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天界を追放されし悪役神姫、下界の歌姫となって成り上がります!!  作者: 坂田 燐


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6/12

母の愛

私は歌で、相手の世界へ飛び込んでいく。


「え~と?コノハさん。」


「何だ?タチバナ?」


「何故?僕までここにいるのでございましょうか・・・?」


タチバナがジト目でこちらをみている。


「まぁ勘だが、ククリを説得するにはお前の方が良い気がしたのだ。」


「・・・?どういう事?」


「お前、大人よりも子供受けしぞうな顔してるからな!」


「はい?」


「という訳で、ククリに話しかけてみろ。まさか初めてとは言わんよな?」


「・・・。ヤッパ・コノヒト・キライ・・・。」


「おっと話をしている時間はないぞ。到着した様だ。」


急に視界が開け、空には星が瞬き、大地には一面花畑が広がる不思議な空間に出る。


「ほう・・・。これは中々・・・。」


「ここに、あの子がいるというのか・・・。」


後ろから爽やかな風が吹いてくる。


時すら流れているのが怪しい位だ。


しっかり自分を持っていないと、ここから出られない、そんな気がする。


「ん?あの小高い丘に、一人の少女が立っている?」


タチバナが視線を向けるその先に、一人の少女が佇んでいる。


「行くか・・・。説得はお前に任せる。」


「ハイハイ。分かりましたよ・・・。」


私達はその方向へ向けて歩き出した。




「やぁ・・・。君はククリだね。」


「・・・。だあれ?」


「僕はタチバナ。この目つきの悪いお姉さんはコノハさん。」


「一言多い!」


いつもよりは軽めだが、毎度の鉄拳制裁を喰らう僕。


「いたぁあい。全く記憶がなくなったらどうすんだ!」


「いいから話を進めよ!」


「全く・・・。(この性悪が・・・。)。ああ、すまない。少し君とお話ししたいと思ってね。」


「・・・。お兄さん達も私をあの世界へ戻そうとするの。私はここで十分幸せですのに。」


「そうか・・・。幸せか・・・。ただね。君のお母さんに出会ってね・・・。」


「母上?母上に会ったのですか?」


「ああ。お母さんは君の事を心配していたよ。」


「そうですか・・・。私も母上に会いたいです。父上の横暴でとある高貴な家に輿入れさせられそうになった時に、一人母上だけが私を守って下さいました。」


「そうなんだ・・・。」


「そのせいで、母上は幽閉され、亡くなったと聞いております。私は、そのまま気を失い・・・。」


「なるほど。お前はこの時代よりもずっと前の時代の人なのだな・・・。」


コノハが横から口を挟む。


「それで、母上はどこに・・・。」


「今の私達がいる時代で、お前を待っている。もう霊魂ではあるがな。」


妖魔に堕ちていたことは話さないでおこう・・・。


「どうだろう。僕たちと一緒に行かないか?」


「・・・。」


「もう時代は変わったんだ。君を縛るものは何もない。」


「・・・。でも・・・。また新たな苦しみが生まれるのでしょう・・・。」


「え?」


ククリの身体が急速に変化していく。


背中から翼が生え、頭には角が生えてきている。


「これは・・・。」


「ああ。あの母と同じ、鬼の妖魔だな。しかし・・・。」


中途半端な変化だ。どこか躊躇いがあるのだろう。


「デテイケ!モウ・ワタシニ・カカワルナ!」


鬼となったククリは涙を流しながら、ことらを攻撃してくる。


「すまない・・・。説得に失敗した。」


僕はコノハに謝る。


しかし、彼女といえば、ヤル気満々の様だ。


「何を言ってる!お前の出番は、まだ先ぞ!」


「え?」


僕は首を傾げる。


「まずは、アレをなんとかして、だな。」


『・・・。何をする気なんだか・・・。』


そんな僕の心配をよそに、彼女は刀を構え直すと、一気に殺意全開で、ククリへ突進していった。




「くらえ~!!!」


私は鞘に納めた剣を一閃する。


「ウワァァァァァ!」


半妖魔化しているククリだが、神である私の敵ではない。


あっさり後ろへ吹き飛ぶ。


「わぁぁぁ~。容赦ね~な~。」


タチバナが後ろで何かほざいている。


煩わしいが、今はスルーだ。


「ククリよ。この声を聞け!母の想いが分からぬか!」


私は空間に穴の様なものを開ける。


「あれは・・・。ククリのお母さん?」


「ククリ・・・。ククリ・・・。」


「・・・。母上・・・。」


ククリの瞳に涙が零れる。


「ククリ?声が聞こえる。ククリ!!!」


「母上!は・は・う・えぇぇぇぇ!!!」


「これは・・・。ククリが元の人の姿に・・・。」


戻っていた。


「ククリ。ごめんなさい。守ってあげられなくて・・・。」


「んんん・・・。母上。母上は悪くないの・・・。むしろ、ありがとう。私は・・・。」


「心配するな!娘の面倒はみよう。誓って不幸にはせぬ。安心せよ。」


「え?」


「・・・。貴女は強くて意地が悪い。でも、何故でしょうか?神の様な懐の深さを感じる・・・。分かりました。貴女を信じましょう。娘をよろしくお願いします。」


「母上!」


「幸せにおなりなさい。我が愛娘、ククリ・・・。」


ククリの母は温かな光に包まれ、消えていった・・・。













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