また春は巡る
いつのまにか、夏休みが終わろうとしていた。
あれから、僕は気づいたら自分の部屋のベッドの上で寝ていた。
一瞬夢かと思ったが、戦いの瞬間の興奮が確かにまだ残っている気がした。
そしてすぐに夏休みが来た。
夏休み中、僕は一度もハルに会っていなかった。
一体彼女は人間と天使のどちらの道を選んだのだろう。
もし天使の道を選んだのなら、もう会えなくなってしまうのだろうか。
夏休み明け、僕は朝一番に教室に着いたが、そこにハルはいなかった。
たまたま今日いなかっただけかもしれないと思い、僕は一週間ほど待ったが、結局彼女は現れなかった。
「もう二度と会えないのかな…」
そう思うと急に悲しくなって、僕は今にも泣き出しそうになった。
「会いたいよ、ハル…」
そんな悲しみを抱えていても、時は流れていく。
僕はあっという間に受験生になった。
夢中で勉強した。そうすると、少しは寂しさが和らぐ気がしたから。
そして、また春は巡ってきた。
合格発表の日。僕は今までにないくらい緊張していた。
どうか…どうか…
「あった…」
一気に気が抜けてその場にへたり込んでしまった。
さらに涙までもが溢れ出てきて止められなかった。
よかった。頑張って良かった。
本当はハルにもこの報告をしたかったけれど、居場所が分からないからどうしようもないか、と少し落ち込んだ途端、空から白い羽が落ちてきた。
急いで空を見上げたが、そこには何もいなかった。
「まさかな」
そう思って歩き出そうとした瞬間、目の前の女性に一瞬で目を奪われた。
「ハル…!」
そこには少し大人びたハルがいた。
「ハル、ハルなのか!?本物なのか!?」
「本物だよ。久しぶり、ヒスイ」
僕は本当に嬉しかった。もう会えないと思っていた。何を話そう。ハルに話したいことがたくさんある。
「急にいなくなっちゃってごめんね。
私、天使として生きることを決めたから今まで修行をしていたの。
そして最後の修行が人間界で実践を積むこと。だから、これからはまたみんなと一緒にいられるよ!」
奇跡みたいだ。
人間と天使が出会って、別れて、また巡り会う。
そんな不思議な出来事に僕ら以外の誰が遭遇しているだろうか。
「とりあえず、ハルのことをみんなに知らせなきゃだな!」
僕らは歩き出した。
ーーーーーーこれは、僕のある春の話。
普通の生活をしていた僕が、不思議な天使と出会った話。
でも、この物語はこれで終わりじゃない。
これからも続いていく。
春の巡りとともに。
物書きというものを初めてしてみたので、拙いところもあると思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました。