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バカツンデレとプール

 数学の授業中。


「なぁ、憂鬱だな」


 隣の席のヤマダが話しかけてくる。


「どうしてだ?」


 普通に授業中なのに話しかけてくる頭のおかしさをスルーしヤマダに聞く。


「今年、プールの授業一回だぜ?例年より寒いせいで、プールの授業は全削除……で、今日の一回。一回だけなんだ……」


「まぁ、そうだな……でも男女別だしそこまで執着するもんじゃ……」


 ヤマダが僕の肩を掴む。


 授業中だって。


「お前、足りてねぇよ。頭」

「女子の中に、居るはずだ。制服の下がスク水の女子が」


「!!!」


 まさか……そんなことが……。


 気付けなかった。確実に盲点だ。


「坊主の癖にやるじゃねぇか……!」


「あぁ、気付いたか。制服の下に着るものは下着よりスク水のが”なんかいい”……!」


 ヤマダが笑う。


「プールの授業は三限。それを越えたら女子たちは普段の下着に戻る。その前にどうにかして……」


「下に着てるのがスク水かどうか判断する……だろ?」


 分かってるぜ、ヤマダ。


「俺はこのクラスのほぼ全員の女子を嗅ぎまわる。だからお前は……ひーちゃんが”どっちか”を調べてくれ。……あぁ、ひとつ言っとくと、その情報は俺に共有しなくていい。お前だけの”ヒミツ”だ」


「ヤマダ……お前……」


「健闘を祈るぜ。ヒナタ」


 僕とヤマダは拳を合わせる。


「お前ら何やってんだー」


 先生にバレた。


 だが、問題はない。


 こっからは僕とひーちゃんの心理戦だ……!




「なぁひーちゃん。今日はプールだな」


「ん?そうだなー……」


 一限休み。


 ひーちゃんはいつものように僕の机まで来ているが、やけにテンションが低い。


 そういえば朝もなんか乗り気じゃなかったな……どうしてだ?


「プールやだぁ……」


 その場に縮こまるひーちゃん。


 こんだけ弱ってるひーちゃん久しぶりだな。


「どうしたのひーちゃん」


「だって、プールってあれじゃん……その……あれじゃん……」


 ひーちゃんがため息を吐く。


 そっか、ひーちゃんは運動神経がカス……全然泳げないのを危惧してるんだな。


 別に運動神経が悪いことなんてそんな恥ずかしがることじゃないと思うけど……


「あれを見て」


 ひーちゃんが三人で集まってる女子を指さす。


「サクラおっぱいおっきいね~。プールの時どうなっちゃうの~?」


「そんなことないよぉ~。まだⅠカップだしぃ~」


「うっふぅ~ん」


 あっ、なるほど。そういう……


「どうせ私はダメなんだぁ……うぅ……」


「いや、まぁ……そんなことねぇよ……その……良いところだって……へへっ」


 フォローできなかった。


「あぁぁぁぁ……」


 地面にのめりこむひーちゃん。


「”将来性”だよ」


 その時、クラスの女子で、ひーちゃんと身長がほぼ同じ女子、サトナカさんが言った。


「安心して。私はひーちゃんの体を貧層だとは思わないし、むしろ夢と希望がたくさん詰まっていると思う」


 サトナカさんがひーちゃんを励ます。


「ナユちゃん……!」


 ひーちゃんが希望に満ちた顔でサトナカさんを見あげる。


 そして、サトナカさんに抱き着いた。


「やっぱそうだわよね!おかしいと思った!こいつ全然フォローしないんだもの!こいつが酷いだけだわよね!」


 僕を指さして糾弾するひーちゃん。


「そうだよ。ヒナタくんさいてー」


 サトナカさんがひーちゃんの頭を撫でながら言う。


「いやそういうセンシティブな話題に突っ込む方が……」


 むにゅ


 その時、ひーちゃんの顔が真顔になった。


「ちょっと、ナユちゃん。トイレ行こっか」


「え?うん、いいよ」


 ひーちゃんがサトナカさんを引き連れてトイレに行く。


 数分後、ひーちゃんは泣きながら帰ってきた。


「うわああああん!!騙されたあああ!!!」


 そして僕の席で泣き崩れる。


「ど、どうしたんだよひーちゃん……」


「あっ、あのね、あのね。ナユちゃんはねサラシしてるだけで、実は……」

「J、あったの……」


「J……?」


 ABCDEFGHIJ……J!?


 ひーちゃんと同じぐらいの身長であるサトナカさん。つまり……え?


「それって人間なのか……?」


「ひどいなぁヒナタくん。別に普通だよ」


 サトナカさんがやってくる。


「普通ではないと思うよ……?」


「もういい!私ナユちゃんのこと信じないから!」


 ひーちゃんが泣きながら自分の席に逃げ帰る。


「わたしそんなにおっきくないのに……ねぇ?ヒナタくん」


「いや、まぁ……はは……」


 知らんけど。見てないし。


「どうする?ひーちゃんじゃ知れない快感コト、知っちゃう……?」


 サトナカさんが僕にこそっと耳打ちする。


「いや、そういうのはちょっと……」


「だめーー!!!」


 その時、ひーちゃんが飛んできた。


「はぁ、はぁ、はぁ……ナユちゃん!ダメだよ、こいつは!」


 ひーちゃんが僕とサトナカさんの間に立つ。


「こいつ、バカだしクズだし……それに、こう見えて……む、むっつりだから……最後まで美味しくいただかれちゃうよ!」


「むっつりじゃねぇよ」


「そうだ!こいつはむっつりじゃねぇ!ただのドスケベだ!」


 ヤマダが僕の後ろから加勢した。


 ……あぁちげぇわよく聞いたら加勢じゃねぇわ。


「お前は黙っとけ坊主が……」


 僕はヤマダに関節技を決める。


「待ってくれ!お前どこでその技をなんで野球部の俺に勝てるのあっ♡痛い♡らめぇっ♡痛いからぁっ♡」


 ひーちゃんはサトナカさんに近づく。


「そ、それに……」

『あいつは、私のだから……』


 ひーちゃんが小声で何か言ったが、聞こえなかった。


「ふーん……じゃあ、早くした方がいいよ。ひーちゃん」


 サトナカさんがひーちゃんに笑いかける。


「分かってるわよ、そんなの……」


 何の会話があったんだ……まぁいいか。


「はーいみんな!じゅぎょおをはぢめるぞー!」


 その時、国語の先生が入ってきた。


「はっ。命拾いしたな、ヤマダ」


「今後は貴方様の株を下げる発言は控えさせていただきます……」


 席へ帰っていくひーちゃん。


 その時、ひーちゃんの背中がいつもより少し黒いことに気が付いた。


 あぁ……。


 天気は快晴。雀が二匹木の枝にとまり、夏だというのに肌を寄せ合っている。


 良い日だ。




 プールの授業中


「ナユちゃんでっか!」


「化け物だ……恐ろしい……」


「普通だよぉ」


「裏切られた裏切られた裏切られた……」


 サトナカナユのおかげでひーちゃんはその体を衆目に晒さずに済んだという。

最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!


面白かったらぜひブックマーク、高評価をよろしくお願いします!


次話もお楽しみに!


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