしようか……あ。


「水着、見してよ」


 ひーちゃんが表情を失う。


 やば。ミスったか?


「あ。まぁ別に強制っていうわけじゃないし別のことでも全然……」


 ひーちゃんは近くにある大きな岩を指さす。


「あっちでなら、いいよ……」


 そして、岩の陰に隠れるように立った。


 ジィィィ……


 ひーちゃんがラッシュガードのジッパーを下ろす。


「私、ビキニとか着れないから……」


 ワンピースタイプの水着。


「かわいー……」


 思わず声が漏れる。


「なんでわざわざラッシュガード着てんの?」


 僕が聞くと、ひーちゃんは


 ジッ!!


 と勢いよくジッパーを上げる。


「恥ずかしいじゃない。水着なんて。普通に下着みたいなもんよ?あと……」


 ひーちゃんが砂浜の方へ歩き出す。


「あんた以外に、見せたくないのよ……ばか」


「ひーちゃん、それって……」


「あーお腹すいたなー!どっかのバカが気を使ってご飯買ってくれないかなー!」


 ひーちゃんが大声で叫ぶ。


「はいはい。じゃああいつらの分も適当に買うから、持つの手伝ってね」


 ひーちゃんの水着。


 僕だけ、か。


 ふふふ……。




「おっ。サンキューな」


 マキダたちに食事と飲み物を渡す。


「後でお金渡すわねぇん」


「うっふぅ~ん」


 僕たちはビーチパラソルまで移動し食事をとる。


「そろそろ帰るか―」


 マキダが立ち上がる。どうやらもう帰るようだ。


「僕たちはもう少し遊ぼうかな」


「そうか。じゃあ次は夏祭……いや、なんでもねぇ。じゃな」


 ウエモトが手を振る。


「お幸せにぃ~ン」


「うっふぅ~ん」


 ギャルたちも帰っていった。


「最後にちょっとだけ海で遊ばない?」


 食事を終え、僕たちは海まで歩く。


 僕は海に足を突っ込んだ。


「だからー。乙女は濡れるのを……」


 バシャ


 ひーちゃんに海水をかける。


「水も滴るいい女って言うじゃん?」


 僕はにやにや笑いながら言った。


「ふーん……いい度胸じゃないの……!」


 ひーちゃんも海に足を踏みいれた。




「いやー遊んだ遊んだ」


「さすがに疲れた……わ……ね……」


 すっかり夕方。


 電車に揺れながら、僕の肩に寄りかかって眠るひーちゃん。


 僕も、寝るか。


 ガタンゴトン


 ガタンゴトン


 ガタンゴトン


「次は~終点~終点~」


「あ」


 窓から見える景色は真っ暗。


 完全に、寝過ごした。

最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!


面白かったらぜひブックマーク、高評価をよろしくお願いします!


次話もお楽しみに!


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