23:魔法島で兄と再会2
門を抜けると、中も受験生でいっぱいだった。
ロバートは、ごった返す正面の通りから一本道を逸れた場所に着地する。
「すごいね。あんなにいっぱい、校舎に入るのかなぁ……」
飛行ボードから降りつつ、リロが尋ねる。
「大丈夫、広さが足りなければ、拡張魔法を使うと思うから」
ロバートはそう言って、受付があるほうを指し示す。そこも、すごい人だ。
ただ、魔法道具の門があり、そこをくぐるだけで受付が完了するようで、思ったよりもスムーズに列が進んでいる。
「緊張してきた……」
「リロなら大丈夫だってば。努力家だし、それに……うちは他の子よりは有利だよ」
「どういうこと?」
「両親も俺もアヴァレラ魔法学校に通っているから、リロはある程度、勝手がわかっていただろ? それに、偶然だけど校長とも知り合えて、あの本をもらえた。まあ、帝都暮らしとか、魔法島在住とか……上には上がいるけど、何もなしに受けるよりはやりやすいってこと」
「……そっか」
それは考えていなかった。
けれど、確かに、周りに受験者がおらず、前知識なしで受験する子よりは、安心感がある気がする。だからといって、試験内容が簡単になる……とか、そんなことはないけれど。
「……できることをやるよ。お兄ちゃん、ここまで送ってくれて、ありがとう」
「ああ。大丈夫だから、安心して行ってこい」
ロバートに手を振ったリロは、受付の列に並ぶため人が溢れる通りへと移動した。
受付の列に並び、順番が来て門をくぐると、リロはとある教室の机の前にいた。ここがリロの席のようだ。
座席に座り、キョロキョロと周りを確認する。とても広い部屋の中、周りには机がたくさん並んでいて、リロと同じように受付を済ませた生徒が着席している。
(ミネット、いないな……別の部屋なのかも)
なんせ、たくさんの人がいるので、一つの教室には収まりきらない。
リロは試験の手順を確認することにした。
(ええと、まずは筆記試験。お昼を挟んで、次に実技試験……だよね)
筆記試験では基本的な教養や、初級の魔法知識が問われる。
気合いを入れるため、リロはフードの耳をもふもふした。




