第二章 第28話 ──覚醒──
第二章 28話 ──覚醒──
観測室の扉が開いた瞬間、
青白い光が二人を包んだ。
中央には――
拘束具に繋がれた悠斗。
紗月
「ユウトくん……!」
その声が響いた直後、
天井の警報灯が赤く点滅し始めた。
――ウウウウウウウッ!!
通路の奥から軍兵が駆け込んでくる。
軍兵
「侵入者だ! 手を上げろ!」
玲奈
「待って! 私たちは――」
軍兵
「黙れ! ここは立入禁止区域だ!」
銃口が向けられる。
その時、
観測装置の前にいた研究者たちが慌ててモニターを確認した。
研究者A
「……おい、数値が……上がってる……?」
研究者B
「深層観測中に外部刺激なんて……まずい……!」
研究者A
「静かにしろ!
深層は音や感情に反応するんだ!」
軍兵
「知らん! 侵入者を確保するのが先だ!」
研究者B
「だからダメだと言ってる!
拘束中に刺激したら――」
軍兵
「うるさい! こっちは警備だ!」
紗月は震える声で、
拘束された悠斗に手を伸ばした。
紗月
「ユウトくん……お願い……起きて……」
その瞬間、
モニターが警告音を鳴らす。
《深層反応:急上昇》
研究者A
「……っ!
外部刺激に反応してる……!」
研究者B
「拘束具の魔力抑制が……落ちてる……!」
軍兵
「……おい、拘束具が……動いてないか?」
「破られたら危険だ!
撃って止めろ!!」
玲奈
「やめて!!」
軍兵
「撃て!!」
銃口が一斉に火を噴いた。
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弾丸が飛ぶ。
だが悠斗の前に、
透明な“板状の欠損” が生まれた。
空気が歪んだようなその面に触れた瞬間、
弾丸は音もなく 消えた。
軍兵
「なっ……!?
弾が……消えた……!」
玲奈
「……空間が……欠けてる……!」
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悠斗の胸の奥で、
深層の霧が震えた。
(……もう……奪われない……)
拘束具の周囲の空間が 板状に欠損 し、
金属が耐えきれず破裂する。
ガンッ!!
悠斗はゆっくりと立ち上がった。
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軍魔法師
「魔法で止めろ!!」
「雷槍!!」
「氷刃!!」
「火弾!!」
三属性の魔法が同時に飛ぶ。
だが悠斗が軽く手を振ると、
魔法の軌道上に 魔法の幅より大きな“透明な面” が生まれた。
雷槍が触れた瞬間――
ボウッ……
光が吸い込まれるように消える。
氷刃も火弾も、
その面に触れた瞬間、
軌道を失って霧散した。
軍魔法師
「な……何だ……これは……!」
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悠斗は拳を握りしめた。
拳を軽く振りかぶる。
その動きだけで、
拳の周囲の空間に ピシッ……! とヒビが走る。
軍兵
「空間が……割れて……!」
悠斗が拳を叩きつける。
ドンッ!!!!
空間のヒビが一気に広がり、
そこから“衝撃波”が爆発した。
軍兵も魔法師もまとめて吹き飛ぶ。
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軍魔法師
「距離を取れ!!」
悠斗は手を銃の形に構えた。
指先が淡く光る。
悠斗
「……無駄だ」
ピシュッ……!
指先から一直線に、
細い“空間の欠損” が走った。
線状に空間が消え、
その線に触れたものはすべて“切断”される。
杖が途中から消え、
障壁が線状に裂ける。
軍魔法師
「な……何だ……この……!」
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観測室は静寂に包まれた。
悠斗はゆっくりと息を吐く。
空間の穴は閉じ、
ヒビも自然に修復される。
(……俺は……
もう……奪われない……)
その瞬間――
胸の奥で、
柔らかい女性の声 が微かに響いた。
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(……やっと、あなた自身で動けたのね……)
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声ではない。
耳で聞いたわけでもない。
ただ、
深層の奥から“静かに触れられた”ような感覚。
悠斗はわずかに目を細めた。
(……オルタ……)
紗月が震える声で近づく。
「ユウトくん……
本当に……ユウトくん……?」
悠斗は振り返り、
紗月の目をまっすぐ見た。
悠斗
「……紗月。
玲奈。
行こう。
ここには……もう、用はない」
二人は息を呑んだ。
紗月
「……ユウトくん……
強くなったね……」
悠斗は小さく頷いた。
(……まだ……始まったばかりだ……)
空間が静かに揺れた。
まるで、
深層の彼女が微笑んでいる ように。
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