第10話 ──接触──
『空間欠損の魔法師』
第10話 ──接触──
訓練場に警報が鳴り響いた。
赤いランプが点滅し、空気が一気に張り詰める。
教師が端末を確認し、険しい声で告げた。
「……無許可魔法師の反応が十数名。
距離は学園外周からすぐ近くだ」
紗月が端末を覗き込みながら言う。
「魔力量は全部低いよ。
でも……動きが速い。
逃げながら撃ってる感じ」
玲奈が眉をひそめる。
「未熟な魔法師の集団……?」
教師が声を張り上げた。
「全員、待機!
外部任務前だ、勝手に動くな!」
だが――
訓練場の扉が、
外側から勢いよく開いた。
バンッ!
フードを被った十数名の青年が、息を荒げて飛び込んでくる。
その手には、すでに《魔力弾》の魔法陣が展開されていた。
「撃てっ!」
十数発の魔力弾が一斉に飛ぶ。
玲奈は即座に防御式を展開する。
「《防壁》!」
バンッ! バンッ! バンッ!
何発も弾く。
だが――
「っ……!」
死角から飛んだ魔力弾が肩をかすめた。
紗月が叫ぶ。
「玲奈ちゃん、左も来てる!」
玲奈は身をひねるが、
数が多すぎて防ぎきれない。
青年たちはさらに魔法を構える。
動きは拙い。
だが、数だけは揃っている。
「もう一発だ!」
「止めろよ……捕まったら終わりだ……!」
焦りと混乱が混ざった声。
敵意よりも、追い詰められた必死さが強い。
玲奈は歯を食いしばる。
「……紗月、援護を!」
「うん!」
紗月が補助式を展開しようとするが、
十数人の乱射がそれを阻む。
「くっ……!」
教師が叫ぶ。
「玲奈、紗月!
下がれ!
数で押されるぞ!」
だが十数発の魔力弾が再び構えられ――
紗月が悲鳴を上げる。
「来るよっ!」
悠斗の胸の奥が跳ねた。
『ゆーと!
玲奈ちゃん、あれ以上は危ない!』
「……俺が……!」
悠斗は前に出た。
十数発の魔力弾が、
悠斗の目の前に迫った瞬間――
光がほどけた。
音も衝撃もなく、
魔力弾は空中で“霧のように”消えた。
紗月が息を呑む。
「……え……?
今の……霧みたいに……消えた……?」
玲奈も目を見開く。
「防御式じゃない……
魔力が……壊れた……?」
青年たちは後ずさる。
「な、なんだよ……今の……
当たる前に……消えた……?」
悠斗はただ立ち尽くす。
(……俺、何も……してないのに……?)
青年たちは動揺しながらも、再び魔法を構える。
「くそ……もう一発……!」
『ゆーと、気をつけて!
でも……いける!』
悠斗は拳を握り、一歩踏み出した。
初めての戦闘が始まる。
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