表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空間欠損の魔法師  作者: 猫宮みけ
第二章 深層拒絶編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/60

第二章 第53話 ──空間の揺らぎ──

第二章 53話 ──空間の揺らぎ──


喫茶店「ルミエール」の空気は、

さっきまでの戦闘の余韻をまだ引きずっていた。


ミリア

「……篠原さん。

 深層の反応が、さっきより強くなっています。」


胸の奥が熱い。

魔力ではない、もっと深いところがざわつく。


玲奈

「悠斗、大丈夫……?」


紗月

「無理してる顔してるよ。ほら、座って。」


二人の声が遠く聞こえる。


(……なんだ、この感覚……

 呼ばれてる……?)


その瞬間――


――空間が、揺れた。


店内の空気が波紋のように歪み、

テーブルの上に“光の裂け目”が走る。


紗月

「……来たね。」


驚きはない。

ただ、覚悟を決めたような声。


玲奈

「……父さん。」


ミリアはすぐに俺の前に立つ。

だが、攻撃の気配はない。


玲奈が小さく呟く。


「《空間投影》……」


その名を合図にしたかのように、

空間の裂け目が光を帯び、

人影がゆっくりと形を成していく。


実体ではない。

だが、圧倒的な存在感を持つ“顕現体”。


「初めまして。

 私は御門家当主――御門 宗一郎。」


俺は息を呑んだ。


(……これが……御門家の当主……?)


宗一郎の視線が、まっすぐ俺に向けられる。


宗一郎

「篠原悠斗くん。

 まずは謝罪しよう。

 我々の者が無礼を働いた。」


ミリアは一歩前に出る。

その瞳は鋭く、しかし冷静だった。


ミリア

「……謝罪の言葉だけで済む話ではありませんが。」


宗一郎

「もちろんだ。

 だがまずは礼を尽くしたかった。」


俺は息を整え、宗一郎を見据えた。


悠斗

「……謝罪は、受け取ります。」


ミリアは横目で俺を見る。


ミリア

「……あなたがそう判断するなら。」


宗一郎

「感謝する。」


宗一郎は視線を玲奈へ向けた。


宗一郎

「玲奈。

 無事で何よりだ。」


玲奈はわずかに姿勢を正した。

御門家の娘としての礼節が自然と滲み出る。


玲奈

「……父さん。」


宗一郎

「御門家の娘が深層接触者のそばにいる。

 これは非常に価値がある。」


玲奈の瞳がわずかに揺れる。

だが、声は静かだった。


玲奈

「私は……自分の意思でここにいるよ。」


宗一郎

「知っている。

 だが結果として、

 “御門家の血”が深層の近くにある。

 これは御門家にとって好都合だ。」


紗月

「……相変わらずだね、御門家は。」


宗一郎は再び俺に向き直った。


---


■ 宗一郎が提示する“交渉内容”


宗一郎

「篠原悠斗くん。

 私は今日、三つの提案を持ってきた。」


ミリアがわずかに目を細める。


宗一郎

「一つ目。

 御門家の庇護。

 君と君の家族、そして君の周囲の者を守る。

 他家・他国の干渉はすべて排除しよう。」


紗月

「……庇護、ね。

 まあ、悪い話じゃないけど。」


宗一郎

「二つ目。

 深層反応の制御。

 君の中の“揺らぎ”は、いずれ暴走する。

 御門家には、それを抑える手段がある。」


ミリア

「……制御方法の詳細は?」


宗一郎

「今は言えない。

 だが、御門家の切り札を使う。」


玲奈が一瞬だけ息を呑んだ。

しかし何も言わない。


宗一郎

「そして三つ目。

 対価として、宗谷沖の“戦略級魔法師”をどうにかしてほしい。」


店内の空気が一気に重くなる。


ミリア

「……戦略級魔法師を?」


紗月

「いやいやいや……無理でしょ……」


宗一郎

「我々では手が出せない。

 だが――深層に選ばれた君なら可能だ。」


胸の奥がまた熱くなる。


(……呼ばれてる……

 宗谷沖の“何か”に……)


宗一郎

「以上が、御門家の交渉内容だ。」


---


宗一郎

「篠原悠斗くん。

 君が望むなら、

 御門家は協力を惜しまない。」


ミリアが俺の肩に手を置いた。


ミリア

「篠原さん。

 決めるのはあなたです。」


宗一郎

「返答は急がない。

 ただ――

 “深層は待ってはくれない”。」


空間が再び揺れ、

宗一郎の投影が消えていく。


残された静寂の中で、

玲奈は小さく息を吐いた。


玲奈

「……悠斗。

 私は、家のためじゃなくて……

 あなたが友達だからここにいるの。」


俺は胸の奥の熱を押さえながら、

ただ呟いた。


悠斗

「……巻き込まれてるのは……

 俺だけじゃないんだな。」


ミリア

「篠原さん。

 あなたはもう“深層の中心”にいます。」


その言葉が、

妙に現実味を帯びて胸に刺さった。


---


1日1善1日1投稿♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ