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天界を追放されし悪役神姫、下界の歌姫となって成り上がります!!  作者: 坂田 燐


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7/12

天より舞い降りし歌姫

[・・・母上・・・。」


「もう泣かないで・・・。」


まだ泣き止まぬククリを宥めながら、僕は前の神を見上げる。


「・・・。私をみるな。」


何故か、コノハさんは睨みつけている。


『ここからが僕の仕事ってか・・・。ホント、性悪だなぁ・・・。』


僕は一つ溜息をつく。


「私はそこで少し休む。後は頼むぞ、タチバナ。」


『このやろ~。逃げやがった!』


僕は心の中で毒づいてみたが、彼女は知ってか知らずか、背中を向けている。


「しかし・・・。どうしたもんか・・・。」


途方に暮れる。


「古来より、泣く子を落ち着かせるのは・・・。」


『そうだ!お菓子・・・持ってないわ・・・。』


『面白い事!面白い神なら、すぐそこにいるが・・・。却下。』


ならば・・・。


「泣かないで。僕がずっと傍にいるよ・・・。」


確か、何かの本で読んだ最強の言葉。


「・・・。」


「ほう・・・。愛の告白か・・・。だが、その子には早くないか?」


「へ?違う違う!」


僕は動揺する。


「むきになって否定するか!ますます怪しい・・・。」


「ええい!いらんことを言うな~!」


僕はコノハさんを睨みつける。


「お兄さん達は恋人?」


いつの間にか泣き止んだククリが尋ねてくる。



「絶対違う!!!」



二人の声が見事にハモる。


「仲良しさんなんだね。」


ククリがクスクス笑う。


僕もコノハさんも反論したくなったが、ククリの声を聞いて、大人の休戦(いちじきゅうせん)を行う。


「さぁ帰ろうか?で、この空間って、どう出るんでしょうか?コノハさん?」


「ああ?これはククリが作り出した幻だからな・・・。その内消えるだろう・・・。」


「そうか・・・。」


「しかし、それでも少し時間はかかる。ククリよ。歌は好きか?」


突然何を言い出すんだこの人は・・・?いや神か・・・。


「う~ん。好き。あと、母上から横笛を教えてもらったんだ。」


「ほう・・・横笛か!是非、聞かせてくれ!私がその調べに歌をつけてやろう。」


「うん。分かった。お姉さん。」


ククリは横笛を取り出す。そして、一つ息を吐くと、静かに息を吸い込み、笛を奏で始める。


ピーヒャラ・・・ピー・・・。


優しい調べが星達を輝かせる。


花達も折からの風に煽られて、一枚、また一枚と散っていき、天へと昇っていく。


「何故だろう・・・。何か懐かしい・・・。」


僕は涙ぐむ。何故なのかは分からないが・・・。


「うん。透き通った良い調べだ。では私も・・・。」


コノハさんも歌いだす。


意外と言っては失礼だが、声質はよい。


僕が知る限りの未来の歌姫と比べても遜色ない。


『なるほど・・・。自信はあった訳ね・・・。』


僕は妙に納得する。


彼女がアイドル、もとい歌姫をするといった時、まぁ面白いとは思ったものの、この都を騒がすまでにはならないだろうとは思っていた。


そういう意味では彼女の力量を見誤っていたと言える。


「確かにこれならいけるかもしれない。この都のみならず、全国へその歌を響かせる伝説の歌姫に。」


僕は静かに笑みをこぼす。


「おい、何を笑っている。気持ち悪いぞ!」


「いいじゃないですか。少し未来が見えた気がしたのですよ・・・。」


「何?」


『そして、私がここに来た意味も・・・。』


やがて、僕達の姿は、花吹雪の中に隠れ、天へと高く上った後、元の世界へと降りてきたのだった。




「おおっ!!!」


「なんだぁ!!!


「・・・。」


ゆっくりと元の館に降りてきた私達は、何故か四方を野次馬、もとい観衆に取り囲まれていた。


「ここは舞台?」


「確か・・・。神に捧げる舞が行われていた場所だったと思う。」


ククリもおろおろしている。


何が起こったのか、理解が落ち着かないのであろう。


「ククリちゃん。落ち着いて。」


タチバナも焦りまくっている。


何故、別世界から出てきた口に聴衆がいるのか・・・。


まるで仕組まれていたかの様だ。


「しかし・・・。」


私は感じる。


「何か凄い力を感じる・・・。」


これは未来への第1歩。


「野郎どもぉぉぉ!元気かぁぁぁぁぁ!」


私は絶叫する。


一瞬の静寂。


だが・・・。


「おう!元気だぜぇぇぇぇ!」


何故か方々から上がる歓声。


「ククリ。私の横へ。」


「え?」


「こうすれば、怖くない・・・。」


私はククリと手を繋ぐ。


「皆聞きてくれ!いきなりだが、私達が歌を歌う。それは儚くも美しい物語。母が子を想い、子が母を想う。その想いが時代を超えて結びついた事を喜ぶ歌だ!」


聴衆が静まり返る。


「私・・・。どうしたらいいの?」


「大丈夫だ。ククリ。歌詞はない。ただ想いだけ伝えればよい。お前の母に届くようにな。」


「・・・。分かった。心をこめて歌うよ。母上の為に・・・。」


「いい子だ・・・。」


私はにっこり笑う。


そして、先程の歌を歌い始める。


それにククリが音をつけていく。



「・・・。何と美しい。」


「悲しいけど、美しい。」


見る見るうちに聴衆が引き込まれていく。



『・・・。ありがとう、お姉さん。私はもう大丈夫だよ・・・。』


手を繋いだククリの心が伝わってくる。


私はそれを心地よく感じながら、二人で歌い続けたのだった。








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