第二章 第27話 ──潜入──
第二章 27話 ──潜入──
薄暗い通路に、
二人の足音だけが静かに響いていた。
白い壁。
青白い照明。
無機質な空気。
紗月は腕を抱えながら、
震える声で呟いた。
「……こんな場所……知らなかった……
軍に……こんな施設が……」
玲奈は前を見据えたまま答える。
「普通の軍人でも知らないよ。
“深層”を扱うための……
極秘施設だから」
紗月は唇を噛んだ。
「ユウトくん……
こんなところに閉じ込められて……」
玲奈は紗月の手を軽く握った。
「大丈夫。
まだ間に合う。
悠斗くんの魔力反応……まだ安定してる」
紗月は小さく頷いた。
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■ 施設内部の異様さ
通路の奥へ進むほど、
空気が重くなる。
玲奈は壁に手を当て、
魔力の流れを読む。
「……この施設、
魔力の流れが“逆流”してる……
深層観測装置が動いてる証拠」
紗月の顔が青ざめる。
「深層……
ユウトくん……またあれを……?」
玲奈は静かに頷いた。
「急ごう。
時間がない」
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■ 監視魔法の死角
玲奈は通路の角で立ち止まり、
目を閉じて魔力を探った。
「……この先に強い反応。
深層観測室はすぐそこ」
紗月
「本当に……?」
玲奈
「でも……監視魔法が張り巡らされてる。
普通に行けば、すぐに見つかる」
紗月
「どうすれば……?」
玲奈は指先で空中に魔力の線を描き、
通路の“死角”を示した。
「ここ。
監視魔法の重なりで感知が薄い場所。
ここを通れば……ギリギリ行ける」
紗月は息を呑む。
「玲奈ちゃん……すごい……」
玲奈は小さく笑った。
「悠斗くんのためなら、これくらい当然」
二人は息を潜め、
監視の隙間を縫うように進んだ。
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■ 深層観測室の前
重厚な金属扉が、
通路の突き当たりにそびえていた。
玲奈は扉に手を当て、
魔力の流れを読み取る。
「……ここだ。
この中に……悠斗くんがいる」
紗月は震える手で父のIDカードを取り出した。
「……行くね」
カードを差し込む。
――ピッ。
ロックが外れる。
紗月は息を呑んだ。
玲奈は深く息を吸い、
扉を押し開けた。
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扉が開いた瞬間、
青白い光が二人を包んだ。
中央には――
拘束具に繋がれた悠斗。
紗月は息を呑み、
思わず一歩踏み出した。
その瞬間。
――ウウウウウウウウッ!!
警報が鳴り響いた。
玲奈
「紗月、下がって!!」
紗月
「えっ……!?」
天井の赤いランプが点滅し、
通路の奥から軍兵が駆けてくる。
「侵入者を確認!
観測室前に急行しろ!!」
玲奈は紗月の腕を掴んで後ろへ引いた。
「紗月、隠れて!
ここからは……危ない!」
紗月は震えながらも、
悠斗から目を離さない。
軍兵たちが銃を構え、
二人を取り囲んだ。
「動くな!!
その場で手を上げろ!!」
玲奈は歯を食いしばる。
(……間に合わなかった……
でも……まだ……)
紗月は涙をこぼしながら叫んだ。
「ユウトくん!!!」
その声が――
拘束された悠斗の胸の奥に届いた。
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