第二章 第44話 ──足跡──
第二章 44話 ──足跡──
■ 市街地・深夜
影衛隊長・カゲロウは、
人気のない路地にしゃがみ込み、
アスファルトに触れた。
カゲロウ
「……ここを通った。」
彼女の指先に、
淡い“痕跡”が触れる。
魔力ではない。
しかし、
“深層の気配”が微かに残っていた。
カゲロウ
「少年……
あなたは、どれほど深く触れたのですか。」
影衛の副隊員が近づく。
副隊員
「隊長。
監視カメラの死角が、この通りに集中しています。
誰かが意図的に“隠している”可能性が。」
カゲロウ
「軍の術式ではない。
御門家の術でもない。
……ならば、第三者。」
副隊員
「第三者……?」
カゲロウ
「深層に触れた者を“覆う”存在。
正体は不明。」
カゲロウは立ち上がり、
夜空を見上げた。
カゲロウ
「だが、隠しきれてはいない。
痕跡は残る。」
影衛たちは音もなく散開した。
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■ 商店街・早朝
翌朝。
ゆうと達は変装を整え、
いつものように喫茶店へ向かっていた。
紗月
「なんか……今日、寒くない?」
玲奈
「気温は普通だよ?」
悠斗
「……気のせいじゃね?」
三人は気づかない。
彼らの背後の屋根の上で、
影衛の一人が静かに見下ろしていることに。
影衛
(……歩き方、体格、人数。
昨夜の痕跡と一致。)
影衛
(対象、発見。)
しかし、
次の瞬間――
影衛の視界が“ふっ”と揺らいだ。
影衛
「……っ」
まるで、
三人の輪郭だけが薄い霧に包まれたように、
焦点が合わない。
影衛
(……魔法ではない。
だが、視認が阻害される……)
影衛は息を整え、
再び視線を向ける。
今度は見える。
影衛
(……隠蔽は“完全”ではない。
追える。)
影衛は屋根から飛び降り、
距離を保ちながら尾行を開始した。
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■ 喫茶店「ルミエール」
ミリアは店の前を掃除していた。
ふと、
風の流れが変わる。
ミリア
(……来た。)
ミリアは振り返らない。
ただ、
店のガラス越しに映る“影”を見た。
ミリア
(気配が鋭い……
昨日の気配と同じ。)
ミリアは静かにほうきを置いた。
ミリア
「……困りましたね。」
その声は、
誰にも届かないほど小さかった。
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■ 喫茶店の中
ゆうと達は席に座り、
メニューを眺めていた。
悠斗
「今日、なんか人少なくね?」
玲奈
「平日だからじゃない?」
紗月
「でも……なんか、視線を感じるような……」
悠斗
「気のせいだろ。」
三人は笑い合う。
しかし、
ミリアだけは笑わなかった。
ミリア
(……影が近い。
このままでは、いずれ接触される。)
ミリアはカウンターの奥で、
そっと指先を動かした。
空気がわずかに揺れ、
店の輪郭が“薄く”なる。
ミリア
(……少しだけ、時間を稼ぎます。)
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■ 喫茶店の外
カゲロウは店の前に立ち、
目を細めた。
カゲロウ
「……まただ。」
店の存在が、
ほんのわずかに霞む。
魔法ではない。
術式の痕跡もない。
ただ、
“見えにくい”。
カゲロウ
「……面白い。」
カゲロウは静かに呟いた。
カゲロウ
「隠すなら、追うだけ。」
影衛の隊長は、
店の周囲を歩き始めた。
足跡は、
確実に近づいている。
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