第19話後編 ──奪取──
第19話後編 ──奪取──
黒い霧がゆうとの足元を飲み込んだ瞬間――
玲奈は反射的に動いた。
「……どきなさい」
その声は低く、冷たく、
観測課で見せる穏やかさとは別物だった。
袖の歪みが揺れ、
玲奈の魔力が一気に膨れ上がる。
空間が“鳴った”。
敵の影がわずかに後退する。
「反応が早いな。
だが、間に合わん」
玲奈
「間に合わせるわ」
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■ 玲奈の“空間固定術式”
玲奈が指を鳴らす。
空間が“固まった”。
黒い霧の動きが一瞬止まる。
御影
「……空間固定……!?
玲奈、本気でやってる……!」
玲奈は霧の中心に向けて手を伸ばす。
「篠原くんを返しなさい」
敵の影が薄く笑う。
「空間固定か。
悪くない。
だが――」
霧が“形”を変えた。
固定された空間の“隙間”を縫うように、
細い糸状の霧が玲奈の腕に絡みつく。
玲奈
「……っ!」
敵
「我々の霧は、空間干渉を“喰う”。
君の術式は、相性が悪い」
霧が玲奈の魔力を吸い取り、
腕に重さがのしかかる。
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■ 玲奈の“空間切断”
玲奈は歯を食いしばり、
腕を振る。
空間が“裂けた”。
黒い霧が切断され、
一瞬だけゆうとの身体が見える。
オルタ
『ゆーと!!』
ゆうと
(……玲奈さん……!)
だが――
敵の影が指を弾く。
「甘い」
切断された霧が“逆流”し、
裂け目を押し戻す。
玲奈
「……っ!?
空間切断を……押し返した……?」
御影
「そんな……
空間切断を逆流させるなんて……
国内の技術じゃ不可能よ……!」
敵
「破綻波形の模倣は、
空間干渉を“喰い潰す”。
君の術式は、我々には届かない」
玲奈の額に汗が滲む。
(……この霧……
私の魔力を“喰って”いる……)
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■ 玲奈、怒りを露わにする
玲奈は深く息を吸い、
敵に向い怒鳴った。
「……あなたたち、
篠原くんを“兵器”として扱うつもりね」
敵
「当然だ。
破綻は国家級の資源。
少年の意思など関係ない」
玲奈の瞳が揺れた。
「……許さない」
空気が震える。
御影
「玲奈!!
それ以上は危険よ!!
あなたの魔力は――」
玲奈
「関係ないわ」
玲奈の魔力が爆発する。
空間が“多層化”した。
- 固定
- 反転
- 切断
- 圧縮
四つの空間術式が同時に展開される。
紗月
「れ、玲奈ちゃん……!?
そんな同時展開……!」
久遠
「……あれが本気の玲奈か……」
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■ だが、敵はそれを“上回る”
敵の影は一歩も動かない。
「見事だ。
だが――遅い」
霧が一斉に形を変え、
玲奈の術式を“喰い破る”。
空間固定は崩れ、
空間反転は吸収され、
空間切断は逆流し、
空間圧縮は霧に溶けた。
玲奈
「……っ……!?」
敵
「破綻波形の模倣は、
空間干渉を“喰う”。
君の術式は、我々の餌にすぎん」
玲奈は歯を食いしばる。
(……届かない……?
私の魔法が……?)
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■ ゆうと、沈む
霧がゆうとの身体を完全に包む。
オルタ
『ゆーと!!
意識を保って!!』
ゆうと
(……玲奈さん……
ごめん……)
敵
「対象、確保。
撤収する」
霧が地面に沈み込む。
玲奈が叫ぶ。
「篠原くん!!
行かないで!!」
彼女の手は、
霧の縁に触れた。
だが――
霧は破綻波形を模倣している。
玲奈の魔力は、
霧に触れた瞬間に“喰われた”。
玲奈
「……っ……!!」
霧は完全に消えた。
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■ 残されたのは、沈黙
久遠
「……奪われた……」
御影
「結界は……正常のまま……
どうやって……?」
紗月
「ゆーとくん……
ゆーとくん……!」
玲奈は拳を握りしめ、
震える声で呟いた。
「……必ず……取り戻す。
あなたたちが何者でも……
どんな技術を持っていても……
絶対に」
その瞳には、
これまで見せたことのない“怒り”が宿っていた。
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──こうして、篠原悠斗はヴェルスに拉致された。
第一章、完。
第一章、完結となります。
まさか主人公がお姫様役だったとは……!
作者自身も驚く展開となりました。
明日からは21時更新です
このまま第二章も執筆していきますので、引き続き応援いただけると嬉しいです。




