鬼の住む館
「う~ん・・・。ちょっと一休み!」
タチバナは家の外に広がる竹林を散歩し、気持ちを落ち着かせていた。
何しろ、家の内にはあの神がいる。ここ数日中々気が休まらない・・・。
「世のお父さん達はこんな気持ちなのだろうか・・・。」
まぁ、僕はまだ十六歳なのだが・・・。
「あはは・・・。手にした仕事を式神でパッと、とかってドラマみたいにはいかんよな~。」
何気に妄想してみる。
「あれは本当にカッコよかったな!確か、蝶みたいのが飛んできて、女の子に代わるんだったっけ?」
ふっと上を見やる。
「え?」
そして驚く。
「マジですか・・・。」
この世のモノとは思えない透き通った蝶が飛んでいる。
それはゆっくり僕の方へ近づき、そして・・・手のひらに留まる。
「まさか!」
だが
『女の子!』・・・にはならなかった・・・。
ガクッ!
こんなオチかよ!
一人ツッコミがむなしい・・・。
「しかし・・・。なんだ、この巻物みたいな紙は・・・。」
先程の蝶が変化したものかは分からない。ただ、あの不思議な出来事が終わると共に、この巻物の様なモノが現れた様だ。
僕はそれを開けてみる。
「えっと・・・。この先の大路を行った先に、かつての大貴族の別邸だったが、もう長く破棄されている館跡がある。そこに、一人の少女が囚われている。これを救い出し、仲間にせよ・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
何じゃこりゃ~!
「ほう・・・。おもしろそうではないか!」
「出たッ!」
「おいおい、出たはないだろ!出たは・・・。」
不敵な笑みでそこに佇む少女、いや、神。
「タチバナ。行くぞ!」
「へ?」
「へ?ではない。その館に乗り込むぞ!」
「コノハさん・・・。マジですか・・・・」
「大マジだ!」
僕の胃の痛みは当分収まりそうにない。
「フム!ここが例の館か!」
「その様ですね。」
どう考えても怪しい、謎のタレコミを元に、この場所に来た私達。
「ん~。妖魔でもいそうな雰囲気だな。面白そうだ。」
「ちょっと、ちょっと!虎はどうしたんですか?こういう時こそ出番でしょ?」
「ん?ああ、あの子は別次元で交遊中だ。」
「交遊・・・つまりデートかい!」
「フッ。あの子も成長したもんだ・・・。」
「後にしろ、とは言えんかったんかい!」
中々、私の言葉に軽妙に返してくる青年。
実に面白い!
「で、どうするんですか?ほんとッぉぉぉに妖魔がいたらどうするんですか?」
「無論。」
「むろん?」
「策はない。正面突破だぁぁぁ!」
「はぁぁぁぁぁ?」
タチバナが言葉を発しつつ、大コケしている。
「ああ・・・。後世におわす父よ、母よ。先立つ不孝をお許しください。」
「ん?何を言っとる。さっさと行くぞ!」
私は正面から館内に踏み入れる。
「ほぉ。」
内庭は思った以上に草が深い。
僅かに露も付着しており、実に美しい眺めだ。
「しかし・・・。何か、霧の様なものが出てきていませんか?」
タチバナが恐る恐る話す。
「そう言えば・・・。」
雨が降っている訳ではないのに、少しづつ二人の周りに霧が立ち込めている。
「どうやら・・・。いるな・・・。」
「何がですか?」
「妖魔。」
「そうですか。妖魔が。・・・。・・・。エッエエエエエ!!。」
驚き過ぎだろって言う位に驚くタチバナ。
「どどど、どうするんですか?僕にはよ~戦えませんよ!!」
「・・・。ビビるな!もう戦いは始まっている。館の内へ入ったら、もうここは異世界だ。妖魔の領域なんだよ。」
私は拳を握る。
「弱気を見せたらダメだ。奴らはとことん、それを狙ってくるぞ。気をしっかり持て!」
そして、タチバナへも激励を飛ばす。
『しかし・・・。恐怖を感じながら、恐怖に呑まれてはいない。中々ではないか・・・。』
私は微笑む。
「来るぞ!」
私達の前の空間が大きく裂け、そこから強そうな赤鬼が現れる。
「お前がここの妖魔か・・・。」
「ナンダ。オマエ・タチハ・・・。ワガ・ケッカイニ、カッテニ、タチイッタ・モノハ、ナンピト・デアロウト、ユルサヌ!」
「フム。人語を解すか。ではどうすれば許すというのか?」
「・・・。」
「返答はないか・・・。つまりは、私達を喰らうでもするのかな?」
「ひぇ!」
タチバナが絶叫している。
まぁ無理もなかろう。
「サァ・シヌ・ガ・ヨイ!」
赤鬼は棍棒を振り回す。
それは中々の威力だ。
「タチバナ!お前は先に進め!」
「え?」
青年は怪訝な顔をしている。
「多分、この館内のどこかに、少女が囚われているのだろう?それを見つけ出してこい!」
「あの赤鬼はど~すんの?」
「心配するな。あの赤鬼は私が退治してくれよう。私は神だからな!」
「・・・。分かった。少し怖いけど、やってみます。僕も男だから!」
『ほう。中々肝が据わっているではないか。ならば・・・。』
私は刀を二本創り出す。
古来より鬼退治には必須だろう。
そして、もう一本をタチバナへ投げる。
「うぉっと!」
それを手にするタチバナ。
「今より私が切り込む。鬼の手が止まったら、その横を駆け抜けよ!」
「マジか・・・。ええぃ!分かった!」
「ではゆくぞ!」
私は勢いのままに鬼に切りかかった・・・。
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