ヤマダの恋①
「わりぃなヒナタ。わざわざ来てもらって……」
学生に優しいファミレス、シャイゼリア。
僕はヤマダから”相談がある”との連絡を受け、奢られに来ていた。
「全然いいぜ。奢りだしな」
僕はせっかくの機会ということで大量の商品を注文する。
「俺も高校生だからね……」
ヤマダが心配そうな目で僕を見る。
「で、相談って何だよ」
僕がヤマダに聞く。
「そのぉ、なんて言うか……お前なんかに相談するのは違うなぁって言うのは分かってるんだけど、でもお前ぐらいしか頼れるやつが居なくてぇ……」
「うじうじすんなら帰るぞー」
僕がハンバーグを食べる。
「俺、カラスマさんが好きなんだ!」
なるほど、恋バナか。
それにしても、カラスマさんね……
「僕関わりないぞ?」
クラスメイトだし、ひーちゃんと仲がいいから何回か喋ったことがあるが、カラスマさんのことをほとんど知らない。
なんかミステリアスな感じがするなーぐらいだ。
「いやいや、お前ぐらいなんだよ、カラスマさんと関わりあるの!チャラ男のマキダもオカマのウグイスに聞いても喋ったことすらないって……頼む!お前だけなんだ!」
「えぇ……」
そうなんだ。まぁ確かに無口な人だしな、カラスマさん。
クラス一のチャラ男のマキダが喋ったことがないっていうのは意外だが。あいつは次期イケメン四天王の座を狙っているという噂もあるしな。
まぁ、奢ってもらったし金の分は仕事するか。
「絶対食いきれない八段重ねのパンケーキ頼むわ」
「なんで……」
かくして、僕はヤマダの恋を手伝うこととなった。
自宅
手伝うとは言ってもなー。
別に僕はカラスマさんの連絡先を知っているわけでもないし、何かカラスマさんの情報も持ってないしなぁ。
そういえば、カラスマってどっかで聞いたことあるような……なんだっけな。
まぁいいや。何から考えるべきか……一番優先させることはヤマダとカラスマさんの距離を近づけることだよな。
普通に一番有効打なのは二人を直接喋らせることか。
ひーちゃんならカラスマさんの連絡先を知ってるはずだし、適当に二人をファミレスに集めて喋らせよう。
それならあんま上手くいかなくっても僕に責任は一切ない!
よし!!
僕はひーちゃんからカラスマさんの連絡先をもらい、カラスマさんに一報入れてからヤマダにカラスマさんの連絡先を渡した。
数時間後
「で、なに???」
「すみませんヒナタさん……メッセージ内容のご教授を……」
目の前のスマホの画面は、”カラスマカエデ”と表示されたトーク画面で止まっている。
カラスマさんから「よろしくね「と来て、「うん、よろしく」と返して終わり。
「はぁ……チッ」
「ごめんって!初めてなんだよ好きな人とLIME交換すんの!」
「今まではどうしてたんだよ……」
「え?普通になんもできずに自然と……」
えぇ……マジかこいつ……。
野球部で坊主の癖に意気地なしなのかよ。
「ヒナタは良いよなー。ひーちゃんとずっと一緒なんだろ?」
「まぁな。まだ付き合ってないけど」
僕の発言を受け、ヤマダは手を止める。
「え?付き合ってないの?」
「うん」
「マジかよお前、あれで付き合ってないのかよ……」
ヤマダがドン引きする。
付き合ってるように見えてるのか、僕たちは。
まぁでもそうか、じゃないと夫婦なんて呼ばれないよな。
でもこの前告白したら気絶しちゃったしな。僕ももっと自分をアピールできればいいんだけど。
「じゃあさ、ちょっとひーちゃんとお前のやり取りの内容見せてくれよ。なんか活路が見いだせるかも……」
「まぁいいよ」
僕はスマホを渡す。
「えーっと……「りょ」「おけ」「うい」「りょ」「へー」「なるほ」……」
「お前カスだな」
「純粋な暴言……」
そこまで直球で言う?
「よくよく考えたら俺とのやりとりもこんな感じだよな。相槌ボットって裏で呼んでるの忘れてたわ」
え?僕裏で相槌ボットって呼ばれてんの?初めて知ったんだけど。
うそん……
「一緒に考えようぜ。どうすれば魅力的なメッセージを送れるか」
僕は自分のメッセージを見返す。
無機質な、相槌だけのメッセージを。
えぇ……裏で相槌ボットって呼ばれてんの?仕方ないことだけど……。
ためしに、返信がクソ早いことで有名なマキダにメッセージを送ってみることにするか。
パシャ
僕はヤマダの写真を撮り、それをメッセージに張り付ける。
よお
今ヤマダと飯食ってる
ごめんスクショしてクラスLIMEに貼るわ
話はあとで聞く
そして、通知がしばらく鳴りやまなかった。主に男子が盛り上がっている。
話の結論はヤマダがスマホを操っているということに収着し、今度は自分で喋れと言われる始末。
「そうだな……僕もちょっと危機感覚えた」
「な?こうなんだよ、お前も」
「俺も対面なら喋れるからなー。恋愛テクえぐいし、俺。なんかメッセージに強くなる方法があれば……」
「やぁ、ヒナタくんにヤマダくん」
その場に、カラスマさんが現れた。
「カラスマさん……」
ヤマダが顔を赤くする。
マジか。まさかの本人降臨……。
ヤマダはフリーズしたな。なにが対面なら喋れるだ。
「ヤマダくん、詰めてもらっていい?」
「は、はひぃいぃ」
ヤマダが壁とキスするぐらいの距離まで近付く。
ヤマダの隣にカラスマさんが座った。
よし、願ったりかなったりのチャンスだ!
見してやれヤマダ!お前の恋愛テクニックを!
最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!
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次話もお楽しみに!




