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拾われ少女は魔法学校から一歩を踏み出す  作者: 桜あげは 


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32/60

31:魔法学校からの合否通知

 その日、リロは朝からずっとドキドキしていた。

 白い木の窓枠に両手をぺたりとつけ、じっと外を見つめる。空は快晴だ。


(合否通知、まだかな)


 父――サムの使い魔である白いフクロウが、隣で天井から紐でつるされた木の棒に掴まり、「ホッホ」と鳴いて、くるりんと首を傾げた。

 試験から数日が経ち、リロの心は、時間が経つほどに不安でざわざわしてくる。

 実技試験の会場だった植物園での出来事が、何度も頭の中をぐるぐると巡った。


(……あれでよかったのかな。私のやり方、変って思われてないかな……)


 窓の近くにある、小さなテーブルセットの椅子に座ると、不意にフクロウが翼をばさりと広げた。


「どうしたの?」

「ホホッ」


 視線を追うと、遠くの空から、何かが並んで飛んでくるのが見えた。


(あれは……)


 リロの家のほうへ飛んでくる。

 かなり近くまで来たのを見て、それが郵便配達のフクロウたちだとわかった。

 そのうち茶色の一羽がリロのいる窓の前まで来る。


 慌てて窓を開けると、フクロウが足にくくりつけていた袋が勝手に開き、中から一枚の封筒が飛び出した。あれは魔法の袋のようだ。

 リロは、わたわたとそれを受け止める。なんとか、キャッチできた。


「ど、どうしよう……手が震える……!」


 リロは深呼吸して、机の上に置かれていたはさみを取り、丁寧に封筒を切る。

 おそるおそる取り出した紙を広げると、そこに書かれていたのは……。

 ――合格――


「や……やったぁ」


 へなへなと椅子に戻ったリロの周りを、白と茶色のフクロウが「ホッホッホ」と鳴きながら飛び回った。

 郵便配達のフクロウは、しばらく飛び回っていたが、やがて仕事を思い出したようにハッと我に返り、再び窓から飛び立っていった。


「お父さん、お母さん!」


 リロも封筒を持ったまま、二人のいる工房へ駆けていく。

 その日の晩ご飯は、リロの大好きな、カリフラワーの白いシチューだった。


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