第二章 第52話 ──方針転換──
第二章 52話 ──方針転換──
■ 御門家本邸・地下会議室
重厚な扉が閉じられ、
空気が張り詰める。
長い机の最奥に座るのは、
御門家当主・御門 宗一郎。
その前に、影衛隊長カゲロウが膝をついていた。
宗一郎
「……報告を。」
カゲロウ
「深層接触者・篠原悠斗の確保……失敗しました。」
会議室がざわつく。
幹部A
「影衛が……失敗……?」
幹部B
「相手は誰だ。軍か? 他国の魔法師か?」
カゲロウは静かに首を振る。
カゲロウ
「“店員”を名乗る女性です。
ただし、一般人ではありません。」
宗一郎
「……詳細を。」
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■ 正体不明の女性魔法師
カゲロウ
「術式体系は国内のものではありません。
影術を無効化し、
速度を奪い、
攻撃を拒絶する……
“概念操作”に近い力を使っていました。」
幹部A
「概念……?
そんな魔法体系、聞いたことがない。」
幹部B
「深層系か?」
カゲロウ
「違います。
深層の波動は一切感じませんでした。」
宗一郎
「……国外の魔法師か。」
幹部たちが息を呑む。
宗一郎
「その女性の名は?」
カゲロウ
「名乗りませんでした。
篠原悠斗の“護衛”として行動していました。」
宗一郎
「……なるほど。」
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■ 篠原悠斗の“異変”
宗一郎
「篠原悠斗の状態は?」
カゲロウ
「……戦闘中、
彼の魔力の奥に“別の反応”を感じました。」
幹部A
「深層の反応か?」
カゲロウ
「断定はできません。
ただ――
“何かが目覚めかけている”のは確かです。」
宗一郎の表情がわずかに動く。
宗一郎
「……宗谷沖の遺跡が動き始めた時期と一致するな。」
幹部B
「では、篠原悠斗は……
“遺跡と繋がっている”可能性が……?」
宗一郎
「可能性ではない。
“事実”だ。」
会議室が静まり返る。
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■ 宗一郎の判断
宗一郎はゆっくりと立ち上がった。
宗一郎
「影衛の失敗は問題ではない。」
幹部A
「しかし――」
宗一郎
「問題は、
“深層接触者を敵に回す危険性”だ。」
幹部たち
「……!」
宗一郎
「深層が動き始めている。
その中心にいるのが篠原悠斗だ。
力で押さえつければ、
深層そのものを敵に回す可能性がある。」
幹部B
「では……どうするのですか?」
宗一郎は迷いなく言った。
宗一郎
「――交渉する。」
会議室がざわつく。
幹部A
「交渉……!?
深層接触者と……?」
宗一郎
「そうだ。
御門家は敵ではないと示し、
“味方”として迎え入れる。」
カゲロウ
「……確保ではなく、取り込み……」
宗一郎
「深層接触者を味方にできれば、
深層の主導権は我々のものだ。」
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■ 正体不明の女性魔法師への対応
幹部B
「では、あの女性魔法師はどうしますか?
影衛隊長が敵わない相手を……」
宗一郎
「敵に回す必要はない。」
幹部たち
「……!」
宗一郎
「彼女は深層とは無関係。
篠原悠斗を守っている理由も不明だが、
敵意はない。
ならば――
“交渉の相手”にもなり得る。」
カゲロウ
「……確かに、
彼女は我々を排除する気はありませんでした。」
宗一郎
「ならば、
御門家も彼女を敵に回す必要はない。」
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■ 空間系統の名家らしい“交渉手段”
宗一郎
「影衛は、
篠原悠斗に直接接触するな。」
幹部A
「では、どうやって……?」
宗一郎
「空間通信を使う。」
幹部たち
「空間通信……!」
宗一郎
「篠原悠斗の近くに“空間投影”を送り、
私が直接話す。」
カゲロウ
「……安全な距離から、
当主が直接……」
宗一郎
「深層接触者に対しては、
それが最も効果的だ。」
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■ 当主の命令
宗一郎
「影衛は周囲の監視に徹しろ。
追い詰めるな。
あの女性魔法師を刺激するな。
ただし――
“逃がすな”。」
カゲロウ
「……御意。」
宗一郎
「交渉の場は、
私が作る。」
宗一郎の瞳が鋭く光った。
宗一郎
「――深層接触者・篠原悠斗を、
御門家の味方にする。」
影衛隊長は深く頭を下げた。
カゲロウ
「必ず、道を開きます。」
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